明治安田生命J1リーグ 2ndステージは、8月に第7節から第10節までの4節を消化。快進撃を続けていた川崎Fと浦和が足踏みを強いられる一方、鳥栖、G大阪、神戸ら2番手グループがコンスタントに勝点を積み上げて2強に肉薄。2ndステージの優勝争いが混とんとしてきた。
7月を5勝1分と無敗で駆け抜けた川崎Fだったが、第8節の鳥栖戦を0-1で落とし2ndステージ初黒星を喫すると、第9節の浦和との大一番をモノのしたものの、第10節の柏戦では2-5とまさかの大敗。首位の座を守っているものの、安定感を保っていた守備組織が崩壊したのは、今後に向けて不安材料だろう。
無敗街道をひた走っていた浦和も川崎Fとの首位攻防戦に敗れると、続く神戸戦でもカウンターに屈して2連敗。スタイルが確立している一方で、対策を強いられた時にどう対処していくのか。終盤に失速した1stステージの二の舞を避けるためには、何らかのテコ入れが必要かもしれない。
躓く上位2チームに勝点1差に迫ってきたのが3位の鳥栖だ。第8節で川崎Fを撃破すると、第10節では新潟からきっちりと勝点3を手に入れて、トップの背中を完全に射程圏内に捕らえている。2ndステージに入り安定感を高めた守備組織と、少ないチャンスをモノにする決定力を武器に、このまま首位に躍り出る可能性も決して小さくないだろう。
8月でもっとも勝点を稼いだのはG大阪、神戸、広島の3チーム。いずれも3勝1敗で勝点9を確保した。4位のG大阪で際立つのは4試合で4得点を挙げた長沢 駿。覚醒した長身ストライカーの活躍に加え、接戦をものにする勝負強さも蘇ってきた。昨季のチャンピオンシップファイナリストが、いよいよ本領を発揮してきた印象だ。
そのG大阪に土を付けた神戸も躍進を遂げている。レアンドロ、ペドロ ジュニオールの強力2トップが額面通りの働きを見せ、鳥栖と同様に2ndステージに入って守備の安定感も際立つ。FC東京、G大阪、浦和を相手に3連勝と勢いに乗っており、今後も優勝争いを盛り上げていきそうな気配だ。
昨季の王者である広島もようやく調子を上げてきた。相変わらず怪我人が多いものの、一方で青山 敏弘や水本 裕貴らが戦線に復帰。リオ五輪に参戦していた塩谷 司もチームに戻ってきており、ようやくベストに近いメンバーが組めるようになってきた。首位に勝点5差の8位と順位的には厳しい状況にあるが、残り7試合で逆転するだけの底力は十分に備えており、他の上位陣からすれば怖い存在であることは間違いないだろう。
柏も粘り強く勝点を拾っている。横浜FM、仙台に敗れ勢いが潰えたかに思われたが、その後に名古屋、川崎Fを連破して首位に勝点3差の6位に踏み止まっている。川崎F戦でハットトリックを達成したディエゴ オリヴェイラとクリスティアーノが君臨する前線はリーグ屈指の破壊力を秘める一方、失点の多さは気がかりな点。ここを修正できれば、優勝争いにも十分に食い込んでいけるはずだ。
横浜FMは第9節で2ndステージ初黒星を喫するなど、勢いは陰り気味。一方で苦戦が続いていた鹿島、大宮、FC東京の3チームは持ち直した印象だ。なおFC東京では前田 遼一が第8節の神戸戦で史上5人目となるJ1通算150ゴールを達成している。
5試合負けなしを続けていた仙台だが、直近の2試合はともに敗れ、浮上の契機を逃している。新潟も勝ち負けを繰り返し、下位から抜け出せないでいる。磐田は第10節にようやく2ndステージ初勝利を挙げた。アダイウトンら攻撃陣が調子を上げてきたのは好材料だろう。
残留争いに目を向けると、8月を2勝1分1敗と勝ち越した甲府は一歩抜け出した印象。苦しいのは年間勝点で16位以下の3チーム。16位の名古屋はついに8月23日に小倉 隆史監督の休養を発表した。後任に就いたボスコ ジュロブスキー監督の初陣はFC東京と引き分けたものの、終了間際の失点で勝点3を逃した試合でもある。復調の兆しが見えないなか、電撃復帰を果たした田中 マルクス闘莉王は救世主となれるのか。
17位の湘南は2ndステージ未勝利で、8月は4戦全敗。現在、8連敗中と長いトンネルから抜け出せないでいる。浦和には完敗に終わったものの、広島、鹿島、G大阪とは互角の展開を演じながら、すべて1点差で競り負けた。ここぞという場面での勝負強さを示せないようだと、苦境から抜け出すのは難しいかもしれない。
年間最下位に沈む福岡も8月は全敗に終わった。ここ2試合はともに3失点と、拠り所であるはずの守備ももろさを露呈している。15位甲府との勝点差は11まで広がり、いよいよ苦しい状況に追い込まれた。残り7試合で意地を見せられるか。まずは9月の反攻こそが、残留への指標となる。