2021年11月30日(火) 08:00
「プレーの70%はコントロールで決まる」スペインの至宝が語る「止める・蹴る」のこだわりと重要性【THE BEST RULE:アンドレス イニエスタ】
10月の明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP(J1)に輝いたのはヴィッセル神戸のアンドレス イニエスタだ。来日4年目を迎えたワールドクラスは、昨季負った怪我から完全復活を果たし、ACL出場を目指す神戸を力強く牽引している。観る者を魅了するその超絶技巧はどのように生まれるか。自身のこだわりやマイルールからその要因を探っていく。
――まずは月間MVPに輝いた感想を聞かせください。
「非常に嬉しいです。つまり、それはチームがうまく機能しているということ。そこが一番大事なことですから。個人的にはチームを助けられること、そしてチームの目標達成に貢献できることをとても嬉しく思っています」
――10月は3ゴールと結果を残しましたが、そのなかで印象に残っているゴールがあれば教えてください
「名古屋戦のPKですね。私たちにとって非常に重要な1点だったと思います。ACL出場権を争う直接のライバルとの試合で決められたのは非常に重要だったと思います」
――今季は昨年のACLで負った怪我の影響もあり苦しいシーズンだったと思いますが、ここまでのシーズンをご自身はどのように受け止めていますか?
「総じてポジティブに捉えています。長い怪我から復帰して、もちろん最初はコンディションを上げていくための時間というものは必要でしたが、しっかりとその時間を経て、チームとしても勝点を積み重ねながら、今は目標を達成する目前まできています。チームとしての目標を達成するために、残りのシーズンを頑張りたいと思いますし、個人的にも現段階では昨年の怪我をする前よりもコンディション良くプレーできている感覚があるので、すごくポジティブに捉えています」
――ここからは、イニエスタ選手のこだわりについて聞かせていただきます。まずは試合前のルーティーンを教えてください。
「これといったものはないんですが、とにかく集中をすることですね。ピッチに出た時にどういうことをやるのか。そのあたりのイメージトレーニングも含めて、常に集中を保つことを試合前は意識しています」
――どのように集中力を高めるのですか。例えば音楽を聞いたり?
「移動中のバスで聞いたりはしますけど、スタジアムに入ってからは、本当に特別なことはしていません。普通に着替えをして、試合に向けてメンタル的に集中することを心がけているだけです」
――食事に対するこだわりはありますか。もし、好きな日本食があれば教えてください。
「お寿司だったり、刺身だったり、あとはお好み焼き、たまにラーメンも食べます。それだけではなく、日本食は何を食べても本当に美味しいですね。素晴らしい食が揃っている国だと思っていますので、そういったところは楽しんでいます」
――イニエスタ選手を見ていると「止める・蹴る」というプレーにこだわりを感じます。何か意識していることや、重要だと考えていることはありますか?
「止めることと蹴ることは、サッカーをプレーするための土台となるスキルだと思います。コントロールの質を上げるだけではなく、身体の向きや、顔を上げて周りの状況を把握すること、パスを受ける前に次にどういうプレーをするかを考えておくこと。そこにはいろいろな要素があると思いますし、小さい頃からその重要性を子どもたちに説いていく必要があるものだと思っています。サッカーのプレーの70%くらいはコントロールで決まると思っています。基本的にファーストタッチでプレーすることはあまり多くないことを考えると、何かアクションを起こす前には必ずコントロールというものが出てくる。その基本的な部分をしっかりと身に付けることは、本当に重要なことだと思います」
――どういうイメージを持って、ボールをコントロールしているのでしょうか。
「次に何が起こるのかということを常に意識するようにしています。もちろん味方や相手が近くにいるか、遠くにいるかによってコントロールは変わってくるんですが、次に起こることを予測したうえで、それに合わせたコントロールをしています。それができれば、次にパスを出すところまで時間がかからず、無駄なタッチをする必要がなくなります」
――イニエスタ選手は日本でのプレーが4年目となりましたが、改めて日本のサッカーの印象を教えてください。また、日本が世界に追いつくために必要だと考える部分はどこだと思いますか。
「最初に受けた印象は、すごく競争の激しいリーグだなということ。1試合、1試合、勝つのが難しいリーグだと感じました。それは競争心のある自分にとってはすごくやりがいのあることで、そういう意味で日本のサッカーはすごく楽しいサッカーだと思っています。確かに成長の余地はあると思います。プレーのタイミングをコントロールしていったり、ゲームコントロールといったところでは、改善できるところもあるかもしれないですけど、日本のサッカーはすごいペースで成長してきていると思うので、いい方向に向かっていると感じています」
――今シーズンも残りわずかとなりました。ACL出場がかかった重要な試合が続きますが、意気込みをお願いします。
「まるで決勝に対峙するかのような姿勢で向かわないといけないですね。最後の試合のような意気込みで臨まなければいけないと思います。そういう姿勢がなければ、目標は達成できません。どういう形で最後まで戦い抜くか。それにかかっているので、最後まで気を抜くことはできません」
――ご自身の誕生日である今年5月11日に、神戸との2年間の契約延長を発表しましたが、今後のキャリアの展望をお聞かせください。
「選手としての成長を続け、これからもチームに貢献し続けられるように日々頑張っていくということが、一番のモチベーションです。私が神戸に来てから、このチーム、クラブが成長しているとみんなが感じられていると思います。今後も目の前にあるタイトルというものを可能な限り勝ち取るために、クラブとして、そしてチーム力を上げていくために、成長を続けられればなと思います」
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