平塚(現湘南)と磐田が参入し、12チームで争われた1994年のJリーグ。連覇を狙うⅤ川崎(現東京V)は、サントリーシリーズ開幕戦で昇格チームの平塚相手に5-1と快勝を収め、幸先の良いスタートを切った。しかしその後は鹿島や横浜M(現横浜FM)に敗れるなどなかなか波に乗れず、サントリーシリーズの半分に当たる11試合を終えて6勝5敗と苦しんだ。
後半の11試合では8勝3敗と巻き返したものの、サントリーシリーズを制した広島に1-4と完敗を喫するなど、王者らしくない戦いも露呈。結局、序盤の苦戦が響き、サントリーシリーズは広島、清水、鹿島に次いで4位で終えている。
さらにNICOSシリーズを前に、三浦 知良がイタリア・セリエAのジェノアに移籍。サントリーシリーズの22試合で16得点とゴールを量産したエースの移籍は、小さくない痛手と言えた。
しかしNICOSステージに入ると、Ⅴ川崎はそんな不安を払しょくする快進撃を見せる。三浦の後釜を担ったベンチーニョがゴールを量産し、武田 修宏もコンスタントに結果を出した。また長谷部 茂利、広長 優志ら若手も台頭し、週2ペースで行われる過酷なリーグ戦を、まさに総力戦で戦い抜いた。
なかでもハイパフォーマンスを示したのはペレイラだ。当時34歳のベテランCBは、高さと強さを生かした対応と的確なカバーリング能力を示し、最終ラインを統率。Ⅴ川崎に堅守をもたらし、安定した戦いを実現した。
二度の5連勝を達成するなど勢い乗ったⅤ川崎は、昇格チームながら快進撃を続けていた平塚とのマッチレースを制し、2年連続でNICOSシリーズ優勝を成し遂げた。
広島とのサントリーチャンピオンシップでも勢いに陰りは見えず、第1戦では北澤 豪、第2戦ではラモス 瑠偉のゴールで、ともに1-0と勝利。総合力の高さを見せつけて、2年連続でリーグ王者に輝いている。
なお、連覇の立役者となったペレイラがMVPを獲得し、このペレイラのほか、菊池 新吉、柱谷 哲二、北澤、ラモス、ビスマルク、武田の7人がベストイレブンに選出されている。
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