福岡と京都が昇格し、16チームによって争われた1996年のJリーグは、初めて1シーズン制で行われた(全30節)。
開幕から勢いに乗ったのは、横浜Fだった。ブラジル代表トリオ(サンパイオ、ジーニョ、エバイール)をはじめ、前園 真聖、楢崎 正剛、山口 素弘、三浦 淳宏と実力者を多数擁するチームは開幕8連勝を達成。アトランタ五輪のために設けられた中断期間前(第15節)まで12勝3敗とし、首位を独走した。
一方、鹿島もまた粘り強く勝利を積み重ねた。ジョアン カルロス新監督の下で初優勝を目指すチームは、レオナルド、ジョルジーニョと同じくブラジル代表を揃え、攻守両面で安定した戦いを実現する。
中断期間中にエースのレオナルドがフランスのパリSGに移籍するも、高卒ルーキーの柳沢 敦が台頭。長谷川 祥之、相馬 直樹ら中堅も質の高いパフォーマンスを保ち、接戦をものにする勝負強さを示していく。
中断明け後は横浜Fが失速した一方、鹿島と名古屋が調子を上げ、次第に優勝争いはこの3チームに絞られていった。
そして迎えた29節、鹿島は名古屋との大一番を迎える。開始早々に先制されたものの、真中 靖夫の2ゴールで逆転に成功。後半にもマジーニョと相馬が追加点を奪取し、4-2と快勝を収めた。直接対決をものにした鹿島はこの勝利で、事実上の優勝を確定。最終節はV川崎に大敗を喫したものの、悲願の初優勝を成し遂げている。
最終成績は鹿島、名古屋、横浜Fの3チームが21勝9敗で並んだものの、9敗のうち3つがPK負けの鹿島が勝点で他の2チームを上回る大混戦だった(当時、PK負けには勝点1が与えられた)。
1993年のサントリーシリーズで優勝を成し遂げて以降やや苦しんでいた鹿島だったが、この初優勝をきっかけに、“常勝軍団”の道を歩んでいくことになる。
なおこの年は、終始安定したパフォーマンスを披露したジョルジーニョがMVPを獲得している。
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