今年で23回目となるJリーグヤマザキナビスコカップは、ついにファイナルを迎える。激突するのは、12年以来となる優勝を目指す鹿島アントラーズと連覇に王手を掛けたガンバ大阪だ。
■完封できるか、打ち合いになるか
どのような大会であっても、ファイナルが点の取り合いとなることはあまり多くない。00年以降における決勝戦の結果を見てもそれは顕著で、15試合中12試合で勝者は完封勝利を収めていた。それだけに、普段より守備のほころびを見せないことが肝要となるのは言うまでもないはず。とはいえ、今季のリーグ戦において、相手をゼロで抑えた試合数はともに8で18チーム中7番目に少ない。また、無得点で終わったのはわずか4試合(最少は浦和)。これを考えれば、予想に反して打ち合いとなる可能性もあるだろう。
■先制点を奪えるか
次に、図表1には今季の先制点と結果に関するデータを載せた。これを見ると、鹿島は先制した試合で3敗していて、先制された試合で3回勝利を収めているのに対して、G大阪はそれぞれ1回ずつ。先にゴールを奪えれば、後方でブロックを作って前線の個を活かしたサッカーでゲームをコントロールするが、追いかける立場になるとこじ開けられないという彼らの特徴を物語っているともいえる。
■得点が生まれる時間帯
では、いつ得点が生まれるのだろうか。図表2に載せたのは、今季の両者の得点と失点の時間帯だ。注目すべきは赤丸で囲った部分である。31分―45分、45分―60分においてG大阪は最も得点を上げていて、鹿島は逆に最も失点を喫しているのだ。しかも、リーグ戦での両者の2回の対決でG大阪が奪ったゴールは4。そのうちの3点がこの時間帯なのである(もう1点は前半の29分)。まさに、互いに取って勝負を分ける時間帯となるかもしれない。
一方、76-90分における鹿島のゴール数は18とリーグで最多。この要因の1つは途中出場をした選手の活躍にあるだろう。途中出場をした選手が奪ったゴール数はG大阪が5であるのに対して鹿島は14でトップ。途中で出場した選手が結果を残せるかは、流れを変えるうえでもとどめを刺す上でもカギとなるはずだ。
■トラッキングデータ
最後に、図表3には準決勝でのトラッキングデータを載せた。両チームともに総走行距離では2試合とも相手を上回っていることが分かる。一方、スプリント距離を見ると鹿島は2試合ともに相手より少ないのに対して、G大阪は大きく上回っている。さらに、ポゼッション別で見た時でもG大阪はアルビレックス新潟より多かった。ただ、鹿島はスプリント割合が2.5%、2.6%と高かった。試合展開や相手に左右されるのは間違いないが、勝負どころで高い強度の走りができるかは注目したい。
果たして、15年の栄冠はどちらの頭上に輝くのか。
※データは明治安田生命J1リーグ 2ndステージ 第14節終了時点
[文章/データ提供:データスタジアム株式会社]