一般社団法人日本野球機構(NPB)と公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第6回会議が23日に開かれた。
会議終了後にオンラインでの記者会見が行われ、Jリーグ村井 満チェアマンは、「この段階に来れば想定しなければいけない」と、無観客試合の開催を視野に入れていることを明かした。
全国に緊急事態宣言が出されるなか、プロ野球、Jリーグの開幕・再開は現段階では現実的ではない。したがって今回の会議では開催時期についての議論はされず、家族も含めた選手・関係者の健康管理の徹底について、改めて話し合われたという。
専門家チームの賀来 満夫氏は「いっそう選手、スタッフの健康管理、メンタル面でのマネジメントを継続的にやっていく必要がある」と言及。具体的な対策については、「すでにマニュアルを配っていますが、さらに具体的な予防のポイントについてビデオ講義を作らせていただき、選手やスタッフ、チーム全体の方々に対しての教育・啓発活動を新たに行っていこうと話しをさせていただいた」という。
さらに賀来氏は、「非常事態宣言があるなかでの再開は難しい」としたうえで、「再開するにあたって、どのようなことを注意しながら開催していくのか。まずは無観客になると思いますが、選手、スタッフ、家族の健康管理をどのようにやっていくか。その精度をさらに高め、試合を開催するにあたってのプロトコル、ガイドラインをしっかり作っていく」と話した。
またすでに、韓国、台湾ではプロ野球が無観客で開催されている状況を踏まえ、「先行するいくつかの団体と情報交換を行いながら、参考にしていく」とも話している。
村井チェアマンは「無観客試合も含めて再開は難しい」と現状に触れ、「無観客でも、選手の移動や地域格差、感染拡大の度合いがずいぶん違う。無観客とはいえ選手の移動も十分に考慮しなければいけない」と、リスクについても言及。一方で、「ひとつの方法論として、選手の移動等を考慮しつつ、観戦者の安全を考えなければいけない立場でありますので、無観客試合もこの段階に来れば想定しなければいけない認識を新たにしています」と、無観客での開催の可能性も示唆した。
これまではアウェイ観戦の自粛や、座席の前後左右を空けるなどの対策で、収容率50%以下での開催を目指していたが、「今までは制限するなかで、観戦していただけるように細かくシミュレーションしてきましたが、無観客試合も相当な洞察が必要だという認識を持っていますので、シミュレーションのなかに加えていきたい」と、今後の方向性を示している。
一方で、今回の会議では昨年現役を退き、同会議のメンバーであるJリーグ特任理事の播戸 竜二氏から、選手のメンタルケアについての指摘があったという。すでに中断期間は2か月近く経過し、活動を休止するチームを増えるなか、精神的な不安を抱える選手がいることは想像に難くない。
これを受け、村井チェアマンは「一人でコンディショニングを行っていることもそうですが、家族も不安を抱えるなか、夜眠れない選手がいたり、不安定な心理状態にある選手がいる。ただ、選手の立場からチームドクター、関係者にもなかなか言い出しにくい選手もいるという観点を認識しています」と説明。
「Jリーグでは独立した心の相談ができるような窓口を設けていく。それに向けて日本サッカー協会の医学委員とJリーグで連携しながら心の対応も考えていきたい。野球界とのご縁もありますし、他のスポーツ団体とのご縁もありますので、相談しながら連携していきたい。非常に重要な視点と認識しています」と、選手のメンタルケアにも注力していく考えも示している。