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メディアブリーフィング:シーズン移行の検討状況について

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2023年8月7日(月) 16:00

メディアブリーフィング:シーズン移行の検討状況について

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メディアブリーフィング:シーズン移行の検討状況について
シーズン移行の検討状況について

2023年8月2日

メディアブリーフィング:シーズン移行の検討状況について

2023年8月2日(火)14:00~
Jリーグ会議室およびWeb ミーティングシステムにて実施
登壇:窪田 慎二 執行役員
   樋口 順也 フットボール本部長

〔司会(仲村広報部長)より説明〕
7月理事会での検討事項であるシーズン移行の検討状況につきましてフットボール本部長の樋口よりご説明いたします。

〔樋口フットボール本部本部長より「シーズン移行検討の件」について説明〕

シーズン移行の検討状況につきまして、4月から数えて4回目のメディアブリーフィングをさせていただきます。

本日ご説明の項目は「シーズン移行とはそもそも何なのか」「なぜ我々がシーズン移行を検討しているのか」「移行すると何が実現できるのか」「現在の検討状況」、7月からJクラブ全体、JFAも含めた議論を始め出している「Jリーグや日本サッカー界として目指すものは何か」というものです。これらの議論の進捗についてご紹介させていただきます。

まず、シーズン移行とは何か、です。資料中のグレーの円が1月から12月を表しており、現行のシーズンは、2月後半頃に開幕をして12月の初旬頃に終わるというシーズンになっています。
J1リーグにおいては、8年に3回ペースで夏6月7月に中断があります。4年に1回のFIFAワールドカップと、AFCアジアカップが8年に1回のペースで本来は夏に行われますので、「8年に3回のペースで中断」と記載しています。
シーズン移行をした場合、前回までにご説明した通り案Aと案Bがございますが、開幕が8月の頭頃で、12月の半ば頃からウィンターブレークに入って2月の半ば頃から再開をして、5月の終わり6月の頭くらいに終わるというのが案Aで、こちら緑の円がシーズン移行をした場合のカレンダーとなります。

2つを重ね合わせたものがこちらになります。

これまでと繰り返しのご説明ですが、実際に冬に試合をする期間についてはこちらの案Aにおきましても、これまでよりも12月を1〜2週長く、2月を1〜2週長くするものです。さらに降雪期間、雪の中でサッカーはできませんので、降雪地域のクラブは、各クラブの状況によってアウェイで連戦をするような形を想定しています。

移行した場合の案Bは、冬の期間に今のシーズンと全く同じ12月の1週目くらいで終わり、長めのウィンターブレークをとって2月の3週目頃に再開するという、今のカレンダーと全く同じところでウィンターブレークをとるものです。

我々がなぜシーズン移行を検討しているか、こちらは、前回までの説明の繰り返しなので、詳しいご説明は割愛いたしますが、外部環境の変化をきっかけに最適なカレンダーを考えるということです。AFCチャンピオンリーグ(ACL)がシーズン移行を実施したことが一つのきっかけになっています。選手目線、ファン・サポーター目線、さまざまなステークホルダー目線、クラブ経営目線、それぞれの目線によって違いがございますので、この中で議論しながら日本サッカーの発展のための最適な答えを見つけていきたいと思っています。

シーズン移行をすると何が実現できるかについてもこれまで何度かご説明しています。
6月〜9月の暑い中での試合数の減少の話、ACLのシーズンと一致する話、ヨーロッパのシーズンと一致する話、この3点を主なメリットと考えています。
様々な懸念事項も存在します。様々なステークホルダーとの年度の異なり、降雪地域の対応、移行期の対応、それからウィンターブレークを取ることにより試合開催できる期間自体が短縮することへの影響、寒い中での試合数の増加。また移籍関連では良い部分もあるが、デメリットもあるのではないかというご意見もいただいています。こういった様々な懸念事項も存在している状態です。

ここからが7月の議論での新しい情報です。現在の検討状況ですが、2月頃から意見交換を始め4月5月で検討の進め方の確認を全クラブで行っておりました。5月の段階で今後判断するために必要な項目の洗い出し、どういう項目を研究していけば良いかという項目を50個くらい並べました。そしてまずフットボール観点ではメリットがあるという大枠の確認も5月の時点で行っています。
さらに6〜8月でこちらの様々な検証を分科会の形で行っています。
4つの分科会を全部で原則3回実施を予定しており、本日時点で全ての分科会で2回終了し、来週と8月の中旬くらいに全ての分科会の3回目を実施する予定になっています。

これまでの議論で、クラブの賛否を問うような議論はしていませんと繰り返しお伝えしてきました。
それぞれのシーズンの持つ特性をしっかり研究しなければ、例えば平日が増えるとか、降雪の時期に試合が増えるという話だけですと、実際それがどれくらい増えてどれくらいのインパクトがあるかという議論ができません。まずは賛否を問う前にしっかりと情報を精査して皆が同じ景色を見た上で判断していきましょうという事を繰り返しお話しいたしました。
これまでずっと特性の研究や実際にシーズン移行した場合のカレンダーはどういう形になるのかという具体的な試合日程の策定を進めていました。現在、分科会で様々な情報の精査を進めていますので、これから徐々に「Jリーグは何を目指していくのか」「その目指すものを実現するためには、どのようなカレンダー、どのようなシーズンが最適なものなのか」ということの議論に推移していくのが7月、8月だと思っています。
実際にこの7月の実行委員会・理事会では、統合的な検討に向けての頭出しの話を始めている状況です。

具体的に4つの分科会でどのような項目の議論をしているかを1ページで表しています。

フットボール分科会では、試合日程のシミュレーションの確認、フットボール水準のデータに関する意見交換、もし移行する場合については移行期がどうしても0.5もしくは1.5というシーズンを過ごすことになりますので、この場合の大会方式の初期整理。またJリーグだけではなくJFL、地域リーグ、大学、高校などへの影響がどうなるかの初期整理、スタジアムの確保のタイミングなど、行政の年度とずれることになるので、この辺りが重要な論点であるということの確認をしています。
またシーズンオフやウィンターブレークがこれまでと違った形になるので、キャンプの日数やオフの日数がどのくらい増えるのか減るのか、こういったところの検証を今各クラブにアンケートをとりながら精査を進めているところです。
降雪地域分科会では、降雪地域の施設関連、海外の事例や専門家にもヒアリングをしながらどのように試合の環境やお客さまにとってより快適な環境でご覧いただけるか、こういった部分の研究を進めています。
先ほど降雪期間はアウェイで連戦を行うと申し上げましたが、当然少しでもホームで開催できた方がその地域のお客さまにも喜んでもらえますし、フットボールの観点でも良い部分があると思いますので、一節でも多くホームで開催できるにはどのような事例があるのか、今後の施設の投資が必要かなど含めて研究を進めているところです。特に12月、2月は、パターンAの方で言うと今よりも1〜2週ずつ増えますので、降雪地域に限って、その期間ホーム開催ができるかできないか、個別のヒアリングなども行っています。また、アウェイが続く中で、ホームに戻って練習ができないため、遠方でキャンプをはってアウェイ連戦を戦うこともあると思います。そういった期間がどれくらいあるのか、またその費用がどういった形になっていくのかについても今検証を進めているところです。また、基礎的な日本全国の気象データの共有なども行っているのが降雪地域の分科会です。

事業・マーケティング分科会では、パートナーや自治体も含めたステークホルダーを担当する事業担当、主にお客さまをどう増やしていくかという観点を担当しているマーケティング担当の両者に出てもらって議論しています。
試合日程のシミュレーションをもとに入場者数がどのように変動するか、例えば平日の日数がこれくらい増えるとこれくらいの影響がある、逆に6月の梅雨、雨が減るとこういうプラスの影響があるなど、サッカーの質が変わってくる部分は一旦排除して、試合の日程の状況のみ、平日がどうか、雨はどうか、GWはどうかなどの部分だけを変えた場合にどう変動するかというシミュレーションを進めているところです。
また移行した場合のマーケティング計画の初期整理、自治体やスポンサーの皆様と年度がずれてしまう部分も大きくあると思いますので、そういった部分の懸念事項をどのように解決していくかの確認を進めています。
また事業・マーケティング分科会では、クラブ間のグループ討議も30分以上時間をとり、10クラブずつくらいを6グループに分けて、クラブごとにどういう影響があるか、どう考えているかを議論する機会も作っています。
経営管理分科会では、移行期の検討事項の確認や、決算期は現在2月‐1月でやっているクラブが多いですが、決算期を変える場合にどういう対応が必要になるか、また逆に変えない場合はどういう影響があるかも含めて検討しています。そのほかも税務面やクラブライセンスの対応、各クラブのP/Lにどのような影響があるか、資金繰りにどのような影響があるか、こういった部分の検討事項の確認をしているところです。
経営管理分科会におきましては、それぞれの検討項目を並べている状況で、他の3つの分科会の進捗に合わせて更なるシミュレーションを行っていく準備をしています。
これまでに全分科会2回ずつ、それぞれ1回が大体2時間くらいで、全クラブ参加いただいているものもあれば30〜40クラブ程度のものもあり、参加者100人〜200名くらいの会議をウェブで開催しているところです。

フットボール分科会でお話をしているフットボール水準のデータに関するものをいくつかお示しさせていただきたいと思います。
月別のデータになっておりまして、全て同じフォーマットでございます。昨年・2022年の明治安田J1リーグのデータのみです。

J1のみトラッキングシステムを入れていますので走行距離に関するデータが測れますが、J2、J3が測れない状態になっていますのでJ1のみとなっています。
昨シーズンはW杯がありましたので、2月から11月までのデータです。それぞれの月の1クラブあたりの平均試合数も表に掲載しています。
総走行距離で言いますと大体1試合、1クラブあたり111キロが2月の平均になるのですが、これを0とした時に増えているのか減っているのか割合を月別に示しているのが下のグラフになっています。総走行距離で言いますと、6月くらいから少し下がってきて6、7、8、9と10月あたりも少し下がり11月に向けて少し上っていくデータになっています。

次はハイインテンシティの走行距離です。時速21km以上をハイインテンシティと定義づけています。
ちなみに今年から日本代表などと合わせて20kmと改定しているのですが、去年のデータになりますので21kmの状態でデータを整理しています。こちらも同様に6月くらいから大きく減少し、終盤に向けて少し上っていく状況です。

こちらがスプリント、同じように定義が24km以上となっています。こちらも同じように6月くらいから大きく減少して終盤に向けて回復していくというような傾向です。

ディフェンスのプレスの数も同じような傾向です。
次が加速と減速です。次の急加速・急減速と合わせてご覧いただきたいと思いますが、それぞれ定義2.5以上と4.0以上ですが、こちらも同じように夏になって大きく低下している状況です。

以上、定量的に夏のパフォーマンスがどうなっているかを示せるデータをフットボール分科会で整理をして議論をしているところです。

今後は、定性的な面で、選手や監督の目線で、例えば夏の試合があることによって監督はチームの闘い方をどう変えているかとか、また実際にプレーしている選手の声をヒアリングしたいと思っていますが、まずは定量的に今のJリーグのフットボールの水準がどのようになっているかを一旦初期整理として示しています。
季節の影響ではなく単純にシーズンが始まって疲れているだけではないかという意見もありますので、海外はどうなっているかも調査しています。後日お示しさせていただきたいと思っています。

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次に試合日程のシミュレーションになります。シーズンを移行した場合と、移行しない場合のそれぞれ複数年の試合日程を作成しています。どこまでやっているかと申しますと、移行しない場合は2026シーズンから2032シーズンまで。移行する場合は2026―27シーズンから2031―32シーズンまでのシミュレーションを行っています。
なぜここまでやっているかというと、移行する場合の最速は2026―27に設定しているので、2026―27シーズンから開始にしています。移行した場合、6月-7月ぐらいに国際大会でシーズンの前後を挟まれることになります。例えば前にワールドカップがあって、後ろにアジアカップがあるとか、前にワールドカップがあって、後ろに何もない、前にクラブワールドカップがあって、後ろにワールドカップあるなど、挟まれる状況が6種類あり、6年分で1サイクルになっています。従って、6年間によって、始まる週が少し変わったり、終わる週が少し変わったりしますので、これらの影響をしっかりと検証するために、1サイクル、6シーズン分のシミュレーションを行っています。それに合わせて、シーズン移行しない場合についても、同様に2026シーズンから2032シーズンまでをシミュレーションしているという状況です。
シミュレーションの条件設定ですが、主にリーグ戦を対象としています。実際に内部での検討ではルヴァンカップ、FUJIFILMSUPERCUP、天皇杯、ACLなども入れているのですが、非常に複雑になるので、まずはリーグ戦を主としたデータを示しています。一方で連戦数(平日と週末で試合がある場合2連戦とカウント)がどれぐらいになるかについては、リーグ戦だけ示しても意味がないので、こちらについてはカップ戦なども含めた連戦数となっています。
もう1点、シーズン移行しない場合のシミュレーションには、天皇杯の準決勝と決勝を含めていません。天皇杯の決勝を1月1日に実施するか否かについては、シーズン移行の議論とはまた別の議論です。決勝を1月1日に実施する場合としない場合でシミュレーションを作ると、複雑になりすぎますので、まずは準決勝と決勝戦が入っていない状況でシミュレーションを行っています。従って、実際に準決勝と決勝を例えば今シーズンと同様にリーグ戦を実施している週末に入れたりすると、その分、J1のリーグ戦を平日にスライドするようなこともあり、現在のシミュレーションで示している数よりも平日が増えたり、連戦が増えることもあるかと思います。ウィンターブレークが短いか、長いかでパターンAとパターンBがあります。両案とも作成しているのですが、J3のみB-1とB-2とある中で、B-1のみで作成しています。B-1は、ウィンターブレークからの再開がJ1、J2と同じ2月3週ぐらいに開幕するものです。今回、シミュレーションは進めていないのですが、今シーズンのJ1、J2は2月の3週目、J3だけは3月の1週目スタートと、2週間ぐらい遅く開幕しておりますので、そこまで長くウィンターブレークを取る案も中では考えており、それがB-2になります。こちらに出ているシミュレーションはB-1になります。
このシミュレーションは、非常に膨大な量になっており、内部でも確認し、クラブともたくさん議論はしていますが、たぶんまだ多くの抜け漏れや数え間違い等もある状態だと思います。ぜひ皆さまもご熟読いただき、今後一緒にコミュニケーションさせていただければ幸いです。
それぞれの項目を簡単にご説明いたします。
それぞれのページの構成ですが、上の黒い部分、白文字で何を表示しているかのタイトルを書いています。

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J1、J2、J3と上から並べていまして、左側のブルーがシーズン移行しない場合の2026シーズンから2032シーズンまで。緑の方が2026―27シーズンから2031―32シーズンまでのパターンA(ウィンターブレークが短いもの)、パターンB(ウィンターブレークが長いもの)のそれぞれのカレンダーを示しています。例えばシーズン開始のタイミングでいいますと、シーズン移行しない場合は基本的には2月の3週ぐらい、その1週間前にFUJIFILMSUPERCUPを実施しているという状況になっています。これが移行すると、大体8月の1週目もしくは2週目ぐらいにリーグ戦が開幕することを示しています。以下、J1,J2、J3とそれぞれ別で記載をしている状態です。

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シーズン終了のタイミングです。こちらも繰り返しになりますが、カップ戦は含まれていません。リーグ戦、またはリーグにまつわる昇格プレーオフやJ3、JFLの入れ替え戦のみを示している状態です。

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シーズンオフの期間です。シーズンが始まる前のオフがどれぐらいあるか、クラブによっては天皇杯を勝ち上がったり、昇格プレーオフに出場したりというように、バラバラになってきます。リーグ戦とリーグ戦の間がどれぐらいあるのかということをまず示しているのがこちらの「シーズンオフ期間」となります。

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次のページがシーズン中のブレーク期間です。今のシーズンでいいますと、サマーブレーク、夏の中断です。シーズン移行した場合でいいますと、ウィンターブレーク、冬の中断期間になります。サマーブレークについては、今シーズンJ1は、2週間ブレークを取っていました。この1、2週のサマーブレークを取るか、取らないかというのは、これもシーズン移行の検討とはまた別の議論になります。サマーブレークを1、2週取る場合、取らない場合についてもシミュレーションをすると膨大になりますので、サマーブレークは基本的に取らないものとして一旦シミュレーションを行っています。従って、議論の中でこの年はサマーブレークを2週取ろうとなればその分、例えば平日の試合数が増えたり、連戦が増えたりすることもある状態になります。移行しない場合においては基本的にはワールドカップイヤーですとか、アジアカップがある年、8年に3回のサイクルでブレークがJ1で発生します。J2、J3についてはIW(インターナショナルウインドー)期間でもリーグ戦を実施しますので、基本的にはサマーブレークはありませんが、1、2週取るかどうかは毎年議論するという形になっています。 

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シーズンオフ(シーズンが始まる前のオフ)と、シーズン中のオフ(ウィンターブレークなど)を合計するとどうなるかというものをこちらの図で示しています。

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こちらはリーグ戦の平日の節数です。こちらの注目度は高いと思います。ルヴァンカップ、天皇杯は含めていません。リーグ戦のみの平日です。J1におきましてはこちらも8年に3回のサイクルで平日の節数は増える状態になります。全38節のうちのワールドカップイヤーは7節ぐらいが平日になるのではないかという見込みです。これが移行しますと3-5節ぐらいでどの年も大きな変動がない状況になります。例えば2027シーズンと、2027―28シーズンを比較しますと、2節分、平日が増えることになります。1クラブのホームゲームでは半分になりますので、ホームゲームとしては1試合平日が増えるというイメージです。パターンBになりますと、ウィンターブレークを長く取る分、12月と2月でそれぞれ少し長くやろうとしていた分がほかのところの平日に入ってきます。その分、平日の節数が少し増えるというイメージとなっています。J2、J3につきましては、ワールドカップ期間中、アジアカップ期間中もリーグ戦を行う前提ですので、基本的には移行しない場合は平日開催がない、もしくは1、2節程度となっているものが、移行すると、1~4節程度に増えるというイメージになっています。

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最後に説明するのは連戦の数です。連戦が理論上でどのぐらい最大であり得るのかというものと、モデルケースを示しています。モデルケースは、例えばJ2でいうとルヴァンカップと天皇杯でベスト32まで勝ち上がってそこで敗退した場合はどのぐらいになるかを示しています。
理論上の最大値のほうですが、まずJ1のACLに参加しないクラブの連戦数を記載しています。こちらもあくまでも理論上の最大値となっていますので、ご参考程度にご覧いただければと思います。ACLクラブの場合、移行しない場合8年に3回のサイクル、特にワールドカップイヤーなどは非常に多くの連戦がすべての大会に勝ち上がって決勝までいくと、あり得るという状況です。

モデルケースでいきますと、J1は例えばルヴァンカップと天皇杯がベスト8まで勝ちあがった場合は連戦がどうなるのか。赤い数字は先ほど申し上げた最大の連戦数とどういう差異があるのかを示しています。
J2におきましてはベスト32、J3におきましてはベスト64まで勝ち上がった場合をモデルケースとして、連戦数を記載しています。
ACLクラブについては、ルヴァンカップと天皇杯はセミファイナル、ベスト4まで、ACLについてはベスト8まで勝ち上がった場合を一つのモデルケースとして示しています。
以上が試合日程のシミュレーションとなります。
内部ではこれに加えて実際に“日程くん”という日程作成システムを稼働させて、2026-27シーズン(移行した場合の最初のシーズン)のホーム、アウェイの組み合わせがどのようになるかの検証も行っています。こちらについてはもう少し検証が進んだうえでお出しできればと思っています。例えば、降雪地域のクラブでは、12月に3試合連続アウェイでウィンターブレークを取って、2月から4試合連続アウェイといったクラブがございます。こういったクラブがどれぐらいあって、何試合あると降雪地域でないクラブにどれ位影響があるのかも含めて今、シミュレーションを行っているとこです。J1、J2で現状の構成で考えた場合は、降雪地域以外のクラブにホーム3連続が出るような偏りが発生していない状況となっています。J3におきましてもパターンB―2、今と同じぐらいウィンターブレークを長く取って、再開を3月の1週まで遅くすると、ほかのクラブにホーム3連続が発生しないのですが、パターンAやパターンB―1ですと、降雪地域のアウェイ連続が少し長くなるクラブがJ3には少し多いので、そうするとほかのクラブでホーム3連続や4連続が現在のシミュレーションでは発生している状況もございます。
少し情報量が多いので吞み込めていただけていない部分もあるかもしれませんが、一旦こんなシミュレーションを進めて、クラブと議論しているところです。

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冒頭にお伝えしましたとおり、今までずっと研究を進めています。分科会の3回目を終えるところぐらいで様々な研究も概ね進んでいく見込みが立っていますので、いよいよ「Jリーグとして何を目指していくのか」「そのためにどのような試合日程、カレンダーが必要なのか」という議論に移行していくタイミングになっており、7月の実行委員会、理事会から頭出しをさせていただいています。
Jリーグ、日本サッカーの現状認識については以前のメディアブリーフィングでもご説明させていただいています。まず、Jリーグとしてはアジアで圧倒的なJリーグになることやワールドカップのベスト8以上を目指していきますが、日本代表はまだJリーグの選手だけではなく、ヨーロッパで活躍する選手の中にJリーグの選手が混じっていくことが、現実的にまず目指す状態ではないかと思っています。30年が経った中で、30年前はイングランドのプレミアリーグと経営規模にあまり差がなかったということをよく言われます。この30年でプレミアリーグは大きな競争の中で成長し、日本と大きな差が開いている状況です。J1のトップ層のクラブからは、閉塞感があってなかなか成長が難しいというコメントもございました。競競争の段階に向かうことによって、世界と戦っていく環境を整備していきたいと思っています。
またご存知のとおり、ACLが今年からシーズン移行して、来年から大会の構造が3層に分かれ、トップの大会には24クラブのみが参加する大会になります。そしてクラブワールドカップも32クラブが参加する大会に発展していきます。やはりアジアで勝って、世界で戦う、本気の戦いをする場をJリーグとしても体験することが、当該クラブだけでなく、Jリーグ全体にとって価値を維持、向上させていく大きな要因かと思っています。

このような現状認識の中、今、Jリーグとしてどのような戦略で何を目指していくのかといった整理を進めているところです。こちらもまだ議論中で、固まっていないものなのですが、ぜひメディアの皆さまから多くのご意見をいただきたいと思い、公開させていただきます。

変わらないものとしてJリーグの理念、百年構想がある中で、昨年、二つの成長テーマを設定しています。トップ層はナショナルコンテンツ、グローバルコンテンツとして輝く、また60クラブはそれぞれの地域で輝く、この2つを設定しています。さらに、戦略、施策に今、分解を進めているところでして、大きく4点、世界と戦うフットボールをしていくこと、海外からの収益を獲得していくこと、Jリーグの中でも競争環境を構築していくこと、そして今年から大々的に進めていますが、各地域での圧倒的な露出を獲得することというこの4つの観点を記載しています。

具体的な施策としては、様々な観点がある中で最適なシーズンは何かということの議論、そして各種制度の見直し。例えばプロ契約のABC契約制度は撤廃してはどうかという検討を進めていますし、移籍金を獲得するにはどのようにするのが良いか、また外国籍枠、ホームグロウン枠など、どういったものが日本サッカーにとって最適なのかの議論を並行して進めているところです。
配分金のルールや大会構造の改革につきましては、昨年決議をして今年から開始しているものや、来年から開始するものもございます。マーケティングの強化やクラブサポートの新設におきましても、今年から推進しているものが多くあります。
また図の中で「世界と戦うフットボール」を、「マーケティングの強化」と結び付けています。野々村チェアマンがよく「作品」と申し上げていますが、単純にピッチ上の話だけではなく、より多くのお客さまにスタジアムで高い熱気でご覧いただくことがフットボールの水準を高めることに繋がっていくことにもなると確信しています。シーズン移行する、しないに関わらず、どんな状況においても快適な観戦環境が大事だと思っており、シーズン移行の議論と一緒に検討しているところです。

最終的に試合日程やシーズンを考える上での要件を並行して議論をしています。大きく4つに分けており、1つ目が、国際カレンダーの影響、日本が持っている4~3月の(期の)文化、そして雪の中で試合することが出来ないなどの変えられない前提条件。2つ目が選手やスタッフ。フットボールの水準を向上させていこうという視点、大会の公平性はどのぐらいの範囲だったら許容されるのか、また暑い中で選手の安全性確保やしっかりと一定期間のオフを取る権利の問題も重要な観点と思っています。
3つ目がファン・サポーターにどのように魅力的なフットボールを提供するのか、また観戦環境、観戦に適した気候でどの程度サッカーができるのか。4つ目がパートナー・メディア・自治体などのステークホルダーに向けても、魅力的なフットボールの提供、また、できるだけ多くの価値を提供するにはどのような試合日程がいいのか。こういった要件を整理しながら、最終的には目指すものが何かということも含め、統合的な議論を今後続けたいと思っています。

7月の状況は4分科会で様々な特性の研究を進めていること。そして、統合的な議論に移ろうとしていること、そして試合日程の詳細なシミュレーションを全クラブで行っていることのご報告になります。


〔質疑応答〕
Q:連戦数の定義について質問です。
最大連戦数ということで、週末・週の中日・週末と連戦数が「7」とありますが、7試合あるということでよいでしょうか。

A:樋口本部長
その通りです。週末試合があって、水曜日に試合がある場合は「2連戦」としています。さらにその後週末に試合がある場合は「3連戦」としています。

Q:この場合は最大で11試合や7試合あるということは理解しましたが、例えば5連戦が複数回あるクラブがいる一方で、連戦数自体は多いものの、シーズンの中の回数は少ないクラブがあるということは現時点ではわからない、ということで良いのでしょうか。

A:樋口本部長
今示している数字は最大のもののみとなります。一方で、内部では2026から2032シーズンまでをシミュレーションし、どこにどれくらい連戦が発生するかという情報を出しています。
各クラブは、最大連戦だけではなく、どれくらいの連戦がどのくらいの回数で発生するか確認できる状況にはなっています。ただし、それをわかりやすく皆様に示す方法が無く、現状ではわかりやすいものだけ示している状況です。

Q:今のシーズンのように11月だけ試合数に大きな差が出るなどといった問題、連戦の差がクラブによっては生じるということが、結局シーズン移行することで解消されるかどうかがわからないのですが。

A:樋口本部長
まだ、我々も各クラブの差がどうなるかまでは算出できていません。
現状では、インターナショナルウインドーの影響が大きいと思っています。例えば、現在のシーズンでは10月・11月はAFCチャンピオンズリーグ、ルヴァンカップ、天皇杯をそれぞれ勝ち上がると、月に7~8試合あり、すべて負けてしまったクラブは、リーグ戦のみ2試合程度しか試合がないこともあります。2試合しかないということは、2週間に1試合で、ホームゲームは月に1回となります。
シーズン移行すると、インターナショナルウインドーにシーズン終盤が重ならないという点は改善されると思いますが、もしかするとシーズン序盤で同じようなケースが起こる可能性も出てきます。シーズンを通しては、現時点では確固たる回答ができない状況です。

Q:フットボールの質という点で、スプリントのデータ等がありますが、あくまで季節性のものを示すだけで、連戦が多くなるとどうなるかという検証もされているのでしょうか。

A:樋口本部長
現在、同様のグラフを「連戦数」で検証したものも作成しています。昨年2022シーズン分の検証は終わっていますが、シーズンによって連戦数にばらつきがあるので、もう少し検証しないとまだお出しできる状況ではないと思っています。2022シーズンだけで見ると、連戦が増えることでこのデータが顕著に動くことはなさそうですが、もう少し複数のシーズンを確認します。

Q:全体的なことですが、現在4つの分科会で話が進められ、全部で3回のところ、2回が終了しているとのことですが、統合的な検討というのはどのような形式で行うのでしょうか。4つの分科会の代表者が集まるような形なのでしょうか。

A:樋口本部長
基本的には、実行委員会と理事会でやるべきことだと考えています。
一方で、今回分科会を行い、実行委員が出ているクラブ、出ていないクラブがいますが、多くの担当者が参加して議論しています。正式には実行委員会、理事会で統合的な検討を行いますが、引き続き担当者も巻き込んだ議論も必要だと考えています。

Q:9月の実行委員会からは、分科会で出たことをもとに話し合いが行われるということでしょうか。

A:樋口本部長
7月の実行委員会の時点では、まだ全ての分科会が2回目まで行われていませんでしたが、分科会の簡単な情報、サマリーはご報告しており、それを土台にしながら、目指すものは何かという頭出しの議論を始めているところです。
8月の実行委員会では3回目の分科会が終わっているタイミングになりますので、3回目までの報告をしたうえで、さらに目指すべきものはどこかという議論を濃い目に行っていくことになります。9月の実行委員会では、おそらくほとんどの情報がそろった中で、Jリーグはどちらの方向に向かうかということが議論のメインになると思います。
8月の実行委員会は8月24日で、分科会は8月17日までには3回目はすべて終わります。

Q:8月の実行委員会から議論が進むのでしょうか。

A:樋口本部長
その予定ですが、ある程度情報がまとまった中で、「情報が足りない項目」「議論が足りないこと」があれば、場合によっては4回目以降の分科会が開催されることも考えられます。

Q:6シーズン分のシミュレーションをされたと思いますが、8シーズンに1回特殊なシーズンがあるというのはどのようなことでしょうか。

A:樋口本部長
シーズン移行しない場合の話をしています。8年に3回J1にとって特殊なシーズンがあります。4年に1回ワールドカップがあるので、8年に2回。アジアカップは東西で西は1月、東は6月・7月に開催されるケースが交互にあることを考慮すると、8年に1回、Jリーグのシーズン中の6・7月に、アジアカップが開催されることになりますので、合計して8年に3回分、6・7月に国際大会が開催されることになります。

Q:海外のデータを今後整理していくとのことですが、どの国を参考にされるのでしょうか。

A:樋口本部長
基本的に欧州5大リーグ(イングランド、イタリア、スペイン、ドイツ、フランス)を確認してます。外部のデータ会社に調査を依頼しますので、一定の金額で何か国ぐらい整理できるかも含めて調整しています。

Q:降雪地域についても海外の事例を含めて調査されるとのことでしたが、それはどの国を参考にされるのでしょうか。

A:樋口本部長
特定の国というよりは、アメリカ、ヨーロッパなどの事例で、試合を実施するためのスタジアムの工夫もあれば、観戦環境、例えばヒーターをどのように設定するかなど、また練習場についても簡易的な練習場をいくらかの投資で整備できないか、などの話をしています。

Q:そうすると、アメリカ、ヨーロッパというようなイメージになりますでしょうか。

A:樋口本部長
そうなります。

A:窪田執行役員
トップレベルの試合環境、練習環境も当然ですが、冬にスポーツができる環境、例えば屋根があって人工芝があって、などといったものも合わせて研究しています。

今後については、Jリーグの価値、価値というのは試合もそうですが、地域に根差したスポーツクラブづくりという観点でも、Jリーグ全体、Jクラブの価値をどのように高めていくために我々はどこを目指していくのかという議論も進めています。そのような観点でもまたご報告ができればと思います。

 

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