4月の明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVP(J1)に選出された川崎フロンターレのレアンドロ ダミアン。来日3年目を迎えたストライカーは、過去2シーズンを上回るペースでゴールを量産している。そのハイパフォーマンスの原動力はどこにあるのか?自身のこだわりやマイルールを明かしてもらいながら、好調の要因に迫った。
――過去2シーズンと比べても調子の良さが窺えますが、ご自身は好調の要因をどのように分析していますか?
「去年はすごくいい内容のサッカーができましたし、いい結果を手にすることができました。その経験が生かされて、チームの全員が自信を持ってここまでプレーできていると思います。そのなかで、チームメイトが自分の特徴をより理解し、生かしてくれていることが、このような結果につながっているのだと思います」
――このインタビューは選手が持つこだわりやマイルールから、好調の要因を探るという趣旨で行っていきます。まず、ダミアン選手が試合前に行うルーティーンを教えてください。
「試合の前日に父に連絡をすることです。父といろんなことを話すことで、落ち着いて試合に臨むことができるんです」
――では、次に食に対するこだわりを教えてください。
「食事に関しては気を付けているつもりです。試合前日はしっかりと食べるようにして、試合当日はあまり取らないようにしています」
――ちなみに、好きな日本の食べ物はなんですか?
「カレーです。肉が入ったカレーが大好きですね」
――食事以外で、コンディション作りに対して意識していることはありますか?
「うちのチームは日々、すごく強度の高いトレーニングを行っているので、消耗度も激しい。だから、ピッチ外のところではしっかりと休養を取ったり、身体をケアすることを意識しています」
――オフの過ごし方でこだわっていることはありますか?
「オフの日は奥さんと外食をするのが好きだったんですが、今はこういう状況なので難しいですね。行ったことのないところに行くことも好きだったんですが、この状況下で外出ができないので、最近は家の中で奥さんと過ごすことがほとんどです」
――日本に来て3年目となりましたが、チームメイトとのコミュニケーションの取り方も、以前と比べて変化があるかと思います。そこで意識していることはありますか?
「ピッチの中に関しては、多少日本語も分かるようになってきたので、特に問題はないと思っています。逆にポルトガル語の単語をよく知っている選手も多いので、単語をつなげながらコミュニケーションできていると思います。この3年間でいろんなことを経験できていますし、多くのことを学ぶことができていると思っています」
――好きな日本語はありますか?
「うちのチームでよく耳にするのは『キリカエ』という言葉ですね。ただ。自分が好きな単語は『ガンバル』です」
――まさにその「ガンバル」という言葉が当てはまる献身的なプレーがダミアン選手の魅力です。チームのために「ガンバル」ことも意識していることですか?
「先ほども言った通り、今では日本語も多少理解できるようになってきたので、自分ひとりでプレスをかけに行く無駄走りがなくなり、チームメイトと共にプレスをかけにいくことができるようになっていると思います。献身的にプレーすることは今に始まったことではなく、プレスをかけたり、激しくマークすることは自分の特徴のひとつで、前からやっていたこと。今は周りとコミュニケーションを取りながら、上手く機能していると思います」
――ブラジル時代からそういうタイプの選手でしたか?
「そうですね。ブラジルにいた時からそういう特徴は持っているつもりですし、後ろの選手の手助けになると思っているので、そこはこれからも変わらずやっていきたいですね」
――小さい頃からそういう意識を持っていたんですか?
「自分としては意識してやっていたつもりです。もちろん、毎試合、毎試合上手く表現できたわけではないですが、自分が前で頑張ることによって、チームの力になれるのであれば、スライディングや激しくマークすることは決して苦ではないですね」
――ダミアン選手と言えば、やはり得点力です。ゴールに対するこだわりを教えて下さい。
「今までいろんなゴールを取ってきました。エリア内、エリア外、また神戸戦で決めたハーフウェイラインくらいからのロングシュートもあります。ゴールという結果を手にするには、第一に気持ちのところですね。ゴールを取りたいという強い想いと、取れるんだという自信を持ってプレーすることが重要だと思っています。あと、エリアの中であればポジショニングを特に考えていますし、エリア外であれば激しくプレスをかけてボールを奪い、そこからゴールに向かっていくプレーを意識しています」
2・3月度の月間ベストゴールも受賞した超ロングシュート
――得意とするゴールの形はありますか?
「オーバーヘッドです」
――これまでにどれくらい決めているのですか?
「これまでのキャリアの中では、6ゴールくらいは決めていると思います。一番良かったのは、インテルナシオナル時代にフラメンゴ戦で決めたオーバーヘッド。あれは今でもはっきりと覚えていますね。2019年に清水戦で決めたオーバーヘッドも、それと同じくらい印象に残っています」
取材日(5/19)のわずか1週間後、得意と公言するオーバーヘッドでゴールを奪ってみせた
自身も印象に残ると語った2019年の清水戦のゴール
――ストライカーの番号である9番に対するこだわりもありますか?
「(元ブラジル代表FWの)ロナウドが好きなので、9番をつけています。小さい時から彼のことが大好きで、当時世界で一番素晴らしいプレーヤーだと思っていました。ストリートサッカーでゴールを決めるたびに、『俺はロナウドみたいになる』と叫んでいましたよ(笑)」
――ロナウドが大好きだった少年時代から、今でも継続して取り組んでいることはありますか?
「やっぱり、努力を欠かさないこと。そこは変わらず意識しています。日々の練習を100%で取り組むこともそう。毎日、毎日、少しでも良くなるように練習に向き合うことが大事だと思っています」
――なかなか結果が出ない時や調子が悪い時にはどのように対処していますか?
「試合中でも上手くいかないとイライラしてしまう部分は正直ありますけど、そこに気持ちを置いておいても良くなることはないので、とにかく過ぎたことを忘れて、切り替えることを意識しています。またすべては練習で改善されると思っているので、終わったことを忘れて、練習の中で最善を尽くすだけですね」
――日本でプレーする上で、ブラジル時代と変えたことはありますか?
「辛抱強くやらなければいけないという覚悟はありました。来日してすぐの頃は、周りは自分の特徴を知らなかったと思いますし、僕自身も日本のサッカーやチームメイトの特徴を知らなかった。ただ今となってはその時の努力や経験がすごく生かされて、ここまで素晴らしい結果を出せているんだと思います」
――過去2年と比較して今季、より意識していることはありますか?
「1年目に関してはいろんなことを学んだり、吸収するだけで終わってしまったのかなと思います。そういう意味では自分としては、少しスタートが遅れてしまったのかなと感じています。ただ2年目に関しては自信を持ってプレーできたし、素晴らしい選手たちと一緒にタイトルを獲ることができた。1年目の経験を生かせたと思いますし、日本に慣れてきたことも大きかったと思います。今季に関しては、去年の内容を自信にして、より落ち着いてプレーできていると思います」
――では、最後にプロのサッカー選手として一番大事にしていることを教えてください。
「プロとして、いいお手本にならないといけないと思っています。それはピッチの中もそうですし、外でもそう。ピッチの中では闘う姿勢を見せて、子どもたちに夢を与える存在となりたいですし、ピッチ外でも一人の人間として手本となる存在でいなければいけない。そこはいつも考えていることです」
――これからの目標を聞かせてください。
「今季もチームメイトとタイトルを獲りたいと思っています。もっともっとこのタイトルの数を増やして、フロンターレの歴史に自分の名を刻んでいきたいと思います」
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