12月15日、Jリーグ インターナショナルユースカップが開幕を迎えた。オランダからAZアルクマール、韓国から全南ドラゴンズを迎える同大会の初戦は、そのAZとJユースカップ王者の浦和レッズユースが対戦するというもの。浦和のゲームキャプテンであるMF渡辺 陽が「なかなかヨーロッパのチームとやる機会はないので楽しみにしていた」と語ったように、浦和はモチベーション高く試合に臨んだ。
AZの配置はオランダが伝統的に得意とする4-3-3のフォーメーション。日本的な感覚よりも選手間の距離を広くとって、ピッチの幅を目一杯使ってくるのが、彼らのスタイルだ。それを可能にしているのはパススピードの絶対的な速さで、センターバックを起点に速く正確なパスをつないで浦和ゴールへ迫った。
対する浦和は、4-4-2の配置からボールに対して厳しくプレスを掛けていくのが真骨頂。奪ったボールをシンプルにゴールまでつなげるのが基本スタイルだ。ただ、この日は「相手の激しさや強さが日本のチームとは違っていて戸惑った部分がある」と渡辺が言うように、前半に関しては少々「腰が引けていた」(大槻 毅監督)。相手に主導権を奪われる中で我慢の時間も増える展開となる。
ただ、「カウンター以外では相手にチャンスを作らせていなかった」と大槻監督が振り返ったように、小木曽 佑太、橋岡 大樹の両センターバックを中心に相手の攻勢にもよく対応。速攻からの決定的ピンチもGK山田 晃士が防いで、しのぎ切った。後半に入ると、大槻監督から強く煽られた選手たちのハートに火がつき、球際での激しさも増し、戦術的にも左足のロングパスでビルドアップのキーマンになっていたDFジャスティン・バッカーへの対応も徹底。「後半は僕をマークしてきたのをすごく感じたよ」とバッカーが苦笑いを浮かべたとおり、相手の攻撃の起点をつぶすことに成功した。
そして72分と79分、ゲームは動き出す。「二つのセットプレー。それだけでやられてしまった」とDFヴィンセント・レーゲリングが嘆いたとおり、まずMF影森 宇京が左足のFKを鮮やかに決めると、その7分後にはCKから橋岡がボレーシュートを突き刺して、2-0とリードを広げてみせた。「あの2失点でチームはコントロールを失ってしまった」とコーエン・スタン監督が嘆いたように、ここからは相手のプレーにも乱れが見られるようになり、浦和守備陣が単発で迫る相手をシャットアウト。2-0で浦和の快勝となった。
スタン監督は「浦和は非常に良いプレーをした。一つひとつのプレーでぶつかり合ってくるし、1対1でも良い対応をしてくるチームだったし、競り合いも強かった」と脱帽。キャプテンのレーゲリングも浦和のチームとしての良さを称えた上で、「特に10番(MF堀内 千寛)はいい選手だと思った。非常に上手い」と賞賛した。
ただ、これはリーグ戦。まだ大会は始まったばかりである。スタン監督は「残りの2試合もすごい競り合いになるだろうけれど、今度はチャンスを決めて勝ちたい」と語り、レーゲリングも「残り2試合を勝てば、優勝の可能性はあると思っている」と気持ちを引き締め直していた。
[文:川端 暁彦]