2019年7月19日(金) 22:30
主役となったのは川崎Fの象徴・中村 憲剛!ダミアン弾で強豪チェルシーを下す【サマリー:明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2019】
6万人以上の大観衆が詰めかけた川崎フロンターレとチェルシーの一戦。Jリーグ王者が欧州の強豪クラブにどこまで太刀打ちできるかが、試合の焦点だった。
立ち上がりこそ川崎Fが積極性を示し、チェルシーゴールに迫っていく。10分には左サイドを駆け上がった登里 享平のクロスのこぼれ球を家長 昭博がボレーで合わせ、あわやという場面を迎えている。
しかし時間が経つにつれ、次第にチェルシーが本領を発揮していく。ジョルジーニョとマテオ コヴァチッチが果敢に縦パスを入れて相手陣内に侵入すると、ペドロとケネディの両サイド、あるいはCFのミシー バチュアイが川崎Fゴールに迫っていく。
ショートパスだけでなく、ダヴィド ルイスの正確なフィードも脅威となった。正確な技術と強度の高いプレーを繰り出すチェルシーが、川崎Fを凌駕した前半の45分間だった。
両チームともにメンバーを大幅に入れ替えた後半に入っても、チェルシーのペースは変わらない。48分にはメイソン マウントが惜しいシュートを放ち、59分にはスルーパスに反応したケネディがあわやという場面を迎える。オリヴィエ ジルーの強烈なFKも、新井 章太の好セーブがなければ、ゴールに吸い込まれていただろう。
もっとも、押し込まれる展開が続いた川崎Fだったが、決して一方的にやられていたわけではない。相手の強烈なプレスをいなす田中 碧のプレーや、球際の攻防で引けを取らなかった守田 英正、強烈な前線に互角に渡り合ったジェジエウら、局面、局面の争いで個々が奮闘。60分過ぎあたりからはペースを握り返す時間帯もあった。
そして終盤にドラマが待っていた。主役となったのは途中出場の中村 憲剛だ。酸いも甘いもかみ分ける経験豊富なベテランは、83分にピッチに立つと、一気に流れを変えてみせた。
出場直後に絶妙な浮き球パスで、右サイドの馬渡 和彰をスペースに走らせると、馬渡のクロスに合わせたのはレアンドロ ダミアン。このシュートは惜しくもバーに阻まれたものの、何かが起こりそうな予感を十分に漂わせるものだった。
そしてクライマックスは87分。左サイドでこぼれ球を拾った中村が、ふわりとしたクロスを逆サイドに待ち受けていたレアンドロ ダミアンに供給。ブラジルからやって来た長身ストライカーは、このチャンスを今度は逃さず、打点の高いヘッドをチェルシーゴールにたたきつけたのだ。
押し込まれながらも、盛り返し、最後のチャンスをものにする。あまりにもできすぎたシナリオに、日産スタジアムの雰囲気は最高潮に達した。
新シーズンの始動間もないながら、チェルシーの選手たちは、クオリティの高さを見せつけた。とりわけ基本技術の高さと、プレーの迫力は、日本ではなかなかお目にかかれないものだった。そんな相手に対し、川崎Fは互角以上に渡り合ったのだ。
Jリーグ王者のプライドを見せつけた、川崎Fの快勝劇だった。
■試合データ
川崎Fvsチェルシー