2021年7月26日
2021年度 第7回Jリーグ理事会後チェアマン定例会見発言録
2021年7月26日(火)16:30~
オンラインにて実施
登壇:村井チェアマン
〔司会より決議事項、報告事項について説明〕
本日14時より2021年度第7回理事会が開催されましたので、記者会見を実施させていただきます。
本日の発表事項は2件でございます。
1.2021シーズン8月以降の飲水タイム運用方針の件
8月以降の対応は再検討としておりました、公式試合での飲水タイムの取り扱いについて、引き続きコロナ禍での選手の負担が大きく、また感染予防のため飲水ボトルの共有を不可としており、選手が給水しづらい環境であることから、8月以降2021シーズン終了まで、これまで同様のルールを適用することを決定いたしました。原則各試合においてWBGT値によらず前半1回後半1回の飲水タイムを設けること、ただし両チーム合意の場合はWBGT値が基準を超えない場合のみ、飲水タイムを設けないことも可能とする、というものでございます。なお、2022シーズンについては、その時点での状況を見て再検討することとさせていただきます。
2.2021Jユースリーグ第28回Jリーグユース選手権 大会方式変更の件
新型コロナウイルス感染拡大によりアカデミー活動が制限される中、4月から6月の期間で多くの試合が中止・延期となっていることから、現行の大会方式の変更を決定いたしました。
変更点が3つございます。
[1]グループステージの実施期間を延長し完了期日を10月24日の日曜日から12月31日の金曜日とする。
[2]10月30日土曜日から11月30日土曜日の日程にて予定していたノックアウトステージを中止とする。
[3]グループステージの順位をもって最終結果とし、表彰の対象をグループステージ1位のチームに変更する。
併せて、2021Jリーグ公式試合の前半戦の競技関連データについて、報道資料をメディアチャンネルに掲載しております。現在Jリーグが導入している、脳振盪の疑いによる交代および5人までとしている選手の交代人数について、6月2日までに開催された2021明治安田生命Jリーグ、2021JリーグYBCルヴァンカップ、FUJI XEROX SUPER CUP 2021における実績を報告しておりますので、ご参考頂ければと思います。
また、もう1件お話しをさせてください。今年もJリーグ社会連携室とクラブが協力して「#命つなぐアクション」を実施致します。AEDの理解促進のために全クラブに協力をお願いして、昨年に続き2回目の啓発活動となります。活動日は8月4日水曜日。今年は松田 直樹さんが亡くなってからちょうど10年が経ちます。そして先日の6月12日には欧州選手権デンマーク対フィンランドの試合中にデンマークのエリクセン選手が突然ピッチに倒れたことも記憶に新しいところでございます。選手にとってもスポーツに関わる全ての人にとっても、スポーツ中の突然死は決して他人事ではなく、AEDやCPRの正しい知識を身に付けていくことは極めて重要だと認識しております。我々自身が身に付けていくのみならず、全国にその重要性を発信していくことは社会におけるスポーツの価値であり、JリーグやJクラブの価値を高めていくことにも繋がっていくと考えております。今年発信することに加え、より具体的に身に付けるということに関しても、クラブの皆さんと一緒に取り組ませていただきたいと考えております。クラブの活動については、クラブの皆さんが配信するニュースリリースをご参照いただければと思いますが、8月は、横浜F・マリノス、松本山雅FC、セレッソ大阪、北海道コンサドーレ札幌などがAEDの講習や啓発活動を予定しております。セレッソ大阪に関しましては、先ほどリリースでの案内もありました。今後は皆様もメディアチャンネルをご確認いただいて、告知ご取材にご活用いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
それでは本日の理事会を終えましたチェアマンの村井よりコメントをさせて頂きます。
〔村井チェアマンよりコメント〕
皆さんこんにちは。村井でございます。
本日はオリンピック開催期間中での理事会となりました。オリンピックそのものについては開催の是非、観客の入場の是非、様々な議論が繰り広げられたわけですが、実際に競技会が始まると、我々はやはりサッカーの団体ですので、なでしこジャパン、そしてU-24日本代表の動向に本当に釘付けになっているところです。Jリーグの選手も数多く招集されているU-24の活躍が嬉しくもあり、ハラハラドキドキでもあり、一緒に戦っているというような状況です。
今日は理事会に先立って反町技術委員長に参加いただいておりましたので、日本代表チームの状況だったり、選手たちを取り巻くオリンピックの環境だったり、直近のリアルな情報を共有いたしました。まだノックアウトステージ、決勝ラウンドに進んだわけではありませんが、余談なくしっかり準備していますよというようなことをお聞きすることができました。
大変高いモチベーションと、選手だけでなく、チーム関係者、様々な方々との強い絆で非常に良いコンディションで前を向いていますという言葉がありました。参加者一同応援しているということで今日の理事会が始まりました。大会はまだまだ続いていくわけですが、原副理事長から一言、フットボールの観点からコメントを頂戴したいと思います。
〔原副理事長よりコメント〕
昨日のメキシコは非常に良いチームだと思いますが、立ち上がりから素晴らしかったと思います。
林、久保 建英あたりの前線からのすごくプレスが効いていて、立ち上がりゲームの入り方がすごく良かった。1点ではなく2点目もとりました。海外組だけでなく鳥栖の林、また相馬、田中、遠藤との関係性もよく、GKの谷も試合に出ていますのでコンディションはよいなと思いました。ただ、メキシコは強いチームなので、間違いなく最終戦は勝つだろうという風に考えると、フランスも最後の試合で日本に2点を取って勝つなどすれば日本も危なくなるので、村井チェアマンから話があったように日本には1試合1試合良い準備をして戦ってほしいということと、少し希望が見えたのが、けがをしていた三笘 薫、上田 綺世が少しでも試合に出ることができたので、その辺が大切になると思いますので、フランスと良い試合をしてグループステージをしっかり突破してほしいなと思っています。
〔村井チェアマンよりコメント〕
ありがとうございます。理事会そのものは比較的自由闊達な意見交換の場であったのですが、オリンピック、パラリンピックが終わった後にJリーグがどのような思想、コンセプトでスポーツに向き合っていくのか、そういうところの視点を理事会としても共有していきましょうということでいろいろ議論がありました。いわゆる無観客という形での競技会がメインとなっているのですが、従前とは違うシーンでのスポーツとのふれあい方、そうした意味でのリアルのスタジアムでの顧客体験と、バーチャルでの様々な体験の価値の両面を上げていくことで議論していきましょうということで申し合わせました。
〔質疑応答〕
Q:飲水タイムのことについて、フットボールのご担当に質問があります。年初の段階で導入するかどうかをいろいろ技術委員会も含めて議論があったと思いますが、国際試合では一定の基準がないとやらないということでオリンピックでは飲水がない試合もあります。
その中で競技性を損なう、それがある前提でやっていることになれてしまうと、国際試合が難しくなるのではないかという意見もありましたが、今回延長するにあたって、夏は必要だと思いますが、冬場は必要なのかという意見はあったのでしょうか。
A:原副理事長
いろいろな意見がありましたが、やはり第一番目はコロナをこれ以上絶対広げないという中で我々はやってきました。もちろん海外の大会では飲水を導入していないということはありますが、オリンピックでも言われているように、日本特有の湿度の問題を考慮して続けようと、両チームとも納得したうえで、WBGTが高くないと飲水をやらないという選択肢はありますので、何試合かそういう試合もあります。そこは任せながらやっていくという、やはり感染対策が一番で、日本代表の方では、5人交代も海外では前はなかったですが、オリンピックであっても5人交代はありますし、脳振盪についても、この時期ということもありますし取り入れられていますので、我々Jリーグとしてはやはりこのまま続けていく。涼しくてやらなくてもよいという試合については、両チームの監督も含めて確認し導入しない試合も出てくると思いますが、特に今、暑い時期は必要だと思います。
Q:前回、外国籍選手の入国について言えることだけということで村井チェアマンにお話しいただきましたが、現在のステータスとして進捗はあるのでしょうか。申請があるものはある一定のめどがついているのでしょうか。
A:木村専務理事
今、申請をしているものについてはめどがついています。
Q:ワクチンの接種について、あと1クラブというお話が先日の連絡会議で最新情報でしたが、その後進捗はありますでしょうか。
A:コロナ対策室 仲村
状況に変更はなく、ステータスとしては変わりがないとだけお伝えさせていただきます。引き続き早くワクチン接種ができるようにクラブとは連携していきます。
Q:今回の理事会の件とは関係ないと思いますが、各クラブから、ネット上の誹謗中傷に関するリリースが出ることが多くなり、クラブのSNSの投稿に関して、コロナの件を揶揄したり、東日本大震災、かつての原爆、外国籍選手への人種差別のような誹謗中傷のツイートがあったりすることが目立っていますが、リーグとして何か対処する予定はありますでしょうか。
どのくらい認知されているかわからないのですが、どのようにリーグ内で共有されてますでしょうか。
A:村井チェアマン
本当に許すことができない、卑屈で、悪質な事案だと認識しています。ネットを使った差別や、様々な個人を攻撃するなりすましというような事象もあると聞いておりますが、これらは犯罪行為ですので、撲滅するような対応をとってまいりました。警察と連携して悪質な犯人を正していくようなアプローチが必要になってくるものですので、昨年になりますが、松本警察省長官をお訪ねして、Jリーグとしては絶対に許せないので、今後こうした事案があった場合は都道府県の警察と連携しながら対処しますので、警察省としてのご協力をお願いいたしますと申し上げました。前園氏を起用した絶対に許せないという啓発のビデオを作成して全国のスタジアムで流したりもしています。また、様々なコンプライアンスの研修等々でクラブとの視点合わせを共有しております。断固たる姿勢で臨んでいきたいと考えております。
Q:冒頭にオリンピック後にどのようなコンセプトでスポーツに向き合っていくかという議論をされたとお話をされていますが、どんな問題意識やどのような背景があってこのようなことを話し合うようになったのか、村井チェアマンのお考えも含めてお聞かせいただけますと助かります。
A:村井チェアマン
今まさにオリンピックで世界が日本のスポーツ環境に注目している状況です。
今日の理事会メンバーの中には、特任理事も含めて各国から参加しています。ベルギーから立石理事、ロンドンから外山特任理事、佐伯理事がスペインにいながら共有されていますし、馬場理事はアメリカから参加され、世界各国から参加されている状況です。
日本で開催されるオリンピックというものを海外ではどのように中継されているのか、世界はどのように日本を見ているのかということを各国在住の方々にご意見をいただいたりしますと、ヨーロッパではベルギーは既に7月に開幕してますし、プレミアリーグは開幕に向けて、オリンピックというよりはむしろプレシーズンマッチが毎日放送され、マスク無しのお客様と共にというシーンが非常に大きく報道されていますので、もしかすると日本の方が慎重かもしれません、というコメントをいただきました。世界から見た日本のオリンピックという議論をしました。
世界から比較したJリーグということも意見をいただいたと思っています。そうした中でいうと、今後終わった後に、Jリーグは再開するのですが、急に昔のようなフルハウスの熱狂のスタジアムがすぐに戻るというのは時間的に難しいと思っていますが、いかにリアルなサッカー体験の楽しさを伝えていくかということと同時にバーチャルに様々なメディアを通じてサッカーの魅力にどう触れていくのか、視聴体験を上げていくのか、そのあたりにしっかりと向き合っていくという話をいたしました。
社内では「to C」という言葉で一般のコンシューマー、視聴者の方々、ファン・サポーターに対して、どのようなサービスのレベルを上げていくのか、一定程度の投資をしていきましょうという議論をしました。この辺りのレベルが元に戻るというよりは、ハイブリッドといいますか、リアルとバーチャルの観戦体験をもっと高くしていくという話がメインだったと思います。
A:木村専務理事
いくつか社外理事のそれぞれの専門分野をお伺いしたいことがあったのですが、例えば、アメリカ、イングランド、スペインのエリアごとの情報、ポストコロナを見据えて、国民全体や経済界や政治がどんな判断をされているか、今後日本に対してヒントになるようなことはないか伺いました。
今後オリンピック・パラリンピックの後、Jリーグもお客様にスタジアムに戻ってきてほしいという思いもあり、どのような方向性をとるべきか、それぞれ社外理事も含めて手広く意見を求めるといいますか、ヒントになるようなことがないかと聞いたのですが、まだオリンピックも始まって数日ですので、確たるものがないなかでも、デジタルとリアルの融合の難しさと可能性というのでしょうか。そのあたりが雑感として出てきました。私が感じるのは、特に若い世代にはハイライトですら長く感じることがあり、社内でも短尺化といっていますが、すごく短い尺の映像が求められている傾向が強くあり、始まって数日のオリンピックの反応を見てもあきらかになっています。本当にオリンピック後、お客様を戻していくうえで、各国、各リーグがどのくらい意識しているのか。まったく意識せずに動いているのか、いろいろな多岐にわたったご意見をいただきました。
A:村井チェアマン
今回のオリンピックとパラリンピックを期に、日本社会が強烈に再認識を迫られた部分でいうと、大会演出をめぐっては不適切な表現やコミュニケーションが、世界からすると当たり前のことが、我々からするとややそこの感性が鈍かったことがオリンピックを通じて浮き彫りになったと思います。先ほどのなりすまし問題もそうですが、我々はより社会に開かれた存在ですので、しっかりと感性を見直していこうという話がありました。一方でスケートボードの放送時間と、90分のサッカーを比較すると、今の若者に対して(サッカーは)冗長に感じるという、我々が感じる以上にスピード感、テンポについて感覚を磨かなければならない。極論を言うと、Jリーグの理事会も20代の人たちの意見をいただく、サウンドするなど発想の転換が必要だということも、今日意見にいただいたりしました。オリンピックを通じていろいろ明らかになってきていることをしっかりと見極めて、次のJリーグに生かしていきたいと思った次第です。
Q:佐伯理事、外(スペイン)から見た日本、オリンピックの所感をお聞かせください。
A:佐伯理事
ヨーロッパからだと時差がありますので、リアルタイムにオリンピックを追えないことは、ハードルが高いのかなと。皆さんが中継を見ていない様子があるのが、私としては残念な面であります。ラ・リーガはプレシーズンマッチが開始しておりますので、そちらの放送はどこのお店でもテレビで流しっぱなしにしていますが、なかなかオリンピックとユーロと比べると盛り上がりが全然違うというのが、視聴率を比較しても感じています。
新シーズンに向けてスペインだと(新型コロナウイルス対策の)ガイドラインを義務から推奨に切り替え、ラ・リーガの方で監視をすることを撤廃しました。
各クラブの責任下において、各自治州の指示に従って、開催、有観客、無観客を決めていくという流れになっているのをみますとコロナというものと共存することを覚悟したのだなと感じます。ですので、緩和したらまた一歩下がって、また緩和を厳しくして、また減少したらまた緩和をしてという繰り返しになっています。スポーツを止める、スポーツが止まるという概念が、おそらくヨーロッパの人にはないのだろうと感じています。
【次回のスケジュールについて】
次回は今週木曜日の29日17時よりクラブ経営情報開示のブリーフィングを開催させていただきます。オリンピック期間中でお忙しいかと思いますが、ご取材いただければと思います。