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Jリーグ新人研修 2・3日目レポート【Jリーグ】

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2016年2月3日(水) 14:54

Jリーグ新人研修 2・3日目レポート【Jリーグ】

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Jリーグ新人研修 2・3日目レポート【Jリーグ】
新人研修2日目はPRコミュニケーションやリスクマネジメンの講義が行われた

眠気まなこをこすりながら、会場に現われる選手もちらほら見える。前日遅くまで、研修に励んだ疲れからだろう。とはいえ、彼らから発せられるのは「プロフェッショナルは何か」を考え、習得しようとする意欲である。時刻は朝8時。Jリーグ新人研修2日目の講義がスタートした。

冒頭で日本プロサッカー選手会の説明を受けたのち、いきなり待っていたのは10分間の『ルールテスト』。合格点に達しなければ追試を課せられるだけに、選手たちの表情は真剣そのもの。テストが終わると日本サッカー協会審判部の柏原丈二さんの講義を受け、ルールに対する認識を深めた。

そのなかで辿り着くのは、やはり『フェアプレー』だ。「相手に敬意を払う」「簡単に倒れない」「笛が鳴るまでプレーを止めない」。当たり前でのようで、疎かになってしまう部分はプロになってからでも当然ある。そうしたプレーをまとめたVTRを見ながら、改めてサッカー選手としての原点に立ち返った。

講義の最後にテストの結果が発表され、追試者はひとりももいなかった。100点満点が33人、平均93.6点と高い数値を示した。

表情の作り方や声の出し方など細かく指示を受ける選手たち
表情の作り方や声の出し方など細かく指示を受ける選手たち

続いて行われたのは『PRコミュニケーション』のグループワーク。プロとして求められる要素のひとつとして、メディア対応がある。カメラの前で自身の考えをしっかりと伝える。これもまたプロ選手に課せられた任務である。

このグループワークでまず学んだのは、プロサッカー選手である以前に、社会人としてのあるべき姿。サッカー選手になる同時に、初めて社会に飛び出す彼らにとって、そのルールを身に付けることが最初のテーマとなる。相手の名前を覚える、あいさつをしっかりとする。そこからコミュニケーションが始まるという、社会人としての最低限のマナーを守らなければならないのだ。

カメラの前で自己紹介し、その映像をチェックするシミュレーションでは、多くの選手が講師から厳しい指摘を受けた。声の出し方、表情、姿勢、話すスピードなど、それぞれが課題を突き付けられ、正しい受け答えを指導された。

それを踏まえた二度目のVTR撮影では、明らかに選手たちの態度が変わっていた。姿勢が変わり、表情が変わり、話し方が変わった。「1回目は負けた試合の後のインタビューだったのが、2回目には勝った試合のあとのインタビューになっていた」と、彼らの変貌ぶりに講師の方々も太鼓判を押していた。

昼食後には各グループの代表者が、全員の前で『模擬インタビュー』を行った。グループワークの成果からか、誰もがしっかりとした口調で受け答えを行ない、時に笑いをとりながら、堂々とした取材対応を見せていた。

SNSの扱い方は今のサッカー選手にとって重要なテーマだ
SNSの扱い方は今のサッカー選手にとって重要なテーマだ

さらに講義は続く。テーマは『リスクマネジメント』について。プロともなれば、世間から大きな注目を集める一方で、一般人では味わえないリスクにさらされる。些細なことでも大きく受け取られ、それが各方面にも多大なるダメージを与えてしまうということだ。交通事故、異性問題、薬物、八百長、人種差別……。とりわけクローズアップされたのが、現代のリスクのひとつとなっているSNS。SNSは自己表現の場であり、上手く利用すれば自身の価値の向上につながるが、誤用すればたちまち危機に晒される。『選手とソーシャルメディア』の講義では、その有効性と危険性について事例を交えながら分かりやすくレクチャーされた。選手たちはこれまでは気安く取り扱っていたSNSについて、その重要性を知ることとなった。

さらにその後に行われたリスクマネジメントに関するグループワークでは、交通事故にあった時にどう対処するかをシミュレーション。間違った対応をすれば、これもまた大問題になりかねない。今後起こりうるであろうリスクに触れ、真剣な表情で話しあった。

自主トレ・夕食を挟み、夜の部がスタート。『反社会勢力への対応と八百長について』の講義では、実際にあった八百長事件に関するVTRが流される。最近、スポーツ界で懸案事項となっているだけに、その事実を知る重要性は高い。

リスクマネジメントの事例を熱心に聞き入る選手たち
リスクマネジメントの事例を熱心に聞き入る選手たち

前日、鈴木 啓太氏が話した『OBからのメッセージ』の講義を、この日は元日本代表の北澤 豪氏が行った。その冒頭で、いきなり厳しい言葉が並ぶ。誠意の感じられない弱々しい拍手を、北澤氏がダメ出ししたのだ。些細なことかもしれないが、そうした対応にもプロとしての姿勢が表れるということなのだろう。この叱咤に眠気が覚めた選手たちは、その後、北澤氏から発せられる経験談やプロとしてのあり方についての金言を、一言も漏らさまいと背筋を伸ばして聞いていた。

この日の講義を振り返り、桐光学園高からジュビロ磐田に加入する小川 航基は「面白い話を聞けたし、気を付けないといけないところを理解できたので、本当にタメになった。特にSNSの講義は話が面白かったし、とても分かりやすかった。SNSは自分もやっているので、リアルに感じられたし、今日の話を今後に役立てていきたい」と、語った。またメディア対応に関しては「活躍すればその機会が増えてくると思う。ちょっとした表情だったり話し方で、テレビを見ている人の印象が変わってくる。それを学べたのはよかった。今回の研修を機にプロとして、人間としての行動を変えていかなければいけない」と、今回の研修を通して、プロサッカー選手になったことを、改めて実感していたようだった。

北澤氏は厳しくも温かい言葉を新人選手に送った
北澤氏は厳しくも温かい言葉を新人選手に送った

「去年1年間チームに帯同して先輩たちからいろいろ話を聞いていたので、改めてのところもあったけど、初めて知ることも多かったので、ためになりました」と語ったのは、ガンバ大阪の堂安 律。すでに昨季、2種登録としてプロの世界を経験している選手であるが、この研修に参加して新たに感じることがあったようだ。

「自分もツイッターを利用しているので、自分の価値を高めるためにうまく利用していければいいと思う。リスクに関してはいろいろあることが分かった。ユースの時から視野を広めて、最悪のことを考えなら行動するようにと言われていたので、もともと意識はあったけど、ちょっとしたことでも落とし穴になりかねない。サッカー以外の部分でも意識を払って行動していきたい」と、こちらもまたプロとしてどうあるべきかを、理解しつつあるようだった。

3日目には『税金』や『人権』、『アンチドーピング』などの講義が行われ、今回の新人研修の全スケジュールは終了した。3日間に渡ったこの研修を、果たして彼らはどのように受け止め、今後に活かしていくのか。ピッチ上でのプレーだけでなく、プロサッカー選手として第一歩を踏み出した彼らの、ピッチの外での振る舞いにも注目したい。

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