2月1日に静岡県内の施設でJリーグ新人研修がスタートした。3日間に渡って行われるこの研修には、今シーズンより晴れてプロとなった合計123名の新卒選手たちが参加(2015年の研修に参加できなかったプロ2年目の選手も含まれる)。プロの門を叩いたばかりのルーキーたちにとって、初日から密度の濃い時間となったようだ。
この研修の最大のテーマは「プロフェッショナルとは何かを考える」ことにある。サッカー選手として生きていくためには何が必要なのか。様々な講義を受けながら、その知識を身に付けていった。
まず最初の講義では、Jリーグ村井 満チェアマンが、具体的なデータを示しながら新人選手たちに熱いメッセージを送った。なかでも選手たちにとって強烈だったのは、10年前にプロとなった選手たちが、この10年でどれだけの試合に出場したかを示したデータだ。120人のうち、0~50試合の出場に止まった割合が最も高く、そのうち21人が1試合もピッチに立てないままプロの世界を去っているというのだ。
この数値を見せられた新人選手たちは、身の引き締まる思いとなったにちがいない。明治大学から名古屋グランパスに加入した和泉 竜司は「プロの世界は甘くないというのは分かっていたけど、具体的な数字を見せられたことで改めて厳しい世界なんだというのが実感できた。それをこのタイミングで知れたのはよかったし、良い話をしてくれた」と、前向きに話していた。
他にも村井チェアマンは、プロとして長くプレーするためには何が重要かを、各クラブの強化担当者のアンケートをもとに発表。選手たちにとってはフロントの声を知ることができる貴重な講義となったようだ。
続いては「Jクラブのビジネス」をテーマとしたグループディスカッションが行われた。4~5人のグループに分かれ、クラブ経営の現実を知るとともに、選手の立場としてどのように振る舞うべきかを学んでいった。はじめは緊張気味だった選手たちも、グループで話し合う中で、次第に活発な意見が生まれていく。大胆な発想のアイデアを提案する選手もいるなど、ただプレーすればいいのではなく、プロとしていかにクラブを盛り上げ、いかにクラブを発展させていくかを現実的に考える良い機会となっただろう。
自主トレ、夕食を挟み、夜は契約についての講義が行われた。クイズ形式の講義では誤答はほとんどなく、すでにプロとしての知識を身に付けていることを窺わせた。
そしてこの日の最後の講義には、昨季限りで現役を退いた元浦和レッズの鈴木 啓太氏が登壇。自身の現役時代の経験をもとに、新人選手たちに貴重なメッセージを送った。
「僕は決して上手い選手ではなかった」という鈴木氏が、なぜ16年間も第一線で活躍できたのか。成功を生み出した自身の考え方を、具体的なエピソードを交えながら伝授していく。日本代表にまで上り詰めた成功者の言葉に、新人選手たちは熱心に耳を傾けていた。
21時過ぎまで行われた研修の第1日はこれで終了。長時間に渡った座学にやや疲れた表情を見せていた選手もいたが、一方で貴重な時間を過ごした充実感もみなぎっていた。残り2日間の研修で、新人たちは「プロフェッショナルとは何かを」学び取っていくはずだ。