明治安田生命J1リーグ 2ndステージが開幕した7月。快進撃を続けるのは1stステージの優勝を惜しくも逃した川崎Fと浦和の2チームだ。得失点差でわずかに川崎Fが上回るも、ともに5勝1分と無敗を続け、およそ3分の1を消化した2ndステージの首位を争っている。
川崎Fは小林 悠が6試合連続ゴールと絶好調。一方の浦和では李 忠成が6試合で4得点と、リオ・オリンピックに出場する興梠 慎三の不在の影響を感じさせない活躍を見せている。いずれも確固たるスタイルを備え、攻守に安定した戦いを続ける両チームが、このまま優勝争いをけん引していきそうな気配を漂わせている。
一方で、1stステージを制した鹿島は元気がない。2勝1分3敗と黒星が先行し、2ndステージは9位にとどまっている。不調の原因は6試合で11失点と不安定な守備にある。すでに1stステージの失点数を上回っており、リーグ全体でも湘南と並んでワーストの数字だ。堅守をベースに1stステージ優勝を成し遂げたチームなだけに、ここの修正こそが復調のカギとなるはずだ。
逆に2ndステージに入り、躍進を遂げるのは鳥栖と柏の両チーム。前者は4勝2分で3位、後者は4勝1分1敗で4位と1stステージのうっ憤を晴らすかのごとく、勢いよく勝点を積み重ねている。鳥栖は堅い守りをそのままに、攻撃面が機能し始めてきたことが大きい。FC東京や福岡とは撃ち合いを演じ、鹿島には粘り強い戦いを展開するなど、相手や戦況に応じた試合運びのうまさも光る。今季より指揮を執るマッシモ フィッカデンティ監督の目指すスタイルがようやく浸透してきたようだ。柏はクリスティアーノの加入により得点力の大幅アップを実現。第5節のG大阪戦でハットトリックを達成するなど、このストライカーの活躍がチームに勢いをもたらしている。いずれもポジティブな要素を備えた鳥栖と柏の両チームが、2ndステージを盛り上げていきそうだ。
開幕3連勝とスタートダッシュに成功した横浜FMは、その後3試合連続ドローと勝ち切れない試合が続く。やや停滞感を漂わせている攻撃陣の奮起こそが、優勝争いに踏み止まるための条件になるだろう。
1stステージで4位の広島は、鹿島同様に失点の多さがネックとなり、なかなか浮上できないでいる。同5位の大宮は得点力不足を露呈して、わずか1勝と苦しい戦いが続く。同6位のG大阪は宇佐美 貴史の移籍の影響を感じさせず2ndステージでも6位と健闘するが、さらなる上位を目指すには、取りこぼしをなくす必要があるだろう。
苦戦が続いていたFC東京は、第5節の川崎F戦に敗れた直後に城福 浩監督を解任。篠田 善之監督のもとで巻き返しを目指す中、新体制での初戦となった第6節の新潟戦は1-0で勝利を収め、今後への可能性を示している。8月の戦いで真価が問われるだろう。
15位以下の4チームも状況は苦しい。磐田は2ndステージに入ってまだ勝利がなく、新潟と湘南は、内容は悪くないながらも、ともにわずかに1勝と結果がついてこない。より深刻なのは名古屋で、扇原 貴宏ら即戦力を複数補強しながら、好転の兆しは見えていない。攻撃の形を作れず、6試合でわずかに1得点。守備も安定感を欠く状態で、チームとして機能していない状況が窺える。優勝経験のある強豪クラブが、いよいよ後のない状況に追い込まれている。果たしてここから巻き返せるか。名古屋の動向には大いに注目だ。
なお7月17日に行われた第4節の甲府vs鹿島戦で、鹿島の遠藤 康がJ1通算19,500ゴールを記録している。