2023年10月24日
2023年度 第10回Jリーグ理事会後会見発言録
2023年10月24日(火)17:30~
Jリーグ会議室およびWeb ミーティングシステムにて実施
登壇:野々村 芳和 チェアマン
窪田 慎二 執行役員
青影 宜典 執行役員
樋口 順也 フットボール本部 本部長
大城 亨太 クラブライセンスマネージャー
司会:仲村 健太郎 広報部長
〔司会(仲村広報部長)より説明〕
《決議事項》
1.2024シーズンJ2およびJ3クラブライセンス判定結果について
https://www.jleague.jp/news/article/26283/
本日の理事会で決定した、2024シーズンのJ2およびJ3クラブライセンスの判定結果についてお知らせいたします。J2のクラブライセンスが交付されますのは、ヴァンラーレ八戸、福島ユナイテッドFC、Y.S.C.C.横浜、SC相模原、アスルクラロ沼津、AC長野パルセイロ、奈良クラブ、ガイナーレ鳥取、FC今治、テゲバジャーロ宮崎です。そしてJ3のライセンスが交付されますのはFC大阪です。なお、注釈※1に記載していますFC大阪につきましては、J2クラブライセンス交付規則における競技基準、アカデミーチーム(U-15)が未充足のためJ2のクラブライセンスは不交付となり、J3のクラブライセンス基準は充足しているため、J3のライセンスが交付されました。
そして注釈※3の施設基準の例外規定においては、猶予期間のカウントがスタートしており、2023年6月末で具体的な計画の提出期限を迎えた相模原につきましては、例外規定申請後の2年間(2020年、2021年度)はコロナの影響を大きく受けたと判断し、計画提出期限を2025年6月まで延長することとして今回J2のライセンスを交付しています。
2.Jリーグ入会審査(J3)結果について
https://www.jleague.jp/news/article/26284/
本日の理事会で入会申請のあった6クラブのうち、クリアソン新宿、ヴィアティン三重の2クラブについて、Jリーグへの入会を条件付きで承認致しました。なお残りの4クラブについては継続審議となりました。
2023シーズンよりJリーグ入会要件の改定を行いましたが、クリアソン新宿、ヴィアティン三重の2クラブは、J3のクラブライセンスおよび入会要件を充足していると判断いたしました。本審査結果により、Jリーグ役員によるホームタウン支援体制の確認が完了したクラブは、11月26日(日)開催の第25回日本フットボールリーグ(JFL)2023シーズンの最終節にて最終順位の要件を満たすことを条件に入会が確定となります。
最終順位1位のクラブは、自動で入会が確定し、最終順位2位のクラブはJ3・JFL入れ替え戦に勝利することでJリーグへの入会が確定することとなります。
クリアソン新宿とヴィアティン三重のクラブの情報につきましては、記載の通りです。
一点補足いたします。今回入会要件の変更を行い、「平均入場者数が2,000人に到達することを目指して努力していると認められること」という努力目標が入場者数の目標となりましたが、本日の理事会において、新宿と三重の2クラブは2023シーズンの入場者数から今後2,000人に到達することを目指して努力していると認められたため今回承認に至りました。
Jリーグ入会の可否に関わらず、引き続き入場者数増加に向けた努力は必要であり、継続して入場者数の動向を確認していくこととなりましたので補足させていただきます。
リリース後半の残りの4クラブの状況も併せてご確認ください。
《検討事項》
1.シーズン移行検討状況について(後述)
《理事会議題以外 報告事項》
1.功労選手賞 受賞者決定について
2.功労審判員賞 受賞者決定について
こちらも二つリリースしていますのでご確認をお願いいたします。
https://www.jleague.jp/news/article/26280/
https://www.jleague.jp/news/article/26282/
〔樋口フットボール本部本部長より「シーズン移行検討の件」について説明〕
まずこれまでの検討概要についてです。4月頃から本格的な意見交換を始め、6-8月に開催した4つの分科会あたりまでが「どちらのシーズンにどういう特性があるか」という研究を集中して実施していた期間です。7-9月には、「目指す姿をどのように設定していくか」の検討がメインになっていました。
10月は初旬にJ1・J2・J3のカテゴリーごとの分科会を開催いたしました。原則リアル開催(一部はWEBで参加)とし、それぞれ3時間ほど行いました。全60クラブより「シーズン移行についての現時点での考え」を表明していただく機会となりました。その「60クラブの現時点での考え」を踏まえて、先日の実行委員会と本日の理事会で意見交換を行なっています。
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「60クラブの現時点での考え」は、シーズン移行に対して「ポジティブである」というご意見もあれば「ネガティブである」というご意見もいただきましたし、「まだクラブ内で議論中」「領域ごとに意見が分かれている」という状況もございました。また、「移行する・しないで大きな差がないので、リーグ事務局が目指す方向に賛同する」という意見のクラブもありました。全体でいうとポジティブな感触であるクラブが多数という状況であり、今回の実行委員会・理事会ではリーグ事務局としても「シーズン移行に対して多くのメリットがあると考えている」ということをお伝えしています。一方で乗り越えるべき懸念事項もまだあると思います。従って、「移行するという前提に立ったときに、この障害、論点をどのように解決していくか」の議論を、よりスピーディーに進めていくことになりました。具体的に主な検討事項としてどのようなものがあるかをご説明します。
●スタジアムの確保
従前からご説明させていただいていましたが、4月~3月が基本となるスタジアム所有の自治体の年度と大きくずれることによって、スタジアム確保に一部困難さが増すのではというご意見をいただいています。これについては、10月26日(木)に本件に関する分科会を開催する予定です。現在、全クラブを対象にアンケートを行っていて、クラブごとにどのような点が困るのか、Jリーグ、JFAで支援できることがあるかなどアンケートを集めています。そのアンケートの結果をもって全クラブと意見交換をいたします。
●JFL/地域リーグ/大学/高校などとの連携
JFL/地域リーグ/大学/高校などが、Jリーグがシーズン移行するとどうなるかということについては、日本サッカー協会(JFA)を中心として、各連盟、団体と意見交換をしているところです。現時点で確定したことはありませんが、例えばJFL事務局からは「Jリーグがシーズン移行した場合は、JFLも併せてシーズン移行できないかという検討を開始している」というご連絡をいただいています。
大学、高校は入学のタイミングが変わることはありませんが、JFAが主催しているプレミアリーグ・プリンスリーグについては、Jリーグのシーズン移行とは別の軸で、「やはり夏の開催を避けるべきではないか」「9月開幕にして6月に閉幕という形にしてはどうか」という議論がJFA内で始まっています。引き続き各団体との連携を深めていきたいと思っています。
●新人選手の加入タイミング/制度設計
細部の設計が必要となりますが、基本的には今と同じタイミングの1月にJクラブに加入いただく、つまり、シーズンの真ん中に加入していただくことになると想定しています。
例えば現在はプロA契約の選手は1クラブあたり25名という枠がありますが、同様の枠があった場合は、シーズン中に加入する新人選手のための枠を設定する必要があります。どのような設定が必要かについては、細部を詰めていきたいと思っています。
参考として、別の議論ではありますが、日本プロサッカー選手会の意見も表明いただいている通り、ABC契約について、そもそもどうするのかという検討も行っております。制度が変わった場合は「A契約枠の25名」ではなく、違った枠数の中での制度設計が必要となります。そこも含めて抜本的な改革が必要だと思っています。
●試合日程の精査
これまで「案A」、「案B」の二つを示していましたが、「案A」と「案B」の間の案も含め、より細部にまでこだわった案を作っていくべきと考えています。
●移行期の大会方式
移行期の大会方式につきましては、もし移行する場合、約半年分の期間があくことになりますので、そこを「0.5シーズン」として活用すべきなのか、もしくは「前のシーズンの1シーズンも合わせて1.5」とすべきなのかについても具体的により詳細な意見交換を進めていきたいと思っています。
現状もリーグの中では案を作っていますが、ここもおそらく分科会などを実施しながら各クラブとの統合的な意見交換を行っていくことになると思っています。
選手の立場にたったフットボール観点、どうお客様に楽しんでいただくかというファン・サポーター観点、またどのようにクラブの経営を安定させていくべきかという経営の観点もあり、様々な観点でズレが大きくなるかと思っていますので、メリット、デメリット等を出しながら統合的な意見交換を進めたいと思っています。
●財源の活用方法
最後が財源の活用で、こちらは先月から意見交換を開始しています。Jリーグのいわゆる純資産として今どのくらいの規模があるか、その中でシーズン移行の対策にどのくらい使うべきか、その金額で具体的にどういう対策に使うべきかの意見交換もこれからスピーディーに進めていきたいと思っています。
以上の大きな6項目の検討を進め、11月・12月で賛否を問うような意見交換を進めていきたいと考えています。
〔野々村チェアマンよりコメント〕
今月で今シーズンのリーグの平均入場者数の累計が、2019年比の93%になっています。今シーズンで一番良い状態にきています。クラブの努力も含めて良い傾向だと感じています。
リーグ戦も終盤になり、先週末はFC町田ゼルビアがJ1昇格を決めました。11月4日のJリーグYBCルヴァンカップ決勝では、アビスパ福岡が初めての決勝に進出し、浦和レッズと対戦します。それぞれのクラブにとってのビッグマッチが行われるので、是非楽しみにしていただければと思います。
シーズン移行の話については樋口が説明した通りです。自分としてのここまでの感想としては、ここまで本当に、日本サッカー、Jリーグがこれからどうやって成長していこうか、という話をしてきたと思っています。それを踏まえ、シーズンをどうするかということを事務局員が各クラブとすごく丁寧に話をしてくれています。
どうやって成長していこうかという中で、例えば、夏のパフォーマンスについては皆さんもイメージできると思います。(現状のシーズンではシーズン途中で)谷になってしまっているJリーグのパフォーマンスを、どうやって山型にできるのだろうか。そもそものJリーグのサッカーの水準をどう上げていくかという理念からしても改善しなくてはいけない問題点だということがわかりました。また、移籍金を獲得していくことが他国、特にサッカーの先進国と比べるとだいぶ遅れていることが確認出来たり、日本の気候・環境におけるシーズンを通してのスポーツ環境の問題点が浮き彫りになってきたり、我々が成長するために何が必要だったのかということの問題点が明確に出てきたと思います。その中で、リーグにとっては、それぞれのクラブ、自分たちも含めた選手の周りにいる人たちが目線を高くして取り組めるかということが一番大事だと思っています。その面に関しても多くの人たちが、かなり前を向いて、10年後、20年後を見据えて取り組むようになりました。マインド、目線を高くしてやっていくことが見えてきたことで、日本のサッカーにとっては良い時間を過ごせたと感じています。
例えば、寒い地域のクラブの経営者が北米に行って、北米のゲーム(スポーツ)環境などを勉強しながら、どうやったらもう少し長いシーズンでプレーができるのか、もっと暖かいスタジアムにするにはどうすればよいのかといった、今までになかったようなことを考えて実際に取り組もうとされているクラブが出てきたことは、繰り返しになりますが、少しずつ、自分たちも含めて目線を高く、前向きなマインドになってきているのかな、という感覚です。
〔質疑応答〕
Q:シーズン移行について、実行委員会の後にアルビレックス新潟の中野幸夫社長がクラブとして明確に反対という見解をホームページでも示されました。これから賛否を問う中で、明確に反対されるクラブとどう決着をつけるのか、結論に向かっていくときのチェアマンの考え方があれば教えてください。
A:野々村チェアマン
議論の決着の仕方については、ガバナンス上は理事会の判断をもってということになりますが、反対する人や、意見が違う人がいる方が良いと思っていたりします。
以前は多くの人が懸念をもっていたのかもしれないですが、丁寧に長い月日をかけて話していく中で、どうすれば成長できるのかということに対して、シーズンを変えることが一つの方法という人が増えてきたのも事実です。従って、引き続き成長するための他の案も含め、面白い色々なアイデアが出てくることは期待していますし、自分の中でもそうした発想が出てくるよう常にチャレンジしていきたいと思っています。
色々な話をするということは、やらなくてはいけないことだと思っています。新潟だけに限らず、それぞれのクラブが抱えている課題みたいなものはあるはずなので、実際に行って個別にひざを突き合わせて、どうしたらよくなるのだろうという対話は続けて行こうと思っていますし、その準備もしっかりとできていると思っています。
Q:樋口さんにお伺いします。先ほど、大粒の課題として6つ挙げていましたが、その6つの課題は年内を目途に解消、決定していくのか。大きな方向性を年内に出した後も、課題として取り組んでいくのか、どのようにこの6つの課題を解消していくのでしょうか。
A:樋口本部長
例えば制度の設計は「ここだけ確認できていればいいという大枠の部分」と「細部までの部分」があると思います。例えば、12月に決議をする際に、「まだ定まっていない論点があり、その論点がどちらに転ぶかによって、シーズン移行するか・しないかの意見が変わる」といったものがあれば、これを解決しないと決議ができないと思います。単体の項目だけでなく、全部がつながっているものもある話だと思いますので、まずは11月に向けてどの課題をどこまでつめていけるかを考えたいと思います。
Q:野々村チェアマンに質問です。シーズン移行の議論は過去にこれまでいろいろとあって、その度に基本的にはあまり進まず、議論としてもそこまで煮詰まらなかったと思いますが、今回、ここまで議論が進んだ要因をどう考えていますか。以前は実行委員・クラブの社長の立場でシーズン移行の議論を見守り、今回はチェアマンという立場で、立場こそ違いますが議論が発展した要因はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)をはじめとする外部環境以外にどういったことがあったのか。例えばJリーグ側が金銭的問題まで具体的に踏み込んでいったことで議論が進んでいったのか等、これまでとの変化、違い、議論の中身も含めて感じたことがあれば教えてください。
A:野々村チェアマン
いろいろな方向から多くを考えなければいけない状況に変わったということです。以前から話しているように、Jリーグはゼロから始まり、10年、20年、30年間は、プロとして成立、安定させるために多くの人たちがすごく努力してやってきました。それは、「隣のあのチームに勝つ」といった感覚でやってきたと思います。一方で選手たちは早い段階で世界を見て戦うようになりましたし、指導者たちも世界を見て戦うようになってきたというのは事実だと思います。成長の順番として、今度は私たち側、フロント側を含めた周囲がいかに世界を見て、先ほど目線を高くという話をしましたが、そうなっていくことが求められるフェーズに変わってきていると思います。
それが必要だと思うようなタイミングにACLのシーズン移行や、または夏のパフォーマンスについても、いつも下がっているという、大まかな、なんとなくぼんやりとした事実めいたことを感じてはいましたが、実際にデータで、このようなグラフになる(夏場にパフォーマンスが谷になる)こともはっきりしました。ヨーロッパと別のスポーツだと感じるような選手がいるようなコメントを聞いて、感覚的にはそうなのかと思ってきたことが、事実、そうなのかもしれないという点がデータで明らかになったことも含め、いろいろな角度から真剣に考えなければいけないタイミングになったと思っています。夏の過酷な環境というのはサッカーだけに関わらずというところも、もしかしたらあるのかもしれません。我々が成長するために何が必要なのか考える中でシーズン移行の話が出てきましたが、そのほかに成長に向けて、停滞を避ける方法があったのかということをここまで話をしてきています。従って、時間軸的にもちょうど検討のタイミングだったし、外部的な要因もたくさんありました。本気で成長を目指すのであれば投資が必要だといったことも含め、総合的に今の状況になっていると思います。
Q:樋口さんにお伺いします。シーズン移行の話とは少しずれますが、いわゆるサマーブレイクに関してです。J1に関しては、一部のクラブを除いてある程度、夏は中断という形になりましたが、具体的に来シーズンに関して、現在、どのような議論になっていて、ある程度オーソライズされているのか、流れを教えてください。
A:樋口本部長
今回、夏のパフォーマンスに関しては、監督会議でもかなり多くのご意見をいただいていたので、夏に少しでもブレイクを取るのは必然だと考えていたのが議論の始まりです。今回、クラブにはブレイク期間が2週の案と4週の案をまず提示しました。当然、4週サマーブレイクを取れば、その分、平日開催が増えたり、一部、連戦が出来たりします。どちらがいいかという議論を実行委員会・理事会でもしているところですが、現在のところ様々なバランスから、J1・J2・J3それぞれ「2週が適切なのではないか」という意見が多くなっているところです。
Q:それは最終的には理事会で(決定)?意思決定としてはどのような形ですか?
A:樋口本部長
サマーブレイクに関してだけではなく、いつ開幕するのか、いつ最終節を行うのか等も含めて、試合の日程に関しては理事会で決めることになります。一方で理事の皆さまも、サマーブレイクをどう取るかはクラブの意見が大事だと感じているという感触ではあると思います。
Q:先週、初めて各クラブへ移行へという話が伝わったと思いますが、具体的に反対したクラブの数を教えていただくことは可能ですか?
A:樋口本部長
公開はしない方針です。また、ご質問にあったような「移行へという方針」を示したわけではなく、「多くのメリットがあるけれど、一方で懸念事項もあるのでスピーディーに検討しましょう」というスタンスです。
仲村広報部長
冒頭でも説明しました功労選手を12名、功労審判員を4名選出しています。こちらは12月に行われますJリーグアウォーズにて表彰を予定しています。Jリーグアウォーズの表彰概要につきましては、また改めて発表いたします。