――まずは昨シーズンを振り返ってみて、どのような1年だったでしょうか?
水本「去年は主力ふたりが抜けて、下手したら降格もあるんじゃないかって周りから言われるなか、森保(一)監督のもとチーム一丸となって毎日の練習に取り組み、その結果として最後に優勝できたのは良かったです。ただ(ヤマザキ)ナビスコカップだったり、天皇杯では納得いく結果が出なかったので、そこは悔しさが残りますね」
――ガンバ大阪にとってはハードな1年でしたね。
丹羽「60試合やりましたね。ただ、今年はさらに上の数を目指しています。すべての大会で最後までいけたら、60試合以上になるって聞いたので。去年の免疫があるから5、6連戦くらいではきついとは思わないですし、それが普通というか」
水本「僕たちも一昨年、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)に出た時は連戦が普通だったからね」
――丹羽選手は60試合中、何試合に出たんですか?
丹羽「代表でチームにいない時以外は、ほぼフルで出させてもらいました」(※編集部注・明治安田生命J1リーグ=34試合、明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ=3試合、ACL=11試合、ヤマザキナビスコカップ=1試合、天皇杯=4試合、FUJI XEROX SUPER CUP=1試合 合計=54試合)
――鉄人ですね。
丹羽「鉄人はまだまだですね。隣に鉄人がいるんで(笑)。J1連続出場の記録を持っていますから。何試合だっけ?」
水本「フル出場は137かな」
丹羽「凄いね! これが本当の鉄人ですよ」
――鉄人の秘訣は?
水本「普通に生活しているだけですよ」
丹羽「それが一番大事なんだよね。普通に生活するっていうのがなかなかできない。シンプルだけど難しいというか、深いというか。そこが一番重要だと思いますね」
――去年、広島とG大阪は5回顔を合わせ、2勝1分2敗と五分の成績でした。
丹羽「五分ですか。でも負けているイメージがあるんですよ。やっぱりチャンピオンシップがね。第2戦は引き分けだったけど、優勝を決められているわけだから。でも、いつも広島とは良い試合になるよね。どこの選手がどういうプレーをするのか、お互い分かりつくしているんで」
水本「大体同じような試合展開になって」
丹羽「1点差で争うみたいなパターンになってね」
――5試合のなかで一番印象に残っているものは?
水本「僕はやっぱり優勝を決めた試合ですね。先に得点を取られて次に1点取られると厳しい状況に追い込まれるなかで、チーム全体で盛り返して、同点ゴールを奪って、そのままの流れで優勝できた。あの試合はすごく印象に残っています」
丹羽「僕は直近の天皇杯で3-0で勝った試合。内容、結果ともに上回れた試合だったと思う。あの試合のイメージでゼロックス(FUJI XEROX SUPER CUP)もできればいいんですけど、さっきも言ったように広島とやる時はなかなか大差の試合にはならない。おそらく僕は今度の試合も1点差で勝敗が決まるんじゃないかと思ってます」
――昨シーズンに導入されたJリーグチャンピオンシップ(CS)は、実際に戦った選手にとってどんな大会でしたか?
水本「僕たちは年間1位だったので、ここで負けてしまうと、というプレッシャーはありました。1試合目で良い形で勝てたからこそ、2試合目も良い流れでいけた。ただ絶対に負けられないというプレッシャーはすごくありましたね」
丹羽「優勝、準優勝、3位のチームが決まるという(CSの)制度よりも、17試合でピークをもってこないといけないというところに、僕は凄く難しさを感じていて。17試合だったら、リスクを冒して攻めていくとか、得失点関係なく思い切って行ったりというような試合が増えてくる。そういう意味ではいいかなと思うんですけど、やっぱりメリット、デメリットは両方にあって。ただ、ルールはルールですし、そこにピークを持ってくるのが僕らの仕事でもあるので、しっかりとその制度を理解しながら、今年もやっていきたいですね。去年は1stステージ、2ndステージともに優勝争いというのは正直、そこまで国民の皆さんに盛り上がりを見せられなかった。もっともっとメディアの方にも取り上げてもらって、僕らも見ている人たちも面白いサッカーをしていかないといけないなと思いました」
――ところで、おふたりは同い年ですが、昔からお互いのことは知っていたんですか?
丹羽「ユース(年代別)代表の時からずっとやってるんで。まあ、変わらないですね。ふたりの関係は高校の時から、ずっとこんな感じですよ。メチャクチャ仲良くなるわけでもなく、離れるわけでもなく。この距離感でね」
水本「一緒になるのは代表でしかないですけど、旅行先でばったり会ったことはありますね」
丹羽「会ったね、たまたま(笑)」
――昨年の東アジアカップでは久しぶりにチームメイトになりましたね。
丹羽「紅白戦でミズ(水本)とサブ組に入って一緒にやった時は、懐かしかったですよ。やりやすかったし、あの時は結構サブ組がいい感じで」
水本「やれてたなあ」
丹羽「言わなくても動きが分かるから、楽しかったよ」
水本「久しぶりに一緒にやれたんで、すごく嬉しかったですね。それに一昨年3冠取ったガンバのリーダーとしてディフェンス陣を引っ張っていたので、そういった選手とまた一緒にやれたのは、自分にとっても良かったかなと思います」
――FUJI XEROX SUPER CUPは両チームにとって相性の良い大会ですよね。
水本「広島は今回が4回目で、これまでの3回はすべて勝っていると思います」
――G大阪も去年優勝しました。
丹羽「悪いイメージはないですね、ゼロックスに対しては。むしろいいイメージがある。ただ、今年はどちらかが悪いイメージになるわけで。まあ、拮抗した試合になるんじゃないかなと思います」
――シーズン最初の公式戦という意味では、楽しさと難しさの両方あるのかなと思いますが。
丹羽「僕は楽しみな気持ちの方が大きいですけどね。今年一発目の公式戦を、また広島とできる。すごく楽しみにしています」
水本「メンバーも少し入れ替わって、また新しいチームになる。そういったなかでガンバ相手にどれだけできるか。やっぱり楽しみが大きいです」
――秘策はありますか?
水本「ガンバに対して、特別な対策はないですね」
丹羽「ウチもないな、広島には」
――3-0でリベンジを果たした天皇杯はどうだったんですか?
丹羽「いつも通りでしたよ。運良くというか、3点、ポンポンと入っただけなんで。1-0でも、同点でもおかしくない試合でしたよ。本当に拮抗するのは目に見えている。広島はドウグラスのところがウタカに代わって、どういったプレーをしてくるのか。そこはやりながら合わせていきたいなと」
水本「ガンバはアデミウソンを始め、前線に素晴らしい選手を補強したので、守る立場からすると凄く嫌です。ただ、そういった相手でも僕たちらしくプレーできればいいのかなと。キャンプを通じて良いトレーニングをして、ゼロックスに臨んでいきたいなと思います」
――チームリーダーとして、それぞれのチームのイチ押し選手を紹介してください。
水本「広島の場合は、2014年のゼロックスで、(浅野)拓磨とガク(野津田岳人)が点を取って、そこから波に乗って行った。今年は拓磨が背番号10になるので、みんなからの注目度も高まっていると思う。そういったなかでも点を取って、さらに成長してもらえるような大会に、拓磨自身がしてもらえればいいのかなと個人的には思っています」
丹羽「点を取れる選手がウチは多いので、誰っていうのはないですけど、やっぱり去年、(宇佐美)貴史とパト(パトリック)が攻撃陣を引っ張ってくれていったので、そのふたりが攻撃の中心になると思います。あとミズもさっき言っていましたけど、アデミウソンは僕も対戦したなかで、すごく厄介な選手だったので、彼を味方にできるのは大きいと思います。ガンバのアデミウソンのフィット具合というのは、見ている人も注目しているんじゃないかなと思います」
――お互いにこれまでに多くのタイトルを獲っていますが、今年はどのような目的を持ってシーズンに臨みますか?
水本「ウチはガンバほどタイトルは獲っていないですから。一昨年もそうですし、昨年もすべての大会でガンバは優勝争いに絡んでいる。僕たちはまだまだそのレベルではないかもしれませんが、そういった立ち位置を狙えるクラブだと思っています。今年はゼロックスを皮切りに、ACL、リーグ、ナビスコ、天皇杯とすべての大会で良い成績を残していきたいと思っています」
丹羽「タイトルは獲れば獲るほど、もっともっと獲りたいなと思ってしまうもの。あの喜びをもう一回味わいたいという気持ちしかないですね。去年は、ナビスコ、Jリーグ、ACL、全部良い所まで行って優勝できなかった。最後に天皇杯は獲れましたけど、2016年のことなんでね。2015年にいたっては、ゼロックスを除けば、タイトルゼロ。だからリベンジの年にしたいと思っています。ひとつでも多くタイトルを獲りたいです」
――最後にお互いにエールを送るとすれば?
丹羽「年齢も年齢なんで、バチバチやり合うこともないでしょうし、楽しみながらやっていければなと(笑)。そういうキャラですしね、お互い。プレーでしっかりと見せられるようにやっていきたいなと。でも、CKの時はお互いにマークに付くと思うんで、おそらく。たぶん、違う?」
水本「まだ分からないでしょ(笑)」
丹羽 「まあ、僕らの見どころとしてはそれくらいなんで(笑)」
水本「試合中にあんまりマッチアップするポジションではないんでね」
丹羽「遠目で見てるよ。ああ、ミズ止めてるなあって」
水本「俺も丹羽ちゃん止めてるって(笑)。まあ、僕たちはなかなか、得点に直結するポジションではないですけど、そういう(得点以外の)ところもしっかり見てもらって、サッカーだったり、Jリーグに興味を持ってもらえたらいいのかなと思います」