
2025年2月25日
2025年度 第2回Jリーグ理事会後会見発言録
2025年2月25日(火)16:00~
Jリーグ会議室およびWeb ミーティングシステムにて実施
登壇:チェアマン 野々村 芳和
陪席:執行役員 窪田 慎二
執行役員 青影 宜典
執行役員 笹田 賢吾
執行役員 樋口 順也
司会:広報部長 萩原 和之
〔司会(萩原広報部長)より説明〕
第2回理事会後の会見を開催いたします。
本日の発表事項は、1つ目は「2025年度の配分金について」、2つ目は「2025年度地域スポーツ振興活動助成について」です。
《決議事項》
[萩原広報部長より説明]
1. 2025年度の配分金について
Jリーグは「Jリーグ配分金規程」に基づき1月理事会にJリーグから各Jクラブへ支給する2025年度理念強化配分金の配分金支給基準額を決定しました。また本日の理事会で同基準額を反映した支給対象候補クラブを決定しました。2025年度は総額約21.6億円が理念強化配分金として支給される見込みです。また2024シーズンの全Jクラブに対して、同シーズンのDAZN視聴者数やDAZNシーズンパス販売実績等で配分する2024年度ファン指標配分金の支給金額が決定いたしましたので併せてお知らせいたします。
(1)2025年度理念強化配分金の支給対象候補クラブの決定
Jリーグは2022年11月に新たな成長戦略として「2つの成長テーマ」を掲げるとともに、2023年に配分金規程を改定し、均等配分金に重きを置いた配分構造から、競技成績やファン増加等の成果に応じた配分、いわゆる結果配分中心へ段階的にシフトし、成果創出を後押しする施策へ重点的に投資を行ってまいりました。2025年度の配分方式もこれらの考え方を継続しており、2024年度から大きな変更はありません。2025年に支給される理念強化配分金は、2023年の配分金規程の改定後、初めて競技順位に基づく2年目の支給がスタートします。
そのため支給総額は前年度から5億円増え21.6億円となる見込みです。
2025年度の理念強化配分金の支給対象候補クラブは、2023シーズンの明治安田生命J1リーグ年間順位1位から3位までのクラブ、2024シーズンの明治安田J1リーグ年間順位1位から10位までのクラブ、2024シーズン年間ファン指標順位が1位から10位までのクラブが対象となります。理念強化配分金の支給対象候補となったクラブは、5月に行われる理念強化配分金活用計画の審議を経て、支給が決定いたします。
理念強化配分金の支給候補クラブの内訳と支給金額
①2023年度J1年間順位に基づく配分金(3クラブ)
2023シーズンで上位3位の3クラブ(ヴィッセル神戸、横浜F・マリノス、サンフレッチェ広島)に対しては、2025年度(2年目)の支給額として、合計5億円が追加されます(神戸2.5億円、横浜FM1.8億円、広島7,000万円)。こちらは、2023年度の2回目の支給分となります。
②2024年度J1年間順位上位10位に対する配分金(10クラブ)
2024年度の競技順位に基づく配分金として、1位の神戸から10位のセレッソ大阪まで、合計11億2,000万円が支給されます。
③2024年度ファン指標順位 上位10位に対する配分金(10クラブ)
2024年度のDAZN視聴者数に基づき、ファン指標配分金が2024年度ファン指標順位1位の浦和から、10位の名古屋まで合計5.4億円配分されます。
これら①②③の理念強化配分金を合わせ、12クラブに対して合計21億6,000万円が支給される見込みです。
(参考)2024年度理念強化配分金の支給対象候補クラブ
https://www.jleague.jp/news/article/27270/
(2)2024年度ファン指標配分金支給金額の決定(総額約13.6億円)
ファン指標配分金は同リリース3ページ目に記載のとおり、2024シーズンの全Jクラブに対し、2024シーズンのDAZN視聴者数にDAZNシーズンパス販売実績等で配分しています。
詳細はリリースの表をご参照ください。
(3)2025年度その他の配分金・賞金について
その他、1クラブ2.5億円、J2クラブ1億円、J3クラブ0.2億円が各クラブに支給される均等配分金をはじめ、他の種類の配分金については、2024年度と総額や配分方式について大きな変更はありません。詳しくはプレスリリース4枚目をご参照ください。
(参考) Jリーグ配分金規程
https://aboutj.jleague.jp/corporate/assets/pdf/regulation/jleague/jleague_distribution_money_regulations.pdf
《その他》
1. 2025 年度地域スポーツ振興活動助成について
Jリーグは、Jリーグ理念の具現化を目指して、Jクラブがホームタウンで行うスポーツの機会を創出・拡大するための活動について、2025年度の「Jリーグ地域スポーツ振興活動助成」の対象として承認しました。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=7f9ed5f7-1dad-427a-bea0-fcc17d6234d3&y=&m=&q=
■Jリーグ地域スポーツ振興活動助成(2025年度)
(1)助成対象・・・承認済み:20クラブ、49件
(2)助成予定額・・・30,000,000円
※詳細は「2025年度Jリーグ地域スポーツ振興活動助成承認一覧」リリースを参照
地域スポーツ振興活動助成は、1997年から始まり今年で28年目になります。高齢者サッカーや障がい者サッカー、中学年代を中心とした女性のサッカー環境の拡充策など、サッカー活動も条件付きで交付対象としていますが、各クラブでのサッカー以外の様々なスポーツ振興活動を後押しするために設立されたものです。そうした理念に根差した各活動を始めやすくするため、自主財源を確保できるまでの3年間を助走期間としてリーグの方で助成し、同じ活動を4年目以降も実施する場合は、4年目からは各クラブで自走していただく制度設計になり、今では多くの活動が誕生しています。
具体的な活動内容はプレスリリースをご覧ください。
〔野々村チェアマンよりコメント〕
本日は明治安田Jリーグが開幕して初めての理事会を開催しました。
【入場者数について】
開幕節で過去最高のお客様に来ていただいたことはプレスリリースでお伝えしましたが、第2節を終えて、第1節・第2節合わせて過去最高であった2024年の同時期比を上回る、691,766人(昨対比101%)のお客様にご来場いただくことができました。※J3は2試合が未実施
とても良いスタートだと思います。全ての試合を観られてはいませんが観に行った試合、また中継を通していずれもとても良い内容だったと思います。
【ACLについて】
AFCチャンピオンズリーグエリート(以下ACL)において、リーグステージ最終節終了時点で全体の3位であったヴィッセル神戸が(中国チームの棄権に伴い)5位となるなど、その後の進出状況に様々な変更が行われる事案がありました。
決定を受けて即日から神戸関係者をはじめ然るべき関係者と連絡をとり、あのルールはあり得ないということを伝えるとともに、次の試合(ラウンド16)が3月初頭に実施されることから、クラブが大会に集中できるよう、決定したことに素早く適応するためのコミュニケーションも、同時に神戸はじめ現場間で行っておりました。リーグとしては、まずこのルール設計をもう一度しっかり考え直してほしいと(AFCに)伝えています。スイス方式に変更したことで混乱が出ているところはあると思いますが、一方でヨーロッパ(UEFA)では、仮に途中で山東泰山のように棄権するチームが出た際には、それまで終了した試合結果は有効として残しながら、棄権後の試合のみをルールに基づいて敗戦として取り扱うレギュレーションになっています。それがより公平なあるべきルール設計だと思います。加えて、チームにとって勝利給、選手個人の記録が残るのか、など細部にわたる部分は明確になっていない認識です。またACLは各クラブが勝つことでリーグもクラブもポイントがつき(それらが翌年の出場枠にもかかわってくる)、それらを背負ってJリーグのクラブは戦ってくれています。ポイントの扱いについても明確になっていないという認識であり、当然ながら、実施された試合に関してポイントに反映されるべき旨も伝えています。現場同士では即日から、そして正式なルートでは様々な作法があるため、それらを準備する期間が一定数必要でしたが、それらも整い日本サッカー協会(JFA)を通してAFCに伝えました。
【開幕節を振り返って】
今シーズンの開幕節の試合は、世界水準のサッカーを目指し、「よりタフに戦っていきながら、アクチュアルプレーイングタイムを皆で伸ばしていく努力を、選手も現場も審判も皆でやっていこう」と意識して伝えてきたことの効果として、選手がセルフジャッジをせずプレーを続けていく姿勢を、私が観戦した試合でもいくつも見ることができました。
一方で、(一定の幅をもつ)ファウルとなる基準が変わったわけではありません。悪質性をもったプレーと激しいプレーは別物です。コントロールは簡単なことではないのでジャッジをする審判員もしっかりと学びながら、選手とコミュニケーションをとりながらやっていく必要があると思います。
サッカーは非常にシンプルなルールで、ファウルの基準には一定の幅があり、ヨーロッパなどのトップレベルでやっているところと比べると、Jリーグの標準は高いところに設定されていませんでした。世界と戦うときになって初めてそうした標準に触れるのではなく、日頃から高い標準で戦えるように、一定の幅を踏まえ、その一線を超えたものがファウルであることを改めて意識してほしいと思います。
そして、一定の基準を超えたファウルがあったとしても、(悪質性をもったプレーではない場合は)すぐ笛を吹いて止めず、その先にファウルをされた側にチャンスがあるシーンも沢山あります。どうしてそこで止めるのかと、ファウルを受けた側も思うシーンが日本では散見されます。
開幕試合でセレッソ大阪の香川 真司選手が倒された際に、レフェリーはPKをとらずにアドバンテージを採用した結果、ゴールが生まれました。また同じ試合で、ガンバ大阪が1-1に追いついたシーンで宇佐美 貴史選手が接触した際にも、審判が一呼吸まち、プレーの継続ができる余白を持たせたことで、そのあとのG大阪の選手がプレーを続け、素晴らしいゴールが生まれました。
選手がセルフジャッジせず、審判は悪質なプレーと激しいプレーの見極め、いつ笛を吹くか判断することで、お互いが理解しバランスがとれてくると、より良いサッカーができてくると思っています。
〔質疑応答〕
Q:スポーツ界とオンラインカジノの問題が取りざたされています。プロ野球では、オンラインカジノをやったことがある選手は名乗り出るようにという呼びかけを行っていますが、Jリーグとして選手、クラブに実態調査や注意喚起を実施する予定はありますか。
A:野々村チェアマン
オンラインカジノに関することは、昨年、メジャーリーグで大きな案件があったときにも、リーグから各クラブへの注意喚起を含めて、レターを出すなどのコミュニケーションを取っています。今回も、2月13日に、各クラブに対して一度、注意喚起を促すレターを出しています。また、3月11日にはオンラインカジノに特化したセミナーをセッティングしており、それに参加するように促しています。
Q:セミナーの対象はクラブスタッフでしょうか、もしくは選手でしょうか?
A:萩原広報部長
各クラブにコンプライアンス・オフィサーがおり、社長、取締役、役員等が務めていますが、コンプライアンス部門の方からその方たちに一報し、その方たちを対象にオンラインでセミナーを実施します。講師のJリーグのコンプライアンス事案に対応する顧問弁護士は警察庁出身の方なので、このあたりの件は熟知している方です。セミナーの対象は、コンプライアンス・オフィサーをはじめとしたクラブスタッフです。クラブスタッフの皆様の啓発を目的としていますが、選手にも直接聞いてもらいたいというクラブも既に複数あります。それぞれのクラブの事情もあるので強制はしませんが、選手にも聞かせたいと手を挙げているクラブもあるので、そこまで(対象を)広げて実施したいと思っています。
Q:有料カジノが違法なのは当然として、その温床となる無料のオンラインベッティングゲームがあります。そうした企業とパートナーを組んでいるクラブもありますが、スポンサードとそのあり方をJリーグとしてどう考えているのか、また見直す考えはありますか。
A:野々村チェアマン
違法なことをしているところはパートナーにはなれないというのが明確なルールです。一方で違法ではないものは認めています。リーグでは、企業毎の実態が分からない部分があることから、(最終的には)クラブ自身でレピュテーションリスクも含めて判断してきていると思います。ある一部分だけを「ダメ」だと、決めることもできなくはありませんが、リーグが規制を厳しくするよりも、クラブがそれぞれ判断し、そこにリーグがしっかりと寄り添えるようなコミュニケーションを取ることが最も良いことではないかということを、本日の理事会でも認識いたしました。
A:萩原広報部長
最後にチェアマンが話された通りで、クラブでも判断に困ることが多々あるのではないかと思います。その場合はJリーグが相談に乗りながら、最善の対策を取っていくということを個別にやっていかなければいけない、ということを、理事会を陪席して感じました。
Q:オンラインカジノの注意喚起、調査の件ですが、2月13日頃に各クラブに対してレターを出したとのことですが、オリックス・バファローズの選手がオンラインカジノを利用したと判明する前だと思うのですが、それはどのような経緯だったのでしょうか。
A:野々村チェアマン
毎年、選手がどうあるべきか、クラブの人間がサッカー界に関わる人間としてインテグリティをどう高めていくかといった研修は、Jリーグとしてオンラインを中心に行っています。
さらに、何かが起こったときに、もう一度、みんなで見直すことを、小さな事案から大きな事案まで行ってきています。例えば交通事故等が発生した際には、そういった啓蒙、啓発をしています。そのような通常のやりとりとしてレターを出したということです。
Q:全クラブ調査という考えは今の段階ではない?
A:萩原広報部長
我々は昨年の6月、7月に先ほど申し上げた弁護士と議論をし、全クラブに「海外オンラインカジノはダメ」という注意喚起をしています。
今回、早い時期にオンラインカジノがダメという通知していたのは、昨年のこと(メジャーリーグの件)がありましたし、直近で同様の報道もありましたから、また今年も徹底しようといった意味で出しました。その際に先ほど申し上げた対象者の方々に3月11日にセミナー実施することも併せてお知らせしています。全数調査云々は、最近の報道で我々も知りましたが、そこまでやる必然性が喫緊であるのかないのか、やるならばどこまでやるか、手段はどうするか等、やる、やらないも含めて現在検討中です
Q:もう一件、ACLの件で、正式なルートはJFAからということでしたが、改めて意見書を出すことになっているとのことですか。
A:野々村チェアマン
正式なものは2月23日に出しています。
Q:意見書の中身を教えていただけますか。
A:樋口執行役員
先ほど、冒頭に野々村が申し上げた内容の通りです。そもそもこのルールがどうなのかという観点や、今回、こういった結果になった際の様々な補償。また今後のリーグのポイントがどうなるのか、そのあたりの説明や改善要請を文章として出しています。
Q:JFAの通知で出したという認識でいいですか。
A:樋口執行役員
おっしゃる通りです。
A:野々村チェアマン
それが正当なルールなので。同時にリーグとして、現場間でAFCの方たちや、各国のリーグとのやり取りはずっと行っています。
A:樋口執行役員
どうしても、正式な書面となると様々な確認を含めて時間を要するので、即、様々なルートでコミュニケーションを取っています。
Q:オンラインベッティングに関して、DAZN上で無料のオンラインベッティングサイトのCMが出されていました。DAZNに限らず、特に日本だったら賭けることはダメでも海外だったら大丈夫など、契約上CMのチェックを地域ごとにしていると思いますが、オンラインベッティング媒体のCMに関する話し合い、配信サイトに限らずテレビ局などと話し合いがあったのでしょうか。
A:野々村チェアマン
これについても、現場間で当然話をしています。そこはDAZNがどう判断するかです。当たり前ですが国内で違法なものは流せないとなっているはずなので、今のルールの中でどの会社も対応していると思います。CMを流すか流さないかは、自分たちよりもDAZNがどう判断するか、ということだと思います。私も近くDAZN幹部と話をする機会があると思いますが、そのあたりの空気感も含めて、お伝えするべきことはお伝えしていきたいと考えています。
Q:開幕は素晴らしかったですが、ガンバ大阪で大変残念なことが起こりました。それについてコメントをいただきたいです。
A:萩原広報部長
G大阪の選手がSNSで不適切な言動を発信したということで、しばらく戦列を離脱するという発表があったことについて、G大阪側からはJリーグに状況報告を細かくいただいています。Jリーグとしては、当該選手に対するクラブの判断だと認識しています。
リーグがクラブに対して処分をする、しないを判断することについては、例えば、クラブ調査等の手続上の瑕疵や或いはリーグへの連絡や報告が著しく遅れる、通報者が何らかの不利益を被る、通報者の情報が別のところに情報が洩れ報道が先行して世間に公表されてしまう等、結果的にリーグ全体の信用の棄損があった等のケースでは、リーグとしても動かざるを得ないこともあります。本件に関しては、G大阪より本件について、事案発覚当初から細かく連絡や相談をいただいていましたし、かなり迅速に、第三者も立てながら調査されたと報告を受けていますので、クラブとしては適正に、かつ最速で対応されたとリーグとしては認識しています。
Q:オンラインカジノの件、現時点でクラブから相談がないということでよいでしょうか?
A:萩原部長
北海道コンサドーレ札幌とはかなり細かくやり取りさせていただいていると聞いていますが、他のクラブからの相談はありません。個別に丁寧に対応していきます。
Q:セミナーは警察庁の方がオンラインで対応されるのでしょうか。
A:萩原部長
一義的には、クラブスタッフ(コンプライアンスオフィサーなど)にご紹介しました。おそらく多いときは300~400人近くになるかと思います。
(選手は)トップチームだけで2,000人近くいることになるので、オンラインセミナーを実施するとしても物理的に制限があるため、クラブごとに日程等を分けるかもしれません。本件に対する感度の高いクラブも一定数有り、セミナーを選手に聞かせたいというクラブが既に何クラブかあります。
本件とは異なる案件ですが、昨年不同意性交等罪、不同意わいせつ罪に関する事件が世間を騒がせましたが、これについてはオンラインではなくトップチーム選手に対して、対面でのセミナーを開催しました。4か月かけて弁護士さんと共に実際に55クラブに訪問して、実施しました。60クラブのうち、5クラブはクラブ独自にセミナーを行っています。これに倣い、必要に応じて、機動性をもって、リーグがクラブに行って対応していく」という可能性もあります。
Q:ACLの順位件について、各国リーグともやり取りをされているということでしたが、各国リーグの反応はどのような感じでしょうか。日本と同調しているのか、そうではないのでしょうか。あわせてAFCの回答、リアクションがあれば教えてください。
A:樋口執行役員
他国リーグとのコミュニケーションについては、非公式な現場同士のやり取りも含まれますので、その反応は我々から公表することは控えさせてください。いずれにせよ連携しながら、変えるべきものを変えていくことを主張していくことになると思います。ちょうど、次のシーズンに向けたルール改正の議論の場が直近で予定されています。本件も含めて議論されると予想しています。