5月も川崎Fの強さに陰りは見えなかった。4月から続いた2位の名古屋との2連戦をともにモノにして勢いを加速させると、G大阪、札幌、横浜FCにも快勝。20節の仙台戦は土壇場で追いつかれる失態を演じたものの、16節の湘南戦では逆に終盤に追いつき、引き分けに持ち込む粘りを披露。17節の鹿島戦では追いつかれながらも終了間際に決勝ゴールを叩き込む勝負強さを見せつけた。昨季から続く無敗記録を25試合に伸ばし、開幕から20戦無敗の新記録も達成。向かうところ敵なしの川崎Fは、このままシーズンを駆け抜けてしまうのだろうか。
一方2位の名古屋は、5月は苦戦を強いられた。川崎Fとの連戦でともに敗れたのが響き、その後は得点力不足を露呈。守備の安定は保たれ大きく崩れることはなかったが、勝ち切れない試合も目立ち、川崎Fとの勝点差を15にまで広げられてしまった。鳥栖も2勝4分と負けなしで乗り切ったとはいえ、こちらも川崎Fを脅かすほどの勢いは示せなかった。
5月に多くの勝点を積み上げたのは横浜FM、福岡、鹿島の3チーム。横浜FMは新外国籍選手のフィットもあり、持ち前の攻撃力が蘇ってきた印象。鹿島との打ち合いには敗れたとはいえ、4勝1分1敗とし、鳥栖をかわして3位に順位を上げている。
サプライズを与えたのは福岡だ。4月から続いた連勝を6に伸ばし、一気に上位争いに参戦。堅い守りをベースに鋭い攻撃とセットプレーの威力を発揮しながら、連勝街道を突き進んだ。しかし16節に横浜FCと引き分け連勝が止まると、続く大分戦では惜敗。勢いに陰りが見えるなか、上位争いに踏み留まれるか、否か。勝負の6月となりそうだ。
鹿島は川崎Fと並んで、5月最多の5勝を挙げた。監督交代が奏功し、松村 優太ら若手も台頭。ディエゴ ピトゥカら新外国籍選手が本領を発揮してくれば、さらなる浮上も狙えるだろう。
浦和も5月はポジティブな戦いを見せた。復調の要因はキャスパー ユンカーの存在だ。高い決定力を誇るデンマーク出身のストライカーは、デビューから4試合連続ゴールと圧巻のパフォーマンスを披露。この新たな得点源が、今後の浦和の命運を左右するはずだ。
一方、シーズン序盤は好調だったC大阪は、5月を未勝利で終えた。FC東京は4月から続いた連敗を5で止めたものの、なかなか失点が減らない状況にあり、苦しい戦いが続いている。
下位に目を向けると、守備に安定感が生まれてきた仙台に復調の兆しが見える。また監督交代のG大阪は16、17節と2連勝を達成し、こちらも最悪の状態からは脱した印象だ。横浜FCは14節に湘南を下し、待望の今季初勝利を手にした。もっとも以降の3試合は結果を出せておらず、最下位に沈んだまま。まだシーズンは半分以上残されているだけに、ここからの巻き返しに期待がかかる。
苦しいのは柏だ。5月は1分5敗とひとつの勝利も手にできなかった。6試合で3得点・11失点はともに5月のリーグワーストの数字。16位と降格圏が背後に迫るなか、いかに立ち直っていくのか。名将・ネルシーニョ監督の手腕が問われてくるだろう。