2023年4月25日
2023年度 第4回Jリーグ理事会後会見発言録
2023年4月25日(火)17:30~
JFA ハウス4F 会議室および Web ミーティングシステムにて実施
登壇:野々村 芳和チェアマン
陪席:青影 宜典 執行役員
窪田 慎二 執行役員
樋口 順也 フットボール本部長
〔仲村広報部長より説明〕
本日開催いたしました第4回理事会後会見を開催いたします。
まずは広報より本日の決議事項についてご説明いたします。
裁定委員選任の件、Jリーグ百年構想クラブからの脱退に関する件はメディアチャンネルにリリースをアップしています。また、ゴールキーパーユニフォームの広告規定変更の件につきましては規約規程を変更いたします(2023年7月1日発行)。後ほどご説明いたしますが、シーズン移行検討の件につきましては報道資料をメディアチャンネルにアップいたしました。
《決議事項》
1.裁定委員会の件
https://aboutj.jleague.jp/corporate/release/26226/
Jリーグが本日開催した理事会で、Jリーグ規約および裁定委員会規約に基づき、裁定委員会の議員に芝昭彦氏を新たに追加選任いたしました。
それ以外の4名につきましては昨年末裁定委員として委員長も含め選任しています。
芝氏の経歴につきましては、リリース下段に記載がありますのでご確認ください。
2.Jリーグ百年構想クラブからの脱退に関する件
https://aboutj.jleague.jp/corporate/release/26227/
Jリーグはヴェルスパ大分についてJリーグ百年構想クラブから脱退することを承認いたしました。
脱退理由は2020年12月の制度改定により、Jリーグの入会要件からJリーグ百年構想クラブであることが要件から外れたことにより、これまで必須であったJリーグ百年構想クラブでなくてもJ3ライセンスの取得に支障がない状況となったためです。
クラブはこれまでと変わらずJリーグ入会を目指し、ホームタウンの自治体やスポンサーからの支援、ファン・サポーターの声援を受け活動して参ります。
3.ゴールキーパーユニフォーム広告規定変更の件
こちらは規約改定の変更のみとなりますので口頭でご説明いたします。
ユニフォーム規定の第10条、広告の表示の第2項につきまして、「また、フィールドプレーヤーとゴールキーパーのユニフォームとで異なる広告を表示することができる」という内容に変更しています。こちら収益機会確保の観点からこのような改定に至った次第です。
(2023年7月1日発行)
〔野々村チェアマンよりコメント〕
今日の理事会とは少し離れる話題になりますが、最近のJリーグについてお話します。
まず、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝が今週開催され、浦和レッズがアウェイで決勝の1試合目を戦います。
Jリーグとしてアジアの中でどういう存在感を出していくか。そこで勝つことがJリーグとして非常に重要なところでもありますし、良い結果を持ってホームに帰ってきていただきたいと、当然ながら期待をしています。
それから、4月20日のメディアブリーフィングでもお話ししたと思いますが、Jリーグがコロナ前と今シーズンでどうなってきているかという数字(入場者数)の話をしたいと思います。
コロナの前のシーズンである2019年と比べてJリーグ全体で約84%の入場者となっています。
J1、J2、J3で多少グラデーションがありますが、概ね元のお客様の数、熱量に戻りつつあるという感覚を持っています。
今シーズンは、2019年比で雨天が3倍程あったり、浦和レッズのホームスタジアムが浦和駒場スタジアムだったり、少しアゲインストな要因もありますが、まずまずの数字となっており、ここから100%になるための取り組みをクラブと一緒にやっていきます。
次の話題となりますが、テレビの露出強化を今年から30のエリア、45都道府県でやってきていますが、2022年・去年の3月との比較で、露出の量が約6.7倍、それから広告換算価値が約4.6倍というような数字が出てきています。
サッカーを目にする機会は着実に日本中で増えてきていると思います。
当然ただ露出を増やせば良いわけではないので、クラブとリーグで一緒にクラブの収益にどう持ってこれるか、多くの方にサッカーにより興味を持ってもらい、スタジアムやクラブの周りについてもらえるかということを引き続きやっていきます。こちらはポジティブな数字だと思っています。
中継の本数ですが、地上波とローカル含め、去年との比較で約140%、プラス24試合多く放送されています。
視聴率も気になるところですが、新たなサッカー番組である「KICK OFF」は最高視聴率が山梨放送の15.9%です。これは少し特別な理由があり、山梨の中で元々放送されているすごく人気のある枠の中にキックオフを入れてもらっているということがあるので、考え方によってはキックオフという番組をそれぞれの地域の有力なコンテンツの中に入れることができるとより多くの方に見てもらえる、認知してもらえると考えています。
5%以上の視聴率を記録しているエリアが8局あり、青森、秋田、山梨、新潟、静岡、鳥取・島根、広島、大分です。
番組とローカルでの試合の中継での視聴率においての最高視聴率は、セレッソ大阪 vs. アルビレックス新潟、こちらはセレッソ大阪のホームで行われた開幕試合で、NHK新潟放送局がアウェイゲームの中継で14.7%。
10%を超えている試合が11試合。新潟が4試合、大分トリニータが2試合、ヴァンフォーレ甲府が2試合、モンテディオ山形、清水エスパルス、V・ファーレン長崎がそれぞれ1試合です。
先ほど84%お客様が戻ってきていますとお伝えしましたが、J2、J3の方が2019年比で良い数字となっています。これは明確な事実とはしっかり実証できていませんが、ローカルでの露出が増えることでお客様の数が増えてきている、逆に言うと、今までできていなかったところにしっかりとアプローチできる施策を各クラブの皆さん、地域のメディアの皆さんとうまくやれているところが少し数字を伸ばしていると感じます。これも一つのヒントだと思いますので、引き続きうまくやっていきたいと思っています。
この後、シーズン移行に関することで窪田と樋口からお話いたします。
これからどのように進めていくのかということ、やるのかやらないのかという議論をする前に整理しなければならない問題もあますので、実際にリーグの中と実行委員会またはいろいろなステークホルダーとどのような話をし、どう進めていくかを今日だけではなく、今後情報を開示していこうと思います。今日はその1回目と言うことで話を聞いていただけたらと思います。
《検討事項》〔フットボール本部 樋口 本部長より説明〕
1.シーズン移行検討の件
非常に複雑で、初期的な情報
〔1〕なぜシーズン以降の検討をするのか
外部環境の変化をきっかけに日本サッカーにとって最適なカレンダーを考える。
●外部環境の変化
外部環境の変化をきっかけに、日本のサッカーにとって最適なカレンダーを考えるタイミングだと思っています。その外部環境についてご説明いたします。大きな動きとしてACLが今シーズン・2023-24シーズン大会からシーズン移行を実施しています。
下に図を書いておりますが、左側が2023-24シーズン、右側が2024-25シーズン。ACLがシーズン移行を行いましたのでJリーグにとっては2シーズンにまたがる大会となってしまいます。
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具体的には下のACLのグループステージ、Jリーグにとっては2023シーズンのチームで戦うことになりますが、これを勝ち抜いたチームは、ラウンド16以降は2024シーズンの新しいチーム編成で臨むことになり、これが今後も続いていくことになってしまいます。
このほかにもFIFAクラブワールドカップが4年に1回、32チームの大会になります。
この出場権は4年間のACLの優勝チーム、4チームが出場できることになりますので、この32クラブが戦うクラブワールドカップに出るためにはこのACLで優勝する必要があります。
それだけではなくこれまでと似たようなクラブワールドカップとして、UEFAが決勝で待ち構えることが少し変更なのですが、これまでに似た大陸王者決定戦のトーナメントも毎年行われることになります。
また、ACLは1年後、2024-25大会から大きく構造が変化することになります。これまではACLとAFCカップの2構造だったものが、3構造の大会になり、一番上の大会はこれまでの40クラブではなく、24クラブに絞られることになります。Jクラブはこのままいくと、3クラブが1番上のTier1の大会に出て1クラブがTier2の大会に出る予定になっています。
おそらくチーム数が24クラブに絞られる大会になり、賞金もこれまでより多くの金額になることを想定しておりますので、こういった大会でしっかり勝ち抜いていくことが、Jリーグが今掲げている2つの成長テーマの一つのナショナルコンテンツ、グローバルコンテンツを作り上げていく一つの大きな機会になると思っています。
もう一つ別のレイヤーですが、インターナショナルウィンドウ、今3月、6月、9月、10月、11月と代表活動が優先される期間がありますが、9月と10月の2試合ずつが2026年から統合されて4試合できる期間になります。
Jリーグにとっては、これから優勝争いや昇降格が盛り上がる後半戦で、これまでは1週末の休息でリーグ戦再開できたのが2週末中断することになりますので、こういった観点も一つ大きな影響かなと考えています。
●日本サッカーにとっての最適なカレンダー
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こういう外部環境の変化がある中で日本サッカーにとって最適なカレンダーはどのようなものなのか、これを抜本的に1から全て議論していきたいと考えています。
最適と言いましてもプレーする選手やスタッフにとっての最適、もしくは応援していただくファン・サポーターにとっての最適、ご支援いただくスポンサー、パートナーやメディアの皆様、自治体の皆様、ステークホルダーにとっての最適、それからクラブ経営にとっての最適、様々な視点があり、全部違った目線になると思っています。
それぞれの目線で最適が何かをしっかり考え、最終的にはどういうカレンダーが日本のサッカーの発展に最も良いか、こういった観点で議論していきたいと思います。
具体的にこれからシーズン移行を検討するにあたり、どういうカレンダーを考えているのか、初期の案をご説明いたします。
〔2〕移行した場合のシーズンのイメージ
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●シーズン移行した場合のカレンダー(素案)
まだ素案でこれから検討を重ねていく中で変わっていくこともあると思います。
開幕は7月の最終週もしくは8月の1週目辺りを想定しています。シーズンの終わりは、5月の最終週もしくは6月の1週目辺り。冬の期間ですが、1月はウィンターブレイクをとる予定で、12月の3週目か4週目頃まで試合を行い、そこからウィンターブレイクをとって2月の1週目〜2週目頃から再開する。このようなカレンダーを考えています。
もう少しイメージしやすいように、この後違う視点で同じことを3回ご説明いたします。
●イメージ①開幕から閉幕までの比較
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まずシーズン移行をしない現状のカレンダーとシーズン移行をした場合のカレンダーのそれぞれの開幕と閉幕を合わせたものです。
上が従来のカレンダーで2月の2週目頃の開幕となっています。下がシーズン移行をした場合で8月の1週目頃の開幕と仮置きしています。全部の月を4つに分けていますが、実際は5週の月があったりしてずれが生じるので1週というイメージよりは1つの項目が1〜2週と捉えていただければと思います。始まりは上が2月の2週目、下が8月の1週目です。
シーズン移行しない場合、これまでのカレンダーですと12月の1週目もしくは2週目頃までシーズン、その後シーズンオフという形になっています。
これがシーズン移行した場合、8月の1週目頃に開幕し、12月の3週目〜4週目頃までやってウィンターブレイクを1ヶ月強とる。1ヶ月休んだ後に2月の頭くらいから再開して5月の末に終わるカレンダーになっています。
シーズン移行というと、「秋春制」という言葉もあり、サッカーをやるシーズンが全く変わるのではないかというイメージがあるかもしれませんが、実際はサッカーをやるシーズンはそれほど大きく変わらないと認識しています。
今のシーズンですと12月1週目もしくはプレーオフに出て来れば2週目辺りまでサッカーをすることになりますが、これが3週目〜4週目くらいまで、1〜2週伸び、12月の開催時期が1〜2週長くなります。1月は試合を行いません。
これまで2月は、スーパーカップが2週目、リーグ戦が3週目頃に開幕していたものが、シーズン移行した場合は1〜2週前倒しで再開となります。そのため、12月は1〜2週長く実施、2月も1〜2週前倒しで早く実施し1月は休みとします。その分6月と7月を休むというカレンダーになっています。
6月、7月を休むということについても、例えば4年に1回のFIFAワールドカップがあるシーズンは、実際に今のシーズンでも6月、7月は休んでいることになります。
そしてクラブワールドカップが4年に1回に拡大された32クラブで実施されますが、もしクラブワールドカップが6月〜7月にあってJクラブが出場する場合、当然そのクラブは他の日に試合をすることになります。
4年に2回もしくは、昨今は1月に行われることが多いですが、AFCアジアカップが6月〜7月に行われる場合は、リーグ戦は休むことになりますので、今のカレンダーでも6月〜7月は十分に使えている状態ではないというのが参考情報です。
●イメージ②現在のシーズンからの比較
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今度は上が現在のカレンダー、下がシーズン移行した場合のカレンダーで、開幕時期を合わせるのではなくて、月を合わせています。
もう一度同じ話をしますが、従来2月の2週目頃に開幕していますが、シーズン移行の場合、シーズンのウィンターブレイクが1月にあり、2月に(現在のカレンダーより)1〜2週早く再開する、サッカーをするシーズンが2月1〜2週早くなる、現在のシーズンでは6月〜7月がシーズン中になっていますが、シーズン移行した場合はそこがオフになります。現在でもワールドカップやアジアカップがあれば中断することもあるという状態です。
シーズンの閉幕はこれまでは、12月の2週目頃に閉幕していたものがシーズン移行した場合はもう1〜2週長く12月の3週目〜4週目頃までやり、その後にウィンターブレイクを迎えるカレンダーです。
●イメージ③移行した場合のシーズンからの比較
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上段がシーズン移行した場合のカレンダー、下の段が従来のカレンダーです。
シーズンを移行した場合、8月の初旬が開幕となり、そこから12月3~4週目までシーズンを行い、1月にウィンターブレイクを迎えます。
従来のカレンダーでは、12月1・2週目でシーズンが終了しますので、これまでよりも12月は1・2週長く行うことになります。ウィンターブレイクを終えて2月1・2週ごろに再開します。これまでのカレンダーでは、2月3・4週に開幕しますので、従来のカレンダーより2月は1・2週長く試合をすることになります。
サッカーを行うシーズンが抜本的に変わるというよりは、これまでより冬(12月、2月)にそれぞれ1・2週長く試合を行い6月、7月はワールドカップがあってもなくてもシーズンオフになる。そういうカレンダーがこれから議論していくためのタタキのカレンダーになります。
〔3〕検討の進め方
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2月にJFA田嶋会長に実行委員会にご出席いただき、シーズン移行に関して議論をしていこうというご提案をいただいています。
これから時間を掛けて議論を始めていく段階ですので、現時点で賛成、反対の議論を行っているわけではありません。まずは、これからそれぞれのクラブ、ステークホルダーの皆様、メディアの皆様も含めて、情報が断片的になっていると思いますので、今後判断をしていくうえでどんな情報の項目が必要なのか、例えばフットボール視点でシーズン移行をするとフットボールが良くなるのか、それは何がどのように良くなって、それがファン・サポーターの皆様にどのようなメリットがあって、日本のサッカーがどのように発展していくのか、それらをしっかりと可視化していきたいと思います。可視化していくうえで、どのような項目が必要かの整理を、5月くらいまでのタイミングで行っていきます。その上で、5~7月くらいまで必要な情報をしっかりと収集し、どちらの方が良いのかという議論を7~9月くらいまでに行い、最終的な結論は2023年以内に出したいと考えています。
シーズン移行をするとどのようなメリットがあって、それを実施するためにはどのような懸念事項があって、その中には、解決できるもの、できないものはどのようなものがあって、解決できるものは実際にお金やどのようなものがあれば解決するのか、そういったものをしっかりと明確化しながら議論を進めていきたいと思っています。
移行する場合の最速のタイミングを2026-27シーズンと仮置きしています。
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結論を出すのが2023年内となるため、2024シーズンは目の前に迫っている状態です。
シーズン移行する場合は、2025シーズンが重要になります。2025シーズンは従来通り1年間実施し、2026-27から移行するために、2026年の前半で何か違う大会をするという考え方もありますし、2025年から2026年の前半を統合し、1.5シーズンかけて大会をするという選択肢もあると思います。移行する場合、どのような大会が良くて、それがどのようにファン・サポーターの皆さんに楽しんでいただけるか、そうした観点も並行して考えていきたいと思っています。
《協賛・後援》※説明なし
1.ヨコハマ・フットボール映画祭2023への後援について
2.日越サッカー交流企画inハノイへの後援について
3.「ダメ。ゼッタイ。」国連支援募金運動への協賛について
〔質疑応答〕
Q:樋口さんにお伺いします。(シーズン移行の検討について)2023年内に決議とありますが、どういった決議の方法になりますか?
A:樋口本部長
最終的にはJリーグの理事会で決議します。
Q:多数決?決定方法は?
A:樋口本部長
理事会の決議の仕方ですが、最終的には多数決です。
Q:年内とはどのぐらいの時期ですか?
A:樋口本部長
これからどの程度集める情報が必要で、その情報の精度がどのぐらいかによって変わってくると思います。もし、早めに方針が固まるのであれば、9月、10月に方針を出すことができるかもしれませんし、必要な情報が多ければ場合によっては12月になる可能性もあると思っています。
Q:JFAもシーズン移行は最初、田嶋幸三会長が説明にいらしたように、JFAも絡む話だと思いますが、Jリーグの理事会で決定するということは、JFAの意向はここに反映されないということでしょうか?
A:樋口本部長
最終的に決めるのはJリーグの理事会ですが、当然ながら、JFAとも日々議論させていただいています。例えば、Jリーグのフットボール委員会にはJFAの宮本恒靖専務理事や、反町康治技術委員長も入って議論していますし、田嶋会長ともコミュニケーションを取りながら進めている状況です。理事会にもJFAの宮本専務理事に入っていただいていますので、そこでJFAとしての意見を述べていただくことになると思います。理事会での多数決で決めるというよりは、その前でしっかりと建設的な議論を行ってお互いの方向性を話し合いながら決められるのが良いかと思っています。
Q:実行委員会の意見もそこに入りますか?
A:樋口本部長
もちろん入ると思います。先日も実行委員会を全クラブ、分科会でやりまして、さまざまな意見交換とその後、アンケートなども取りながら、これからどのクラブが現在、どういった考えを持っていて、考えを集約していくためにはどういった情報が必要かといったところを整理している段階です。
Q:例えば、雪、スポンサー、スタジアム等、問題はあるかと思いますが、それが解決できるものもありますし、譲歩、話し合いが必要なものもあると思います。そこで金銭的な不利益が生じた場合、それを補填できるようなJリーグもしくはJFAのシステムはありますか?
A:樋口本部長
規模感や用途によると思いますが、当然、移行するとなった場合、それによって生じるコストが多いクラブがあると思いますので、そこに対して、リーグやJFAがすべてを補填するということではないとは思いますが、何かできることがあれば一緒に考えることだと思います。
Q:今日の理事会が最初の話し合いになったと思いますが、樋口さんが受けた、各理事の皆さんの印象はどのようなものでしたか?
A:樋口本部長
繰り返しになりますが、今日、賛成、反対を述べるような会議ではなかったので、何が最適か、フットボール目線でいいこと、ファン・サポーター目線でいいこと、クラブの経営にとっていいこと、悪いこと、いろいろあると思いますので、そのあたりをしっかりと意見交換しながら進めていくといいのではないかという、そんなご提言をいただいた印象でいます。
Q:移行した方がいい、現行がいいといった樋口さんが受けた印象はありますか?
A:樋口本部長
意見交換の枠組みとして、どういう情報が必要か、という問いかけをしながら意見交換をしましたので、その場でどちらがよいかという印象は私は受けていません。
Q:引き続き樋口さんにお伺いします。まず、検討の進め方ですが、日程に関しては各クラブと了承を得ていると考えていいですか?
A:樋口本部長
了承というと微妙かもしれません。このように進めますという話を3、4月から進めており、今、それに対してアンケートなどを収集している状況ですので、合意いただけているかという点については微妙ですが、こういうスケジュールで進めますということに関して、大筋合意いただいている空気感ではあると思っています。
Q:念のための確認ですが、最速のタイミングをとわざわざ書いてあるので、今年中に、できれば結論を出したいけれど出さないこともあり得るということでよろしいでしょうか?
A:樋口本部長
これから集める情報や、検討するうえで、ここが絶対に時間をかけることが必要だということが出てくる可能性があると思います。一方で、いくら情報を集めても、絶対にこちらがいいというものにはならないと思っています。今のシーズンも100%完璧なものではないと思っているので、最終的には判断の問題だと思っているので、年内で結論を出すべきだと思っています。
Q:現在、実行委員会等でお話をされているということでした。強化部門やそれぞれのセクションとも話をしていると思いますが、現時点ではどういうところと、どのような話をしているのか、実行委員会である程度意見を集約した形で進めていくのか、また今後、進め方に変化があるのかといった点を聞かせてください。
A:樋口本部長
現段階では、実行委員会、その前に各クラブの選手契約担当、いわゆる強化担当の方々も個別で議論しています。今後、最初はフットボール面でのどのようなメリットがあるのかといった点を明確化したいと思っているのですが、クラブの経営全体にかかわることですので、事業の担当、マーケティング担当などと横断的な議論を進めていく必要があると考えています。あと、フットボール委員会での議論を月1回程度行っていますし、昨日、選手会(日本プロサッカー選手会/JPFA)との労使協議会の場で選手の皆様とも意見交換をしています。
Q:ファン・サポーターとも意見交換していくということでよろしいでしょうか?どういった形を考えていますか?
A:樋口本部長
どのようにお伺いすればいいかといった点についてはまったくイメージできていないのですが、当然、ファン・サポーターあってのJリーグですので、例えば思いつくのは、7月は夏休みなのに試合がない、12月、2月に試合が増えるけれど、寒い地域もある中でお客さまが本当に来られるのか、そういった観点で、どの地域のクラブにどのぐらい影響があるかをまずシミュレーションしたいと思います。ファン・サポーターの皆さまにどのように楽しんでいただくかは、もう少し情報を固め、こんなシーズンにしたいということを固めたうえで、何かしらの方法でお伺いできればと思っています。
Q:今、各クラブにアンケートを取られているということですが、具体的な質問項目、どういったことを聞かれているのか、教えてください。
A:樋口本部長
例えば、シーズン移行した場合のメリットをしっかりと整理したいという話をしています。フットボールの観点で、猛暑、今でいえば6月から9月ぐらいまでは非常に暑いですが、シーズン移行すると8月9月だけになります。6、7月がオフになることによって、フットボール的にどう良くなり、どのようなメリットがお客さまにあるのかといった点を可視化していくために、どのような項目を見ていくのがいいのか。例えば、走行距離や高速度で走る割合などがすぐに思いつくと思います。ほかにも具体的に日本サッカーがどのようにいい方向に変わっていくかを、項目として出してください、といった聞き方をしています。
Q:シーズン制ではない質問なのですが、これからゴールデンウィークが始まって。個人的にもたくさんのファン・サポーターの皆さまに来ていただきたいと思っているのですが、最近、浦和レッズばかりではなく、鹿島アントラーズのサポーターも試合が終わってから籠城して「監督を出せ」というような一部ですが過激なサポーターがいます。野々村チェアマンに質問ですが、今日、理事会で、そのサポーターに対する対処の仕方などの話が出ましたでしょうか。浦和レッズvs.名古屋グランパスの試合でもちょっとしたいざこざがあったので、大事なゴールデンウィークにそういった事態にならないかと危惧している部分があります。チェアマンの意見をお聞かせください。
A:野々村チェアマン
理事会ではその話は出ませんでした。いつも申し上げていますが、サッカーなので当然、熱量があって、いろいろな感情が出てくるのはある種当たり前かと思います。クラブの想いがしっかりとスタジアムの空気感に出るように、クラブが長い年月をかけて作り上げていくものだと思っています。これに関しては、私もクラブ経験者なのでよくわかりますが、言うのは簡単ですが結構長い年月がかかると思います。そのビジョンを持って進んでいくことが大事だと思っています。
Q:シーズン移行の検討について。先日ほぼ決まっているという報道が出て、それによって多くのファン・サポーターがかなり困惑していました。その後報道は事実ではないという見解が出ましたが、ステークホルダー、ファン・サポーターには既成事実だと思われているかもしれません。既成事実ではないことを証明するために、どのような検討をすることが必要でしょうか。
A:野々村チェアマン
そのために、本日お話をさせていただいています。これは報道が出たから(お話することになったのでは)ではありません。
前回のシーズン制の議論の時は、結論だけは伝わったと思いますが、なかなか外側にいるファン・サポーターに議論のプロセスが伝わらなかったと思っています。今回に関しては、その都度、このような会見で、Jリーグとして公式に会議の内容と、今どのようなことが話し合われているか、プロセスをしっかりと情報開示しようと思っていました。本日がその第1回目です。
色々な噂の情報、推定も含めていろいろ出てくるかもしれませんが、ここでの発信がJリーグの本当の現状を伝えていると思っていただければと思います。
Q:このプロセスが決まった時点で、シーズン移行を実際に行う確率はどのくらいあるのでしょうか。
A:野々村チェアマン
クラブの実行委員としてならば自分の意見を述べても何ら問題ないと思いますが、色々な情報が錯綜するのもよくないと思います。いろいろなステークホルダーの皆様から、まっさらに、フラットにいろいろな意見をこれからうかがっていきたいと思っていますので、(確率の)パーセンテージは何もありません。
Q:ガンバ大阪のアカデミーのパワハラに該当するのではないかという不適切な発言があって、ユースの監督が交代した件について。G大阪側からJリーグに報告をしたということを記者会見で述べていましたが、Jリーグとして制裁を出されることがあるのでしょうか。
A:窪田執行役員
コンプライアンス部門の方でヒアリング、情報収集をしています。それを受けて最終的にどうするかを決定することになります。
Q:諮問して制裁を科すかどうかの前の段階という受け止めで問題ないでしょうか。
A:窪田執行役員
はい。その通りです。
Q:シーズン移行について、過去に何回か議論になって、そのたびに反対多数ではないですが、議論としてはシーズン移行凍結ということになっていました。そこから比較すると外的要因が変わったのはACLくらいだと思います。そこからここ数年でどこまでシーズン移行の議論が進むのか、懐疑的な見方もあると思います。実際結論がどうあれ、この短期間でもう一度議論することの意味合い、現実的な可能性をどのように考えられているのか教えてください。
A:野々村チェアマン
議論の要因のひとつは外的要因のACLがスケジュールを移行したということもあります。また自分は以前、クラブ側の人間として議論を聞いていた際には、これは無理だというカレンダーを提示されていたということがありました。1月も試合をしないと無理だというカレンダーだったと記憶しています。前回は変えるとサッカーが良くなるのか。良くなるけれど何らかの理由でできなかったのか、悪い案だからできなかったのかということすら、曖昧でした。
議論をしている自分たちもそういう認識でした。これだけ大きく大切な問題であるのであれば、そこは最初から多くの人が理解できるものを提示して進めていくということを、やらざるを得ないタイミングなのだと思います。これから実現可能かはさておき、このくらいの可能性があるだろうということなどでは全くなく、本当の意味で議論していこうと考えています。
Q:そういう意味では、当時札幌の社長だった時に、いろいろ提示されたケーススタディ、シミュレーションよりも、かなり深く、バリエーションがある提示をされている、議論の土台を作られているというような理解でよろしいでしょうか。
A:野々村チェアマン
日程のシミュレーションについては、今回提示したようなシミュレーションが前回は全然なかったと思いますので、本当に議論がしっかりできていたのか、ということは少し思うところがあります。
Q:お客様の戻り具合についてもう少し教えてください。コロナから当初はお客様の戻りが鈍かったところ、ここにきて時間もたって、様々な緩和もあり、テレビでのプロモーションもあってお客様が戻ってきたのではないかと思います。今季のお客様の戻りについての要因、要因がはっきりしていなければ要因と考えられるような感触を教えていただきたいです。
A:野々村チェアマン
これからデータを分析してファクトを伝えることができると思います。
社会の変化が大きいのではないかということは、当然ながら思っています。とはいえ、年齢の層によっては行動範囲、行動量が元に戻ったと思っていません。コロナ前と全く同じに戻ることは無いと思っていますが、特に若い人たち中心にもう一回スタジアムで楽しみたいと思っている人が増えていると思いますし、若い年代のファン・サポーターのお客様がどの地域も増えていると思います。先ほど申し上げた通り地域クラブのお客様の戻りの方が何となく早い気がしますので、地域性なのか、ローカルメディアの施策の影響なのか、分析はこれからですが、その両方なのかもしれません。ファクトとしては、J2・J3の方が2019年と比較した戻りは早いと思います。
Q:J2の審判員について。第8節 FC町田ゼルビア vs. ブラウブリッツ秋田でゴールが入ったように見えたけれどノーゴールだったということがあり、SNS上でネガティブな議論になったところがありましたが、今後の審判の体制、テクノロジーの導入について、コストの面もあると思いますが、現在考えられていることはありますでしょうか。
A:野々村チェアマン
あのシーンを解決するためにとることができる施策は、コストを考えなければいろいろあると思います。
現状Jリーグができることは、フットボール本部よりご回答します。
A:窪田執行役員
現状できることがあるとしたら、VARの導入があると思いますが、VARを採用するには、FIFAの定めるトレーニングをしっかり受けた人が対応しなければいけませんが、その人材が現状不足しており、育成している段階です。今回競技規則の改定において、「VARライト」というものが記載されます。現状のコストをかけるようなVARではなく、少し簡易版のVARだと聞いています。
ただ、どのようなものか、我々として把握できていない状況です。ここはJFA審判委員会の皆様と協力しながら、まずはどういったものなのか把握し、それが導入可能なのか、そのためには何が必要なのかということをやっていく必要があると思います。
A:樋口本部長
審判の環境を高めて、Jリーグの試合を魅力的なものにしていくために、常にJFAとも議論を進めています。審判員の皆様が集まってセミナー、研修を行うことにも、非常に多くのお金や、労力がかかる部分もありますので、JFAに任せるのではなく、Jリーグとしても積極的に支援をして、一緒にJリーグのピッチのレベルを上げていこうということを、密に議論している状態です。
Q:秋春制の議論について、ACLのシーズン移行が大きな部分があるとは思いますが、ACL出場を狙えるチームには我が事として考えやすいと思いますが、ACL出場に縁のないチームかつ雪国のチームからすると、夏場もわりあい過ごしやすい時期なのにという声は結構あるのではないでしょうか? 先ほど樋口さんがメリット例を挙げていましたが、ほかにどういう点が説得材料になるのでしょうか。
A:樋口本部長
まさに、トップクラブだけではなく、あらゆるクラブにどのようないいことがあるのかといった点をいま、作っていく段階です。例えばACLのズレの話だけではなく、猛暑の中でプレーすることで、取りうる戦い方が限られてくる、もっともっとインテンシティの高い試合をやりたいけれども、夏の中でどうしてもできないというクラブも多くあります。猛暑を回避することによって、ピッチ上のクオリティをもっともっと高いものにして、日本サッカーのクオリティを向上させていくという観点では大きなメリットがあるのではないかと思っています。6~9月の4カ月間のうち6、7月をオフにすることによって、8月から始められます。また、2月から開幕をして迎える8月と、オフがあって、準備をして迎える8月ということでは、全然違った環境になると思いますので、そのあたりもしっかりと可視化していきたいと考えています。
Q:先ほどACLのリーグが増えるような説明があったのですが、ACL以外にほかにどんなリーグ、何位まで参加できそうな大会が増えるのでしょうか。UEFAでいうカンファレンスリーグ(Tier3)の大会まで創設されるのでしょうか。
A:樋口本部長
おそらくAFCから発表されていると思います。24-25シーズンから、今までACL、AFCカップという2階層で、JクラブはACLだけしか出ていなかったものが3階層になります。大会名はまだ決まってないと思いますが、1番上が24クラブ、今までのACLが40クラブだったものが、1番上が24クラブに絞られて、真ん中が32クラブです。国のランキングによって枠数が変動するのですが、Jリーグはこのままいくと3クラブが最上位の大会、1クラブが2番目の大会に出場する形になっています。Jクラブの4、5、6位のクラブ等が3階層目の大会に出場するといった形ではありません。引き続き、4クラブです。
Q:昨日、選手会と話をされたということでしたが、そこでの反応がどのようなものだったのか、教えてください。
A:樋口本部長
選手の皆様とまさにこれから議論を始めていく段階です。一つあったのは、こういう議論を一緒に、選手の声も一緒に聞かせていただきながら進めるということ自体はすごく歓迎するので、一緒に議論していきましょうといった趣旨のコメントをいただきました。
Q:そこでも賛成、反対といった具体的な話はしていないということでしょうか?
A:樋口本部長
そのとおりです。これからまさに、そういった話をしていくということです。当然、議論の中で個別に、僕はこういう方向ですとおっしゃる選手の方はいらっしゃいましたが、全体としてはこれから議論していくといった話で終わっております。
Q:先ほど、どうしても生じるコストがあるのでできることがあればという話がありましたが、例えば基金、補助金を作るなどの、その辺の規模感などはまだまったくわからないということでしょうか?それともある程度はクラブに示しているのでしょうか
A:樋口本部長
現時点ではまったくありません。
Q:細かいことになりますが、ほかの年代はJFAがやると思いますが、Jクラブのユースはどうするのか、ここはJリーグが決めることになるのか、JFAなのか、当然、話し合いながらだとは思いますが、教えてください。
A:樋口本部長
まさにJクラブのユースに限らず、JFL、地域リーグも含めてどうするのかという抜本的な全体像をいま、JFAと描いているところです。新人の選手がどういうタイミングでどのように加入するのか、どこかのタイミングでズレがあった場合、入れ替えをどのようなタイミングでやるのかなど、そのあたりも全部これから抜本的にJFAと一緒に議論していくことになります。