一般社団法人日本野球機構(NPB)と公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が連携する「新型コロナウイルス対策連絡会議」の53回目が、18日に開かれた。
今回の会議では応援スタイルの緩和について、また新型コロナウイルス感染症の後遺症について意見が交わされている。
会議後のリモート会見で野々村 芳和チェアマンは、「Jリーグでもまだまだ感染者は出ているわけですが、この会議で積み重ねた知見があるおかげで、パニックになることなく対応できているかなと思います。なかには監督が不在でゲームをやらなければいけない状況もありながらも、選手たちはすごくいいパフォーマンスをしてくれていると思います」と、現在のJリーグの状況について触れた後、声出し応援の再開について次のように言及した。
「今、日本を代表して4つのクラブがタイ、マレーシア、ベトナムでAFCチャンピオンズリーグを戦っています。ファン・サポーターも一緒に行って、現地で声を出して応援するということを体験しながら戦ってくれているわけですけれど、選手、ファン・サポーターの健康状態も確認する必要がありますし、このコロナ禍で応援スタイルをどういう風にしたらいいのか、今回のアジアや世界の例も含めて、引き続きJリーグでは知見を高めていきたいと考えています」
また声出し応援の再開に向けては、具体的な動きも出ているという。野々村チェアマンは「マスクを着用して声を出した時にどれくらいのリスクがあるのか。そのリスク評価について、政府の関係省庁などと実務レベルでの調整を始めています。段階的にということにはなるかと思いますが、着実にエビデンスを積み重ねていきながら前に進んでいけたらと考えています」と話した。
専門家チームの賀来 満夫座長は、声出し応援の再開に向けて、データの蓄積が重要になるという。
「産総研さんや専門チームで、実証データを取り始めています。徐々にデータが出てくると思いますので、そういったデータを踏まえながら、マスクをつければ声を出して応援してもいいという方向にもっていけるかを進めています」と話した。
一方で、声出し応援の再開については国内の社会情勢を踏まえる必要があるとも指摘する。
「マスクをつけていても、(周囲で)大きな声を出すのが嫌だという方もいるかもしれない。そういう方がいれば、(客席の)ゾーンを分けていくようなことも考えていかないといけない。個人個人の考え方を尊重していく意味でも、そういったことが必要だという意見も実際に出ています」
これを受けて野々村チェアマンは「今すぐに何か新しいスタイルで運営していくことにはなりづらいと思っています。我々が決める立場ではないということを考えると、少しでも安全に応援できるようなデータを積み上げていくしかないと思っています」と、慎重な姿勢を示している。
また今回の会議で議題に上がった後遺症について、野々村チェアマンは「調査結果では、選手の十数%に後遺症とされる症状がみられたいう情報は取りまとめていますが、重い後遺症があった例は今のところ聞いていません。サッカーの場合は週1~2回恒常的にゲームがあって、それが後遺症としての倦怠感なのかゲームの疲れなのか分かりづらいところもあるかもしれないですし、今後も確認が必要ですが、際立って重い症状という報告例はないということをお伝えしておきます」と、Jリーグにおける後遺症の現状について説明している。