札幌が一歩抜け出した印象だ。1試合消化が少ないものの、15節を終えて2位の町田に勝点4差を付けて首位を快走。5月は4戦全勝と安定した強さが光った。11節から14節までの3試合(12節の熊本戦は順延)はすべて1-0の勝利。15節は躍進を遂げる山口を相手に3-1と力の差を見せつけた。エース都倉 賢が厳しいマークにあうなか、内村 圭宏ら他の攻撃陣が仕事をやってのけ、強烈なプレスをベースとした守備も安定。攻守に隙がなく、早くも独走の気配を漂わせている。
旋風を巻き起こしていた町田だったが、勢いにやや陰りが見られる。13節に北九州に敗れ無敗記録が11でストップすると翌14節も松本に0-1。好調を維持していた攻撃陣が結果を出せず、よもやの連敗を喫した。続く熊本戦には勝利したものの、再び勢いに乗れるかは今後の戦い次第。真価が問われる6月となりそうだ。
同じ昇格組の山口も調子は下降気味。13節にC大阪に4-2と快勝を収めた一方で、14節の長崎戦、15節の札幌戦はともに3失点で完敗を喫した。圧倒的な攻撃力を示しているものの、守備の不安定さが浮き彫りに。今後上位に踏み止まるためにはこのテーマをどう消化していくかが大きなポイントとなりそうだ。
3位のC大阪も状態はいいとは言えない。5月は2勝2分1敗と思うように勝点を積み重ねられなかった。もっとも直近の岡山戦を2-1でモノにしたのは大きい。新戦力の清原 翔平に移籍後初ゴールが生まれたのも好材料。今後、攻撃の選択肢を増やすキーマンとなりそうだ。4位に浮上した松本は守備の安定感が光る。5月は5試合でわずか1失点。攻撃陣も結果を出し始めており、昇格候補がいよいよ本領を発揮し始めている。
京都も波に乗っている。現在3連勝中で5位に順位を上げた。序盤戦は勝ち切れない試合が目立ったが、ここへきて1点差で競り勝つ試合が増加。勝ちパターンをつかみつつあるだけに、今後も上位争いを演じていきそうだ。千葉と山形にも復調の気配が漂う。ともに5月は負けなしで乗り切った。いまだ中位に留まっているものの、地力を備えた両チームなだけに6月以降の巻き返しも十分に可能だろう。
最下位に沈む金沢は12節の山口戦でようやく今季初勝利。順延となっていた8節の愛媛戦でも勝利を挙げており、開幕からの低迷期を脱した感がある。21位の北九州も13節の町田戦で開幕以来の勝点3を奪取。苦戦が続く中で光明を見出している。
個人に目を向ければ水戸の本間 幸司が12節の北九州戦で前人未踏のJ2通算550試合出場を達成。2000年の初出場以来、17年に渡って積み重ねてきた偉業だ。また同じ12節には松本の高崎 寛之が東京V戦でハットトリックをマークしている。高崎にとっては水戸に所属した09年以来2度目の記録となった。
なにより5月の重要トピックは、震災の影響により活動を休止していた熊本の復帰だろう。15日に行われた13節の千葉戦でJ2の舞台に戻って来た熊本は、14節のホームゲームの水戸戦を日立柏サッカー場で、15節の町田戦はノエビアスタジアム神戸で開催。コンディション調整もままならず、地元で試合ができない苦しい状況下にあって、復帰後3連敗と厳しい現実を突きつけられている。それでも選手たちは「サッカーができる幸せ」をかみしめながら、被災地に勇気を与えようと必死にピッチを走り続けている。地元の方たちとともに勝利を喜び合う日が来るのを待望し、今後の熊本の健闘を祈りたい。