1stステージ、2ndステージともに最後まで優勝争いに絡みながら、終盤に取りこぼしが目立ち、それぞれ2位、3位と優勝には届かなかった。それでもシーズンを通して波は小さく、コンスタントに勝点を積み上げた結果、年間勝点2位で、Jリーグチャンピオンシップ(CS)出場を決めた。
チームの特長は間違いなく、リーグ最多となる68得点を記録した攻撃にある。5年目を迎えた風間 八宏監督のもと、圧倒的なポゼッションで試合を支配していく。司令塔の中村 憲剛を軸としたパスワークで好機を生み出し、大久保 嘉人、小林 悠という二人のストライカーが決定的な仕事をこなす。エドゥアルド ネット、チョン ソンリョンが加わった今季は守備にも安定感が備わり、1-0で逃げ切る戦いも実現できるようになった。
もっとも現状は怪我人が多く、ベストメンバーが組めない状況に陥っている。小林はCSに間に合うか微妙な情勢で、10番を背負う大島 僚太と守護神チョン ソンリョンはシーズン終盤の試合に出場できなかった。ほかにも井川 祐輔ら長期離脱者も抱えており、台所事情は苦しい。
そんな中、三好 康児や長谷川 竜也といった若く、スキルフルなタレントが台頭してきたのは好材料。彼らを含む登録メンバーすべてが戦力となり、総力戦でCSに臨むこととなる。
そして、5シーズン指揮を執った風間監督が、今季限りで退任することが決定した。リーグを席巻する攻撃スタイルを築きながらも、これまでにひとつもタイトルを獲得できていない。まさに5年間の集大成となるこのCSで、川崎Fは“勝負弱い”というレッテルを剥がし、悲願のタイトル獲得を目指す。