2022年7月28日
2021年度クラブ経営情報開示(先行発表)メディアブリーフィング
2022年7月28日(木)16:00~
オンラインにて実施
登壇:クラブ経営本部 本部長 鈴木 徳昭
クラブライセンス事務局 クラブライセンスマネージャー 大城 亨太
陪席:理事 窪田 慎二
クラブライセンス事務局 クラブ経営アドバイザー 古澤 剛
〔司会より説明〕
それでは2021年度クラブ経営情報開示メディア説明会を開催いたします。
先ほど、メディアチャンネル上の各種資料に本日の資料を報道メディア、報道資料欄に本日の資料を公表いたしました。
5月の選考発表では3月決算の3クラブを除く54クラブの発表でしたが、今回は柏レイソル、湘南ベルマーレ、ジュビロ磐田も含めた全57クラブの発表となります。
本日の流れですが、まず、2021年度クラブ経営情報をご説明いたします。
5月の先行発表時に2022年度の入場者数の現況および施策についてのご質問も頂戴していましたので、こちらも補足説明させていただきます。その後、いったん質疑を挟み、第2部として、2月の理事会後の会見でもご説明いたしましたが、クラブの株式上場について、メディアの皆様に改めてご説明いたします。
それでは2021年度のクラブ経営情報について、クラブ経営本部クラブライセンス事務局クラブライセンスマネージャーの大城 享太よりご説明いたします。
〔大城クラブライセンスマネージャーよりクラブ経営情報開示について説明〕
(参考資料:2021年度クラブ経営情報開示資料)
https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/club-r3kaiji_2_20220728.pdf
(参考資料:2021年度クラブ決算一覧)
https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/club-r3kaiji_1_20220728.pdf
《1−1.2021年度振り返り》※資料2ページ
まず、昨年2021年度がどういうシーズンだったか、少し簡単に振り返りをいたします。こちらの図(1-1)は、昨年末に発行したJリーグのパブレポートから抜粋したものです。棒グラフの縦軸が感染者数の推移を示したものです。昨シーズンは、シーズン期初から緊急事態宣言の要請が相次いで、国内の感染状況もひっ迫する中での開幕となりました。緊急事態宣言が3回発令され、Jリーグの公式試合の多くが5,000人という来場制限の下で、開催された非常に集客的には厳しいシーズンでした。緊急事態宣言も何度か発出され、新加入の外国籍選手をJリーグバブルという特殊な待機措置で受け入れたり、試合直前にチーム単位でオンサイト検査を行うなど、様々な感染対策を講じて、何とか無事に予定された試合を終えたというのが昨シーズンの振り返りです。
・2021シーズン期初は自治体から政府への緊急事態宣言の要請が相次ぎ、新規外国人の受け入れを一時停止するなど、国内の感染状況がひっ迫する中でのスタートとなった。
・Jリーグ公式試合の多くが5000人の来場制限のもと開催。
・11月に全都道府県で経過措置が解除されるまで断続的に緊急事態宣言が発出される感染拡大基調の中、新規外国籍選手の来日にあわせリーグ一括管理のもと厳格な待機措置を行ったJリーグバブルや、感染が疑わしい場合に、試合直前にチーム単位で抗原定性検査を行うオンサイト検査の導入など、新たな感染対策を講じながら予定された1,122試合を終えた。
《1−2.主なトピックス》※資料3ページ
クラブ経営情報の主なトピックスです(1-2)。こちら5月に情報開示した内容と大きな変更はございません。
①営業収益は57クラブ合計で1,240億円となり、113%の成長率であった。46クラブが増収となり、全体としてコロナ前の規模に戻りつつある(19年度対比97%)。
・スポンサー収入は、クラブを支えていただいているスポンサーの皆様のサポート継続により、105%の成長率であった。
・入場料収入は138%の成長率であったが、コロナ前の54%(19年度対比)であり、まだ回復には至っていない。
②営業費用は57クラブ合計で1,303億円となり、営業収益と同様、コロナ前の規模に戻りつつある(19年度対比96%、20年度対比105%)。
③21年度はコロナ禍での予算編成であったため、ある程度のリスクを想定した経営が行えており、突発的に債務超過に陥ったクラブはなく、現時点で経営の継続(資金繰り)が困難に陥っているクラブも存在しない。
全57クラブ合計で営業収益は1,240億円という規模になり、昨年比113%の成長率でした。コロナ前の2019年対比で97%という数字になっていますので、全体としてコロナ前の規模に戻りつつあると評価しております。
営業収益の内訳としては、スポンサー収入ですが、クラブを支えていただいているスポンサーの皆様にサポートを継続していただいたおかげで105%という成長率でした。一方で入場料収入は前年比138%という状況ですが、コロナ前の2019年度と比較すると、54%とまだ回復には至っていない状況です。
2点目、営業費用につきましても、営業収益と同じようにコロナ前と同じように戻りつつある状況です。
3点目、2021年度、赤字のクラブ、債務超過のクラブがそれなりに発生していますが、コロナ禍での予算編成であったため、すべてのクラブで、ある程度のリスクを想定した経営が行われていました。突発的に債務超過に陥ったクラブはなく、想定内であったということと、現時点で経営の継続が困難であるようなクラブも存在しないという状況です。
《1-3.営業収益①(全クラブ:三期比較)》※資料4ページ
営業収益は、57クラブ合計で1,240億円
こちらの営業収益の内訳(資料1-3)上の紫のグラフがJリーグ全体、下が左からJ1、J2、J3の内訳となっています。全体としてコロナ前の規模に戻りつつあるということと、赤枠で囲んでいるのは、入場料収入ですが、2019年度に比べるとまだ半分ぐらいの水準にとどまっている状況です。
《1-3.営業収益②(J1クラブの規模)》※資料5ページ
J1クラブの営業収益平均は、40億円台に回復している。
50億円以上のクラブ数も、コロナ前の水準に戻っている。
営業収益については、J1クラブの考察を少し行っています(1-3)。こちら棒グラフが50億円以上のクラブ数の推移、横軸の折れ線グラフがJ1クラブの営業収益の平均です。2020年度は大きく落ち込んでいますが、2021年度は、50億円のクラブ数が7クラブと、コロナ前の規模に戻りつつあり、平均は40億円台に回復している状況です。
《1-3.営業収益③(平均入場者数)》※資料6ページ
2021年度の平均入場者数は各カテゴリーとも増加した。2022年度の平均入場者数は、特にJ1での増加が顕著であり、コロナ前の水準に戻るかどうかは不透明だが、回復基調にあることは間違いない。
平均入場者数、入場料収入がなかなか回復まで至っていないという説明をいたしました。こちらが2017年度から2022年度まで、2022年度は7月上旬までの平均入場者数の推移です(1-3営業収益③)。20年度、21年度は大変苦しいシーズンで、実際、入場料収入というのはなかなか回復には至っていないのですが、22年度は今現在においては、大幅に回復基調にあります。来年、ご報告をさせていただく際には、入場料収入は一定程度回復しているのではないかと考えています。
《1-4.営業費用(三期比較)》※資料7ページ
営業費用は、57クラブ合計で1,303億円
全体としてコロナ前の規模に戻りつつある。チーム人件費はコロナ禍においても概ね横ばいで推移
続いて営業費用の内訳です。(1-4)
こちら赤枠で囲んでいるのはチーム人件費です。チーム人件費はコロナ禍においても、概ね横這いで推移し、21年度も同じような傾向といった状況になっています。
《1-5.2021年度以降の財務基準》※資料8ページ
ここから少し、クラブライセンスのお話をさせていただきます。20年度、21年度はコロナ禍ということもあって、特例措置ということで債務超過、3期連続赤字を交付の判定の対象としないとしていました。しかし、22年度、23年度は猶予期間ということで、24年度までに特例措置がなくなり、債務超過を解消しなければならないというルールで運用しています。
今年のクラブライセンスの判定においては、21年度の決算は特例措置なのですが、今期の22年度については猶予期間ということで、債務超過のクラブが債務超過の金額が増加しないかどうかも現在確認しているところです。
赤字、債務超過クラブの状況ですが、単年度赤字は22クラブ、債務超過は12クラブとなっていますが、冒頭でお話ししたとおり、突発的な債務超過に陥っているクラブはありませんし、ほとんどのクラブが今ご説明したライセンスの基準に抵触しないような債務超過解消の目途も立っていますので、大きな懸念はないと考えています。
こちらは赤字クラブの金額の規模、債務超過のクラブと金額の規模です。5億円以上の赤字が出たり、1億円以上の赤字クラブも10クラブという状況ですが、繰り返しになりますが、大きな懸念はないという状況です。
【2020年度末、2021年度末:特例措置】
•債務超過、3期連続赤字をライセンス交付の判定対象としない
•2021年度末に新たに債務超過に陥っても判定対象としない
【2022年度末、2023年度末:猶予期間】
・債務超過が解消されなくてもよいが、前年度より債務超過額が増加してはいけない
・新たに債務超過に陥ってはいけない
•3期連続赤字のカウントをスタートする(2022年度末が1期目となる。2021年度以前の赤字
はカウントしない)
【2024年度末、2025年度末:特例措置なし】
・債務超過が解消されていなければならない
・2022年度末から赤字が継続しているクラブは、2024年度末に3期連続赤字に抵触する可能性がある
・2024年度のライセンス判定においては、2023年度が債務超過であっても判定対象としないが、進行期の2024年度が債務超過に陥らないかどうかは判定対象となる
《1-6.赤字・債務超過クラブ①》※資料9ページ
•赤字クラブは22クラブ、債務超過クラブは12クラブ
《1-7.赤字・債務超過クラブ②》※資料10ページ
当期純損失額については、5億円以上が1クラブJ1、1~5億円が10クラブ、1億円未満が11クラブとなった。
債務超過額については、5億円以上が2クラブJ1、J2で各1)、1~5億円が7クラブ、1億円未満が3クラブとなった。
配布資料で付帯資料として、J1、J2、J3それぞれの科目の合計の資料と、平均の資料、主な科目ごとに、J1、J2、J3の在籍クラブごとに、数字の大きな順にクラブを入れ替えた表を添付しています。こちらが売上高の資料、スポンサー収入、入場料収入、チーム人件費です。あとは主要項目の推移として、スポンサー収入、入場料収入、Jリーグ配分金を並べた折れ線グラフと、入場者数の推移、平均入場者数の推移を参考資料として添付しています。
※資料12~20ページ
《2-1.前年度との比較:J1・J2・J3クラブ合計》※資料12ページ
《2-2.前年度との比較:J1・J2・J3クラブ平均》※資料13ページ
《2-3.営業収益(売上高)の推移》※資料14ページ
《2-4.スポンサー収入の推移》※資料15ページ
《2-5.入場料収入の推移》※資料16ページ
《2-6.チーム人件費の推移》※資料17ページ
《2-7.営業収益主要項目の推移》※資料18ページ
《2-8.リーグ戦総入場者数の推移》※資料19ページ
《2-9.1試合当たりの平均入場者数(リーグ戦のみ)の推移》※資料20ページ
3.「赤字」と「債務超過」の違い※資料21ページ
最後に赤字と債務超過の違いについて少しご説明いたします。
赤字はその年の売上と使ったお金の差し引きでマイナスになっている状態ですが、債務超過は赤字とは少し違っていて、資産と負債のバランスを見ている数字になります。債務超過という状態は自分たちが持っている資産をすべて売ったとしても、負債を返済できないという状況で、金融機関においても厳しく審査されてしまう状況です。それを解消するためには、資本金を新たに増資するか、黒字の部分を増やして、P/Lで改善していくという形があります。先ほどご説明した債務超過のクラブに関しては、どちらかを選んで、解消の目途を今、立てているという状況です。
司会:補足説明といたしまして、マーケティング部の部長の丸山より2022年度の入場者数の現状と、ゴールデンウィーク、夏休みを中心とした施策についてご説明いたします。
【マーケティング部丸山部長より説明】
マーケティング部の丸山です。
私からは2022年度の入場者数の状況とマーケティング施策についてご報告いたします。
まず、直近の節終了時点で、現在全カテゴリー平均で、2019年比で68%、J1、J2では2019年比、62パーセントという入場者数になっています。春先から少しずつ上がってきていますが、6月以降はなかなかこの62パーセントから伸びていない状況になっております。
一方で、マーケティング施策としまして、今シーズン、コロナで一度、離れた客層を戻すため、ターゲティングを明確にする戦略の下、観戦コア層、観戦ライト層、観戦離反層、観戦認知未利用層、未認知層に分け、さらにその中でも高関心、関心が高いか低いか、を分けた9つのカテゴリーで、どこに一番可能性があるかを模索してきました。
その中で、離反層19.4%の中でも関心が高い層が7.1%。それから認知未利用、知っているけれどもスタジアムに行ったことがないという層が52%いる中で、その中でもぜひ、機会があればというポジティブな回答をしていただいたのが6.4%。この7.1%、6.4%こちらにアプローチすることが、一番効率が良いのではないかという戦略の下、今季はまず、離れてしまった客層にカムバックしていただくための空気づくり、それから認知、興味、関心施策ということで、テレビCMにもチャレンジし、そしてJリーグIDの新規を獲得し、招待施策に申し込んでもらう流れを企画しました。
キャンペーンとしては、まずゴールデンウィーク期に、テストマーケティング的な意味合いもあり、関東、静岡、福岡のエリアに限定し、テレビCMを中心とした招待施策を実施いたしました。2万4,000人です。それを下に、ここで生かした経験値を夏休み期に全国に拡大し、招待数も8万人に増やして実施しています。なお、こちらはJリーグIDをベースとしたクラブとリーグの統合マーケティングとなっております。
トピックといたしましては、ゴールデンウィーク期に初めてテレビCMをやったというところで、気づき、そのほか分かったこと、数値で出てきたことなどがありましたので、それを生かしてPDCAをまわして夏休み期に全国に拡大しているという状況です。
それからテレビCM、リーグとクラブで連携して、ローカライズしたテレビCM、実はこれは全国29エリア分、制作しています。クラブのやりたい時期、訴求したい内容を反映して、一緒にテレビCMの内容も作りこんで、実施しているというところが特徴です。夏休み期は7月12日からスタートして、2週間が経過していますが、現在の受付状況は、ゴールデンウィーク期の応募数をすでにクリアしています。約14万件の応募がクリアできています。そして全体の4割から5割がカムバック、新規では3割ぐらいが拾えるのではないかと見立てている状況です。
〔質疑応答〕
Q:2万4千人キャンペーン、8万人キャンペーンについてですが、初歩的な質問で申し訳ありませんが、チケット収入的な換算はJリーグ側からチーム側に、チーム側の収益に計上されるのでしょうか、どういった仕組みになるのか教えてください。
A:マーケティング部丸山部長
新規のお客様、カムバックのお客様を獲得するために、クラブに提供いただいているものになりますので、費用換算という考え方はしていません。
Q:基本的に1年後に計算する際には、入場料収入に関してはゼロになるということですか?
A:マーケティング部丸山部長
はい。そうです。
Q:そうなると、思いきっていると感じています。無料チケットをばらまくというのは、マーケティング上、禁じ手だと言う方も、何人かから聞いたことがあって、実施するにあたり賛否両論の議論はあったのでしょうか?
A:マーケティング部丸山部長
こちらはばらまきではなく、新しいお客様を獲得するための投資として、クラブ、リーグの共通認識で施策を実施しています。一度、来ていただくキッカケは招待かもしれませんが、2回目以降、優待、または普通に買っていただくというお客様をいかに育てていくか、増やしていくかというところが課題です。そこをご理解いただいたうえで、リーグ、クラブ全体での取り組みをしています。
Q:PR施策についてお聞きしたいのですが、全体でどのぐらいの、CMを出稿する費用がかかっているのか。また無料招待のキャンペーンについてですが、野々村チェアマンもゴールデンウィーク、夏休みに行っていくということを明言していたのですが、来年も無料招待は続けていくことを考えているのか、この2点をお願いします。
A:マーケティング部丸山部長
費用に関しては、差し控えさしていただきます。
一方、招待施策につきましては、来年以降も継続する予定ですが、一方で、クーポン施策、Jリーグのチケットの中で使えるクーポンの開発も進めています。ECサイト等でも、多数活用されている例が世の中にありますが、そういったものと同じように、チケットを購入するキッカケになるクーポン施策を実施していきたいと考えています。
Q:CMや新聞の広告は来年に向けても拡大していきたいというお考えはあるのでしょうか?
A:マーケティング部丸山部長
量や内容につきましては、今年のこの夏が最大の全国のパターンになりますので、ここを振り返りながら来年以降、判断していくことになると思います。ただ、このあとは地域に根ざしたもの、ローカライズに特化したところに注力して、さらにクラブが輝くような施策、体制を整えていきたいと考えています。
Q:先ほどの質問でもありましたが、かつてJリーグの中では無料チケットに関しては、すごくアレルギーを持った方がとても多かったと私の取材でも確認しています。各クラブの中で無料チケット施策に対していかがなものかという声はなかったのでしょうか?
A:マーケティング部丸山部長
現状はなかったという認識でいます。
Q:決算について質問があります。スポンサー料は一般的に期初、シーズンの最初に入るものだと思います。コロナ禍で収入が不透明という中、例えばあとから入れるという形や、今回、損金の算入という話しもありましたが、責任企業から決算の着地点が見えてきた段階で後から入れるというスポンサー料など、どういう現状かお話いただける範囲でお聞かせください。
A:クラブライセンス事務局 大城マネージャー
おっしゃっていただいたように、親会社のケースが多いのですが、期中で金額を相談して、シーズン開始当初ではなく、終わりぐらいのタイミングでそういう契約を締結するというケースもあることはあります。ただ、あまり多くのケースではないということと、シーズンの終盤になると、スポンサー収入という意味あいがどうしても難しくなってしまうので、違う科目で親会社から支援していただくケースもあるという状況です。
Q:差し支えなければどういう科目になりますか
A:クラブライセンス事務局 大城マネージャー
そこは様々なので、一概には何とも申し上げにくいです。
〔Jリーグクラブの株式上場について説明〕
クラブ経営本部 鈴木徳昭本部長より、Jリーグクラブの株式上場についてご説明いたします。こちらは、2月の理事会後記者報告会でもご説明させていただきましたが、本日お時間を頂戴し、メディアの皆様にももう少し詳しくご説明いたします。
クラブ経営本部 鈴木本部長より説明
本件については、2月28日の理事会で承認され、3月1日から規約の変更という形で執行しています。私どもクラブ経営本部の中にプロジェクトチームがあり、本日はクラブ経営アドバイザーの古澤が陪席していますが、ステークホルダー向け、投資家の皆様向けにわかりやすく現状をご説明した資料を擁していますので、こちらを用いて少しご説明いたします。
(参考資料:Jリーグクラブの株式上場について)
https://aboutj.jleague.jp/corporate//wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/jleague_stocklisting0728.pdf
■上場解禁の背景:Jリーグの現状・・・資料2ページ
ステークホルダー向けの資料です。現在Jリーグがどのようなビジョンを描いて成長戦略を行っているか、現状についてご説明しています。皆様もご存じの取り、「ビジョン2030」の中でそれぞれの領域に関して目指す姿を描いています。そして、その中でクラブ、Jリーグ合算した収益は、コロナで若干のマイナスはありますが、順調に上がってきていると言えると思っています。
◆創設以来、着実な成長を遂げてきたが、更なる成長に向けてビジョン2030を掲げ、その実現に向けて取り組んでいる
●ビジョン2030の領域
社会連携、フットボール、toC、事業強化、経営基盤
●Jリーグの収益推移(クラブ合算2005年~2020年)
2019年には過去最高の1,325億円を達成。(資料中にはグラフを掲載)
■上場解禁の背景:ビジョン2030達成への取り組み・・・資料3ページ
こうした中で、大きなビジョン2030に向けての取り組みについては、5つ記載しています。
◆ビジョン2030達成に向けた取り組みの一環として、クラブの株式上場を実質的に不可能としていたリーグ規約を見直し、クラブの上場を可能とした
<Jリーグにおける主要施策>
①放映権収入の拡大・・・海外の有力スポーツ配信プラットフォームであるDAZNと長期大型契約を締結し、視聴者増加に向け協働中
②育成システムの強化・・・海外から選手育成に関する第一人者(テリー氏、アダム氏)を招聘し、クラブの育成強化に向けたプロジェクト(ProJectDNA)を立上げ推進中
③社会課題解決への注力・・・Jリーグ全体の最重要活動として社会課題解決を位置付け、“シャレン!”としてリーグ・クラブ一体となって注力
④デジタルマーケティングの強化・・・各クラブのデジタルマーケティング強化に向けて、リーグによる共通基盤整備(リーグ・クラブの共通基盤を保有)や人材育成含め、包括的な取り組みを実施中
⑤クラブ経営に関する規制緩和・・・各クラブの経営における選択肢の拡大を主眼に、クラブライセンス制度の財務要件緩和や上場解禁などの規制緩和を推進
こうした中で、今回上場の解禁などの規制緩和を進め、今年の3月からJリーグ規約として執行することになりました。
■上場会見の意義・目的・・・資料4ページ
実際もJリーグ規約上で上場の禁止、解禁という規約は無いのですが、実質的に今までの規約では、クラブの株式が1%でも異動した場合は、事前にJリーグに事前報告しなければならないという義務がありました。実際に上場した場合は、流動性を持った株式の異動がありますので、それができなくなるということにおいて、実際にはクラブの上場はできないというのが今までの取り決めでした。今年の3月以降はそれを解禁しました。大きな目的としては、上場クラブ、そしてリーグ全体の成長が挙げられると思っています。
クラブの上場解禁により、上場クラブのみならずリーグ全体の成長を推進する。
2022年3月 クラブ上場解禁 それ以前はJリーグの規約上、実質的に上場不可
①クラブへの投資呼び込み クラブ株式の流動性向上による投資の呼び込み
②クラブの資金調達の選択肢拡大 公募増資を含めたクラブの資金調達、選択肢の拡大(コロナ禍、コロナ禍に関わらず)
③クラブの公益性向上 上場によるクラブの公益性、認知、信頼性向上
④クラブの経営管理体制整備 上場企業として必要な経営管理、体制の整備推進(準備からいろいろな形で経営の管理体制が促進される)
⑤オーナーチェンジの促進 クラブのステージに応じたオーナーチェンジの可能性 オーナーチェンジの可能性向上
こうした成長の期待を込めて、上場解禁を3月に踏み切りました。
■上場解禁に伴うルール変更/関連する規則・・・資料5ページ
今までは1%でも株式が移動する場合は事前報告をしていましたが、3月以降の規則としては、15%未満の株式異動については事前報告を廃止しました。これに伴って、実際には上場解禁が可能になります。ただし、15%以上の株式異動に関しては、きちんとリーグとしても承認する必要があります。
また、株式上場によって、事前の承認が難しいことも出てきますので、事後報告していただくことで、その適正性を承認するという柔軟なルールに変更しました。上場することによっていろいろな形で不適正な株主が大量保有することも考えられますが、クラブがそれを対応すると同時に、リーグとしてもいくつかの株主について不適正と判断するということをリーグの裁量で行い、そうした株主が大量保有することを禁止することをアナウンスし、未然に防ぐ対応を考えています。
クロスオーナーシップだけでなく、利害相反を避けるために、選手やクラブの関係者がどのような形で株式を保有することが許される、あるいは禁止するといった、保有の規制に関しても一部変更し、継続してガイドライン等を作成するということを行っています。
【上場解禁に伴うルール変更】
●株式異動に伴う報告義務撤廃
・・・上場株式の流動性を考慮し、15%未満の株式異動についての事前報告の廃止
<関連規約等>関連条項削除のため無し
●15%以上の株式異動に対する事後承認許可
・・・保有比率15%超の新株主が発生する場合、これまではリーグの事前承認が必要であったが、不可避な場合の事後承認も許可
<関連規約等>規約第29条 第2項・3項
【関連する規則】
●不適正株主の大量保有禁止
・・・Jリーグ理念に反するなど不適正と判断される株主の大量保有を原則禁止
<関連規約等>規約第29条第2項・3項・7項、宣言書
●関係者の株式保有規制
・・・クロスオーナーや利害相反を避けるため選手含めたクラブ関係者の株式保有を規制
<関連規約等>規約第29条 第5項・6項/規約第30条 第1項
■Q%A・・・資料6ページ
こちらに記載したような形で皆様のご質問、ステークホルダーのご質問に対してあらかじめお応えする形で整理しています。
<参考資料>
■海外主要リーグとの比較・・・資料8ページ
全体感の比較をしています。事業の比較、入場者数、SNSフォロワー数など。まだまだJリーグ、Jクラブは世界の5大リーグとの差は大きく、これらに追いつかなくてはいけません。そうしたことも踏まえて、今回の上場はいろいろな形で選択肢を増やすことが有効ではないかと考えた次第です。
■関連規約(抜粋)・・・資料9、10ページ
■宣言書(法人向け)・・・資料11、12ページ
15%以上、1/3以上の株主になるためには宣言書等を提出していただいてリーグでチェックするという内容を掲載しています。
■関係者の株式保有規制(詳細)・・・資料13ページ
株主を保有対象者、保有の主体対象者の表となります。
■主な海外上場クラブの株式情報・・・資料14ページ
世界的なところでは、プレミアリーグ、イタリア、ドイツ、フランス、欧州では上場しているクラブもあります。その情報を掲載しています。
〔質疑応答〕
Q:株式の上場について、まだ決まったわけではありませんし、レアケースだと思いますが、15%以上の取引で認められない取引というものはどのようなものを想定されているのでしょうか。また、認めなかった場合のオペレーションはどのようになるのでしょうか。
A:クラブ経営本部 鈴木本部長
実際に、私共で、15%、1/3、50%の株式を保有する株主の適正性についてチェックすることにしています。実際には、先ほど申し上げたように15%以上、1/3超、50%超えの株式を保有していただく場合は、株主に宣言書をご提出いただきます。これは事前の場合もありますし、上場になった場合は事後の可能性もあります。こうした手続きをアナウンスしておき、宣言書を出していただき、私どもと面談を行うことにしています。実際にはクロスオーナーシップや、内容に関しては適正性が無いということで認められないものが、いくつかの事項であります。
例えばJリーグ規約との関係で、風俗にあたるような業種、宗教関係、政治関連の法人、仲介人、いわゆる反社会的勢力の団体は、私共なりにルールを作り、この業種は不適正だと判断するということを世の中に開示いたします。
事前に私どもがわかれば、リーグの規約に基づき、不適正なので株主として認めることができないとすることができますが、上場して資本が流動している中では、私どもの判断の前に、すでに株式の売買が行われるという実態があります。
いずれにしても、クラブがその状況を把握する時期があり、少なくとも15%以上の株式が保有される場合は把握することができます。クラブは把握した時点でリーグに伝え、リーグはその適正性を見て問題が無ければそのまま保有いただけますが、問題があった場合はこの宣言書にも記載していますが、実際に適性のところまで下げていただく指導をクラブに対して行います。当然市場のルールですので、株主が市場のルールにおいては絶対にいけないということではないのですが、リーグの規約としては、クラブとの関係においてそのような株主がいることはいけないとし、不適正な業種であれば一定のパーセンテージまで下げることをクラブに指導し、一定期間内に解決してもらうようクラブに働きかける形で対峙することになります。
Q:クラブ側が次の株を買い取ってくれるところを探す、一時的に買い取ってくれた株主に対して売るように説得をするなどについては、クラブの役割として求められるということでしょうか。
A:クラブ経営本部 鈴木本部長
その通りです。クラブとしてはそのような責務を負うことになります。
【司会】
以上を持ちまして、2021年度クラブ経営情報開示の説明を終了いたします。