チャンピオンシップ準決勝の川崎F戦にボランチで先発したのは小笠原 満男と永木 亮太だった。小笠原がいぶし銀の読みとボールを奪いきる技術を見せれば、永木も両チームを通じて2位の総走行距離を軸にボールを追い回し激しくプレスをかけ相手に隙を与えない。
「完璧に崩されたシーンはなかったと思う。点を取ったあとは難しくなってしまったが最後は体を投げだして失点しなかった。魂のこもった試合だった」
試合後、永木はそう振り返っていたが、チームのパフォーマンスに二人の好プレーが影響したことは間違いない。密度の濃い守備を支えていたのは二人のボランチだった。
だが、よかったのは二人だけではない。75分にピッチに入った三竿 健斗もすばらしいパフォーマンスだった。危うい場面が続く時間帯でピッチに入ると、守備を安定させた。無失点で終われたのも、三竿の功績が大きいだろう。
「リーグ戦とは雰囲気が違って、ワクワクするし楽しかった」
まだ20歳の三竿だが、物怖じすることもない。
「試合には出たいので、満男さんや亮太くんより良いプレーをすることを心がけてやりたいと思います」
そう言って、二人の牙城を崩しに行く姿勢を見せている。
さらに、復帰に向けてピッチをあげているのが柴崎 岳だ。シーズン途中から蚊帳の外に置かれてしまったが、本来、小笠原とボランチを組んできたのは柴崎。背番号10を付けているプライドもあるだろう。
「チームの心臓」と呼ばれるボランチで激しさを増すポジション争い。シーズン最終盤で理想的な形ができてきた。
(取材・文/田中 滋)