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サステナビリティカンファレンス開催レポート~イングランドプレミアリーグ トッテナム ホットスパーから最先端のサステナビリティ経営について学ぶ~

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2024年9月20日(金) 19:00

サステナビリティカンファレンス開催レポート~イングランドプレミアリーグ トッテナム ホットスパーから最先端のサステナビリティ経営について学ぶ~

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サステナビリティカンファレンス開催レポート~イングランドプレミアリーグ トッテナム ホットスパーから最先端のサステナビリティ経営について学ぶ~
Jクラブや他スポーツ競技団体、企業とともにスポーツを通じてサステナビリティに取り組む意義を議論する「サステナビリティカンファレンス」が、7月25日に都内で開催された

「明治安田Jリーグワールドチャレンジ2024 powered by docomo」でヴィッセル神戸と対戦するために来日したトッテナム ホットスパーは、いわずとしれたイングランドプレミアリーグの強豪クラブである。

しかしこのクラブにはもうひとつの重要な側面がある。様々なスポーツリーグの環境面でのサステナビリティを評価する「Sport Positive Leagues」のランキングで、4年連続でプレミアリーグ1位を獲得するなど、サステナビリティ面で最も優れたクラブとしてイングランド国内で認識されているのだ。

そんなトッテナムの関係者を招き、Jクラブや他スポーツ競技団体、企業とともにスポーツを通じてサステナビリティに取り組む意義を議論する「サステナビリティカンファレンス」が、7月25日に都内で開催された。

カンファレンスは午前と午後に別れて実施。午前は企業向け、午後はスポーツ団体向けに行われ、各回にはそれぞれおよそ100人程度が参加。Jクラブのみならず、各スポーツ団体からも多くの参加者が来場した。

カンファレンスに先立ってJリーグの野々村芳和チェアマンが、この会の意義を説明。「Jリーグは昨年、開幕30周年を迎えましたが、それを機にサステナビリティ部という新しい部署を新設し、 日常生活をどう守っていくか、スポーツをしていくための土台となるような健全な自然環境をどう守っていくか、といった気候変動問題に対するアクションにも力を入れるようになっております。トッテナムが大きな成果を上げている事例を今日ご紹介させていただいて、この日本でもそういった取り組みがたくさん行われ、気候変動問題が少しでも前に進んでいけるようになるような活動が増えることを期待しております」と話した。

またJリーグとともにこのカンファレンスを主催したアスリートの社会貢献活動を推進する「日本財団HEROsプロジェクト」の笹川順平氏(日本財団専務理事)は、「トッテナムはサステナビリティに関するリーグでずっと1位を取り続けていらっしゃるチームということで、どのような活動を組織として、またスポーツ界において広げていらっしゃるのか。私も含めてしっかりと勉強させていただきたい」と、このカンファレンスに対する期待を述べた。

はじめにトッテナムの最高収益責任者(CRO)を務めるライアン ノリス氏が登壇し、トッテナムとはどういったクラブなのかを説明した。

ノリス氏によればトッテナムは、ロンドンで最も価値の高いクラブだという。その成功の背景には競技面のみならず、ピッチ外での活動が大きく影響している。

「常にクラブ、域地社会、地球にとって正しいことをしていきたいと考えています。それがサステナビリティであり、ピッチの中と外でサステナブルなビジネスに力を入れています」

では、そのサステナブルなビジネスとは何か。具体的な取り組みについて、トッテナムのエグゼクティブダイレクターを務めるドナ  マリア カレン氏が説明した。

トッテナムは2030年までにCO2排出量を半減、2040年までにネットゼロにすることを目標として活動を行っているという。また2019年に新たに作られたホームスタジアムは持続可能性を配慮して設計されており、エネルギー効率の高いシステム、低炭素技術、節水対策を取り入れている。

スタジアムでは使い捨てプラスチック製のストローやマドラー、カトラリーを禁止しているほか、堆肥化可能なパッケージでの食事の提供やリユースカップでの飲料の提供も実施。試合中の選手の飲水に関しても、ペットボトルではなく、リフィル可能なボトルで行われている。

またトッテナムではプレミアリーグで初めて、男女のトップチームとアカデミーの全選手に対してサステナビリティに関するトレーニングを実施するなど、選手への教育にも力を入れている。

ほかにもトッテナム ホットスパー財団の活動を通じて、地域の子どもたちへの啓発や、雇用の創出にも取り組んでいる。

カレン氏によれば、「貧困地域に住んでいる優秀な生徒を集めて、チューターをつけています。そして、ケンブリッジのような大学に入学する子どもたちも出てきています」という。

地域課題に向き合うだけではなく、国際問題にも目を向け、カンボジアでのチャリティイベントなども行っているという。

カレン氏は「パーパス(目標)を掲げるだけではなく、実現もしないといけません。私たちのメインのフォーカスはフットボールですが、そこから生まれた資金によっていろんなところにその資金を配分し、ピッチの中、ピッチの外でサステナブルな活動を行っています」と話した。

このカンファレンスでは、トッテナムの代表を務めるダニエル レヴィ氏と、かつて横浜F・マリノスを率いた日本でもお馴染みのアンジェ ポステコグルー監督、Jリーグの夫馬賢治特任理事とのトークセッションも行われた。

レヴィ氏は「私たちは常にナンバーワンになりたいと考えています。またしっかりと影響力を持っていく責任を私たちが担っていると考えているんです。最もグリーンなクラブであることを私たちは誇りに思っています」とコメント。ポステコグルー監督は「私はここで監督をやらせてもらっていて、非常にクラブ自体が社会的な意識を持っていると感じています。トレーニング施設を見ても、いろんな野菜やハーブを育てる農園があったりして、とっても素晴らしいですね。毎日トッテナムの施設に行くのを楽しみにしていますし、これだけ素敵な施設があるのは本当に光栄なことだと思います」と、自然環境に配慮したトッテナムのトレーニング施設を絶賛している。

トッテナムのプレゼン後は、元競泳日本代表日本で、現在は「SDGs in Sports」の代表を務める井本直歩子氏が、日本のスポーツ界におけるサステナビリティの動向事例を説明。

またJリーグ執行役員で、サステナビリティ領域担当を務める辻井隆行氏がJリーグの取り組みについて、プレゼンを行なった。

午前の最後には再びノリス氏が登壇し、「スポーツにおけるパートナーシップを通じたサステナビリティの推進」をテーマに、参加者に貴重なアドバイスを送った。

午後の部ではクラブ関係者向けにノリス氏とカレン氏が講演を行った後、参加者がワークショップを実施。カンファレンスの最後にはトッテナムのOBで元イングランド代表DFのレドリー キング氏が登壇。日本障がい者サッカー連盟会長で元日本代表の北澤豪氏、元競泳日本代表の井本氏とともに「サステナビリティ推進におけるアスリートの役割」をテーマに、パネルディスカッションを行った。

キング氏は「これからも学び続けることが大切ですね。なかなか変われないっていう人もいるかもしれませんけど、だからといって遅いわけではないんですよ。自分自身も勉強していますし、私の家族もそうです。だからみなさんも、できるはずなんですよ。みんなが少しでも行動することによって、大きな違いにつながると思います」と、参加者にアドバイスを送った。

サステナビリティの領域で最先端を行くトッテナムの取り組みを目の当たりにし、参加者からは感嘆の声が漏れていた。気候アクションの1歩を踏み出したばかりの我々Jリーグにとっても、他参加団体にとっても大きな学びと行動へのきっかけを得られる貴重な時間となった。

<本イベントの詳細レポートは、Jリーグ気候アクションサイトにて掲載しております。>
https://www.jleague.jp/climateaction/report_sustainability_conference.html

 

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