サッカーの醍醐味が、ゴールシーンにあることに異論はないだろう。スコアがなかなか動かないスポーツであるからこそ、その特別な瞬間に興奮が最高潮に達するのだ。
その華やかなシーンを多く目撃するのに適した季節は、夏である。なぜなら暑い季節ではプレー強度や運動力、あるいは集中力が低下し、とりわけ守る側が大きな負担を強いられるからだ。
これは、あくまで仮説である。
しかし、この説を実証すべく、月ごとに生まれる得点の数を調査した。下の表は延長が廃止され、引き分け制が導入された2003年から2018年までのJ1リーグにおける1試合当たりの平均得点を、月ごとに表したもの。すると、面白いことに、暑い季節に得点が増える傾向があることが分かった。
先述した運動量の低下といった要素が得点数の増加に関与しているかどうかは、このデータからは読み解けないものの、夏場にぐっと得点数が増えていることは数字がはっきりと表している。
もちろんこのデータは、暑さだけが影響を与えているものではないと考えられる。たとえば、2~3月の得点数が少ないのは、シーズンが始まったばかりであり、連係面の構築がまだ発展途上であることや、対戦相手の情報が少ないなかで、慎重な戦いを演じているチームが多いとも考えられる。
逆にシーズン終盤は、優勝や、残留争いが現実的となるなかで、同様にリスクを排除する戦いを展開するチームも増えてくるはずだ。
つまり、「暑さ」というキーワード以外にも、チーム状況や、戦術・戦略といった要素が得点数の増減に多分な影響を与えていることが考えられるのだ。
とはいえ、ひとつだけ事実があるとすれば、夏は多くのゴールが生まれということだ。多くの歓喜を目撃するには、まさに今が最適な季節なのである。
データ提供:データスタジアム