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2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録

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2019年5月28日(火) 15:30

2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録

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2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録
2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録

2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録

2019年5月24日

〔司会より〕
決算期が変更になったクラブがあり、これまで3クラブが速報時には報告外でしたが、今年は4クラブが対象となります。柏、磐田、YS横浜の他、湘南の決算期が3月末締めとなったため、今回の速報には含まれておりませんのでご承知おきください。

〔青影クラブ経営本部長より説明〕
皆さんこんにちは。
お手元に例年通り「2018年度クラブ経営情報開示資料(先行発表)」と各クラブの決算状況をまとめた資料がありますのでご確認ください。2018年度クラブ経営情報開示資料(先行発表)の資料を元に説明を進めて参ります。基本的な説明の内容は、これまでと同様となり、特に新しい分析は入っておりませんので、ご留意いただきながら聞いていただければと思います。

下記URLの資料とともに、ご確認ください。

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Jクラブ個別経営情報開示資料(平成30年度)
※3月決算の4クラブ(柏、湘南、磐田、YS横浜)を除く50クラブ
https://www.jleague.jp/docs/aboutj/club-h30kaiji_1.pdf

2018年度クラブ経営情報開示資料(先行発表/2019.5.24現在)
https://www.jleague.jp/docs/aboutj/club-h30kaiji_2.pdf
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《1−1.はじめに》PPT2ページ
本日ご案内するのは、J1・J2・J3の全54クラブの内、3月決算の柏、湘南、磐田、YS横浜の4クラブを除く50クラブに関して、本日、先行して経営情報を開示します。7月には全54クラブを再度、開示させていただきます。2019 シーズンよりJ3入会の八戸については、JFL在籍時の経営情報を参考として開示しています。
2段階発表を実施する背景は、これまで同様です。基本的には12月、1月決算のクラブの決算情報について、4月末までにクラブの皆様に情報を提供いただきまして、最速で皆様に発表できるタイミングで本日発表させていただいております。
3月決算クラブは6月末までにJリーグにご提出いただき、その後7月に発表という流れになっていますのでご承知おきください。

《1−2.主なトピックス》※PPT3ページ
ここに上がっているデータは3月決算の柏、湘南、磐田、YS横浜の4クラブを除いた数字のトピックになりますので、事前にご了承ください。

1)J1・J2・J3合計の事業規模は、Jリーグ史上初めて1,100億円を突破いたしました。
成長率は約112.9%となります。

2)前年と比較し、営業収益が約 131億円増加( 2011年度以降、 8年連続増加)
同時に営業費用も約118億円増加し、 引き続き拡大均衡で推移しております。

3)様々なクラブが営業収益を増加させている中でも、 ヴィッセル神戸はJリーグ史上最高営業収益96.6億円を計上し、100億円まであと一歩というところまできています。
参考までにこれまでの最高額は、2017年浦和レッズ の79.7億円となりますので、その水準を神戸が大きく上回り、最高記録を樹立したということになります。

4) 36クラブが前年より営業収益を伸ばしており、その内、15クラブが高い成長率(平均以上) を計上しました。
神戸以外にも多くのクラブが営業収益を伸ばしています。こちらについては、営業収益・成長率分布(P6)横軸が成長率を表しています。(赤:J1、緑:J2、黒:J3)
100%より右側が前年度より上回っている、縦軸の上に行けば行くほど営業収益が高いこととなります。
100%より右側に来ているクラブが多いことがわかるかと。神戸はかなり右上に突出し、営業収益・成長率ともに突出していることになりますが、ほかのクラブも営業努力によって成長していることをご理解いただけるのではないかと思います。
全体平均の112.9%は、全体の売り上げを前年比較したものですが、それよりも高い成長率を示したクラブも数多くあります。

5) 増加した営業収益の投下先はどこかというところを確認したところ、チーム人件費に最も投下され、その他に販売費および一般管理費も相対的に高い投下比率となりました。

6) J1・J2・J3全てのクラブでの3期連続赤字、債務超過ゼロが2015年度から続いていましたが、今回残念ながらFC琉球が3期連続赤字となりました。ただし、今回の3期連続赤字については、一昨年に改定した財務基準には抵触しません。ただし、財務基準に抵触しなければよいのではなく、恒常的な赤字体質とならず健全な財務状況が維持できるように引き続き経営していただきたいと考えています。

この先の資料が、今申し上げたトピックを簡単に取りまとめて、前年比較がわかりやすくご理解いただけるようになっています。

《1-3.営業収益合計》※PPT4ページ
営業収益合計、1,100億円を突破しましたが、前年、その前の2016年よりも大きく伸びています。

《1-4.営業費用合計》※PPT5ページ
こちらも右肩上がりで拡大均衡となっています。

《1-5.営業収益・成長率分布》※PPT6ページ
先ほどご説明した通りです。

《1-6.営業費用増加額の投資割合》※PPT7ページ
チーム人件費が73億円で61%、販売費および一般管理費が25億円(21%)となっており、フロント部門にも投資されていることがわかります。

《1-7.3期連続赤字・債務超過クラブ》※PPT8ページ
2013年度から表にしたものです。13年、2014年と進むにつれて、財務基準上の猶予期間が終わってきていますので、赤字クラブ数も減り、一番少なかったのは2015年度の6クラブ(柏、湘南、磐田、YS横浜を除いたクラブ)でしたが、2016年度以降は赤字が増えていて、2017年は17クラブとなります。これについては色々な見方をしなくてはなりませんが、連続赤字が発生しているのは、新潟、山口(2期連続)だけとなります。
琉球3期連続となり、琉球は例外ですが、単年赤字クラブ数に対して連続赤字となっているクラブ数が少ないことから、全体では恒常的な赤字体質となっている状況ではないことがわかると思います。
赤字のクラブは数字的にはここ2、3年で少しずつ増えてきていますが、数字的には問題があるものではないと考えています。
個別のクラブの経営状況を、ライセンスを通じて確認させていただいておりますが、積極的な投資による赤字が多かったということがありますので、例えば 無理なチーム人件費の投下によって、無理な営業目標を立てて最終的に達成できなかったという状況では健全とは言い切れませんが、必ずしもそういうクラブばかりではなく、あらかじめ予算編成時から赤字を想定していたクラブも少なからずあります。
数字的には17クラブは多いなと思いますが、この数字を持ってすぐに何かの基準をテコ入れしなくてはいけないというものではないと認識しています。
以上が本日お伝えしたい内容となります。この後は細かい数字をご準備していますが、ポイントだけご説明させていただきます。

《2−1.決算数値の概要:J1・J2・J3クラブ合計》※PPT10ページ
J1合計は2018、2017年の比較を記載していますが、年度の下にその年に在籍したクラブ数を記載しています。17年度が16クラブ、18年度が15クラブとなっています。これは、3月決算に移行した湘南が17年度はJ2に所属しておりましたので、湘南が18年度に昇格したことによって、クラブ数に違いが生まれています。
J2合計の17年度を見ていただくと 湘南がJ2にいましたので、湘南を除く21クラブを表しています。18年度は、湘南はJ1にいました。昨年J2在籍クラブの中で3月決算クラブがなかったため、22全クラブの決算情報を記載しています。
今日の段階では、3月決算クラブを除いたクラブ数で表現していますので、クラブ数の違いがあるので前年比をもとに単純に比較しづらいのですが、このような表をいったん提示させていただきます。
今日の時点ではJ1・J2・J3の合計値をみていただければクラブ数も合いますし、前年比においては比較的理解しやすいのではないかと思います。
前年比の営業収益、営業費用はそれぞれ増加しています。中でもスポンサー収入がプラス74億円ということで、売り上げの中でも一番大きく伸ばしています。
営業費用については、チーム人件費が70億円、当期純利益は、今回は10億円となっており、昨年より若干減少していますが、利益は全体でキープできていることがわかります。

《2−2.決算数値の概要:J1・J2・J3クラブ平均》※PPT11ページ
平均値は全体のクラブ数の影響が少なくなりますので、前年比という意味では分かりやすいと思います。J1平均は、営業収益を前年比プラス8億4,400万円と大幅に数字を伸ばしています。
J2は前年比そのものが大きくありませんが、15億円に達したことは大きな節目かと思います。
J3は大きな増加はなく着地しています。

《2−3.決算数値の概要:成長率比率》※PPT12ページ
主要な売り上げと配分金の成長率が記載されておりますが、18年度はスポンサー収入が115.9%で比率の上でも伸ばしています。
入場料収入は残念ながら若干マイナスとなっています。ここに記載していない内訳として、「その他収入」も伸びていますが、営業収益全体の増加をけん引したのがスポンサー収入だったということがわかります。
17年度からの比較で言いますと、昨年は配分金の増加が大きくありましたので、Jリーグ配分金の成長率が199%となっていますが、それに比べると、営業収入の成長率について今回大きく貢献したのはスポンサー収入の増加となります。

13ページ以降は細かな費目ごとのクラブ間の比較となります。

《2−4.営業収益(売上高)の推移》 ※PPT13ページ
例えば13ページJ1の表を見ていただきますと、18年度に在籍したクラブの数字が記載されてます。17年度は17年度にJ1に在籍したクラブではなく、18年度在籍クラブをもとに作っておりますので、本来はJ1というくくりに入るものではないですが、クラブごとに3年間横並びでみるつくりになっています。
17年度の合計値は、当時J1に所属していたクラブではないことをご理解の上ご覧ください。
営業収益全体は50クラブの内36クラブが増収となり、中でもJ1の増加の割合が非常に高くなっています。

《2−5.スポンサー収入の推移》 ※PPT14ページ
スポンサー収入の推移に特化してクラブ間を比較。全体で40クラブが増収となり、75億円の増加となっています。

《2-6.入場料収入の推移》 ※PPT15ページ
入場料収入は残念ながら減収となっておりまして、50クラブの内増収が23クラブ、減収が26クラブとなっています。全体合計でも約2億円の減少となっています。
中身を見ますと、J1の中で浦和がマイナス4億1,400万円となっており、他のクラブよりも大きくマイナスが出ています。
これは、2017年度については、浦和はACL出場(優勝)によってチケット収入が好調でした。一方で2018年度はACLに出場していないためその分減収となっています。
そのほか個別の理由がクラブごとにあり、最終的には全体的に若干の減収となっています。入場者数そのものも、J1リーグ戦は若干伸びていましたが、その他も含めると入場者数全体では若干微減ということもあり、入場料収入についても前年割れしたことになります。また、湘南や他の3月決算クラブも含めた7月で再度ご説明させていただきます。

《2-7.チーム人件費の推移》 ※PPT16ページ
50クラブの内38クラブが増加し、増加したクラブが多いという結果になりました。

《3−1.3期連続赤字・債務超過クラブ(J1・J2)》※PPT17ページ
先ほどFC琉球が3期連続赤字とご説明させていただきましたが、ライセンス施行の当初のルールでは、FC琉球はクラブライセンスが不交付という考え方がありますが、現行のルールに照らすと不交付にはなりません。
ルールの変更は、「3期以上連続で赤字が発生したとしても、連続赤字の最終年度における期末純資産残高が当該年度の赤字額の絶対値を上回っている場合は不交付としないこととする。」としています。
別紙のクラブ決算一覧を見ていただきますと、FC琉球の24行目が「2018年度の赤字額」になり、4,800万円になりますが、この数字が純資産に対してどうなのかということが今回基準に抵触するかしないかの判断になりますが、まず、2018年度の当期純利益の赤字は、琉球にとって3期目の赤字となります。このため、4,800万円の次に純資産が5,000万円とありますが、純資産5,000万円に対し、当期純利益の赤字が5,300万円となると、当期純利益赤字が純資産より上回ってしまいますが、今回は下回っているため、財務基準に抵触しないことになります。
クラブの予算の設定においては、前年対比が重要な要素になりますが、仮に昨年19年同じような営業成績、同じような営業費用の使い方をした場合、当然FC琉球は4,800万円の赤字が発生する場合があります。が、その場合であっても、期中に債務超過にならない水準、ポイントは何かと申しますと、クラブライセンスの財務基準に定められているクラブの健全な経営状態を維持して成長することです。
同じ赤字が仮に今シーズン発生した場合、債務超過にならない水準ということで、前期末純資産が前期末当期純損失(赤字)を絶対値で上回っていればライセンスは交付するという基準を設定しました。仮に2019年も赤字が4,800万円出ると、純資産が200万円まで減ってしまうことになりますが、期中に債務超過にならない(試合の運営等に影響等は及ぼさない)ということで、このような基準とさせていただきました。
もちろん理論上の話であり前提が損なわれればうまくいかなくなることは承知の上ですが、基本的にはルール上はそうした設定で考えさせていただきました。
これによって新改定案のメリットとしては
①内部留保を活用した大規模投資がしやすくなる
②純資産に余裕がある状況下では、予測出来ない費用を意識した緊縮予算を組む必要が無くなる
③少額赤字を気にせず、収支均衡を目指しやすくなる
こうしたメリットを期待してルールを改定させていただいた次第です。
琉球はそうしたメリットを享受できる体制になっていただきたいと思っておりまが、全体の営業収益の金額と比べると赤字額が大きく、油断できない状況ですので、引き続き経営努力を求めたいと考えています。

《3-2.財務基準 3期連続赤字禁止ルールの改定》 ※PPT18ページ
ルール改定についてのおさらいとなります。

《4-1.J1・J2ライセンスとJ3ライセンス違い》 ※PPT19ページ
J1・J2は第三者機関であるFIBで判定させていただいており、
J3はJリーグ理事会で判定させていただいております。

《4-2.「赤字」と「債務超過」の違い》 ※PPT20ページ
赤字と債務超過の違いを記載させていただいております。

〔質疑応答〕
Q:神戸について。チーム人件費が非常に多く、昨年からかなり増えていますが、イニエスタ選手の加入の影響でしょうか。

A:青影クラブ経営本部長
前提として個別のクラブの細かい情報までは私共からご案内できず、ご質問の主旨にお答えできているか定かではございませんが、イニエスタ選手の影響はあると考えています。

Q:神戸の話ですが、史上最高の営業収益96億円とあります。営業収益というのはスポンサーから選手を獲得する際にお金をたくさんいただいて、そのいただいたお金が収益として計上されているという認識でいいでしょうか?

A:青影本部長
スポンサー収入が選手とひも付きかどうかは関係なく、売り上げとして計上すべきものが、営業収益に含まれております。

Q:神戸は三木谷会長が(お金を)出している印象もあります。

A:青影本部長
個別の内容にはお答えできませんが、三木谷氏個人と断定できるものではなく、楽天グループも含めた複数のスポンサーからの増収があって今回の数字になっています。

Q:琉球の実行委員が交代しましたが、三期連続赤字によるものでしょうか?

A:木村専務理事
私どもの認識では、そのようには考えておりません。Jリーグとしては、そのような説明は受けておりません。サッカークラブの場合、一般的には赤字が悪いというのではなく、勝てないことで叱咤されるケースもあります。社長交代の理由は、Jリーグ側には示されておりません。

Q:神戸の営業収入が増えて、クラブ経営が良くなっているというイメージが残ります。史上最高額96億円を計上し、クラブが活性化されているように感じます。最高額更新として特徴的に神戸を取り上げているのは、神戸の経営を高く評価しているということでしょうか?

A:青影本部長
個別にクラブを評価する意図に基づいて今回の資料は作成しておりません。すべてファクトに基づいて、皆さんにしっかりとお伝えできるように、特徴のある内容のみまとめております。その観点に立ったときに、神戸が最高額を更新したことを伝えないことの方が、逆に変な憶測を呼んでしまうとも考えられます。従って、「この項目を入れるか、入れないか」の判断においては、経営がうまくいっているかどうかという視点は考慮に入れておりません。

Q:前年度の比較は?

A:青影本部長
資料の13ページに記載しております。17年度は52億3700万円でしたので、前年比ですとプラス44億2900万円です。

Q:入場料収入が前年比から減っていますが、これは入場者数とは関係ないのでしょうか?

A:青影本部長
当然、関係がないことはありません。減っていることをどうとらえるかですが、J1・J2の入場者数は増えています。その一方で、カップ戦やJ3の平均はダウンしています。一概にマクロ的な視点で評価は難しいと考えています。入場者数とほぼ同じく、入場料収入もマイナス2億2600万円になっていますが、全体から比べると1.3%の減少ですので、それを大きく減少したととらえることはできないと思っております。
湘南、磐田、柏、YS横浜を含めて、全クラブで検証させていただき、概要を改めてご説明させていただきたいと思います。湘南が2017年、2018年の比較において所属リーグが異なりますので、入場者数実績に合わせて年度の比較は難しい状況でした。そのため、7月に再度ご質問いただければと思います。

Q:営業収益の中で、その他の収入は各クラブでばらつきがあります。鹿島はACLの賞金、川崎Fは理念強化配分金などだと思いますし、神戸も増えています。詳細はお話できないと思いますが、「その他」というのは賞金以外に一般的にどういうものが含まれるのでしょうか?

A:青影本部長
その他収入の中には、賞金、移籍金も含まれます。指定管理のような形でスタジアムの経営にかかわっている場合はそういった収入も入りますし、その他さまざまな収入が含まれることになります。

Q:営業収益が全体として伸びているということで、押し上げた原因に神戸があると思います。スポンサー収入をもとに増加しているというのは、Jリーグとしての魅力が認められているというような評価はできるのでしょうか?

A:木村専務理事
そういった形が一つの理想の姿だと思っております。
親会社の経営とクラブの経営がつながっているケースとして、そういったクラブがたくさん出てくれば、もっともっとJリーグは賑わうと思います。長期のスポンサー契約が相まって、お客様に対して魅力的なサッカーを展開できたり、見たい選手が日本に来たりといった正の循環が繰り広げられる形が理想かと思います。

Q:3期連続赤字の改定の時のご説明を記憶の範囲で恐縮ですが、ある程度安定したクラブ経営をするために、緩和させようという主旨のルール改定だと受け止めていましたが、琉球が引っ掛かりつつセイフティーネットに引っ掛かったことで、ルールを改めて見直す必要があるのでしょうか?
また、琉球もJ2に上がって頑張ってきて、それほど危機的ではないけれど、油断はできないという状況かもしれませんが、そういう事例が生まれたことで何か検証する必要があるのでしょうか?

A:木村専務理事
例えば三期連続赤字でライセンス不交付となると、皆様がクラブの経営者であれば、二期連続赤字も避けたくなると思います。クラブは多くの場合、前年度の8月ごろから予算を組みます。その時点で翌年の投資戦略を積極的に進めるかどうか。その時には翌年の収益がわからない段階ですから、その中で来年度予算を「思いきれるかどうか」と言う話になります。従って、3年連続赤字で(クラブライセンス判定上)アウトとなるよりは、3年連続赤字であっても、(翌年)債務超過でなければOKとしたルールである方が、「クラブはより積極的な予算が組める」という判断をいたしまして、改定をしたという経緯があります。
明治安田生命様やDAZN、多くのスポンサー、ファン・サポーターやいろいろな方々のサポートがあってクラブ運営をしているわけですが、J1でも個別のクラブの状況をご覧になっていただければわかりますように、単年度赤字であっても、思い切った投資をしているクラブが魅力的な選手を獲得したり、順位を上げたりするケースがあります。こうしたプラス面は評価すべきだと思っています。
ただ、安定した経営ということでは、リスクの完治、琉球のようなクラブはしっかりと対応を続けて、
ファン・サポーターの方々をがっかりさせないような形でできればと思います。

補足 青影本部長
琉球に対しては、クラブライセンスの判定の際に是正通達を出しています。経営上の通達ということでFIBとしてライセンスを審査される先生方から、経営改善について指導文書が出ています。そのことは昨年の9月に皆さんにご案内をさせていただいておりますが、これに基づいて改善そのものは進んでいると認識しています。その効果が数字には表れていないことが残念ですが、引き続き、ライセンスの制度の中で琉球についてはしっかりモニタリングをしていきたいと考えています。

Q:決算数値の概要を拝見して、イメージで恐縮ですが、J2・J3は赤の数字がたくさんあり、J1よりも経営していくのが大変というイメージを持っています。それは間違った認識でしょうか?

A:木村専務理事
一般的に誤解されていると思っていますが、サッカーの興行を生業としていますので、経営の安定がいちばん大事です。
黒字を何十年も続けて結果的に魅力的ではないチームを作ることにつながってしまう可能性もありますし、また、ギリギリの予算でチャレンジして、最後は雨の日の試合の数や読めない部分などもあって残念ながら最終的な赤字にはなってしまう可能性もあります。つまり、単年度の赤字、黒字だけで経営を判断するのは少々乱暴かなと思っています。
ファン・サポーターは勝ってほしい、魅力的なサッカーをしてほしいと思っていますので、金額の予想を立てて、それにできるだけ近づけた選手強化予算を立て、決算を着地させていくというスタンスの方が良いかなと思います。
少し極端な言い方ですが、黒字を出そうとすれば、選手強化予算を削れば比較的高まりますので、そのあたりが難しいところではあります。どちらかというと収入をしっかり伸ばしていくことが大切です。もちろんJ1に比べてJ2・J3は収入を得にくくなるのが現実ですが、その中でしっかり収入を伸ばしていく努力が必要だと思います。

Q:各クラブ決算期が異なりますが、統一する必要はないのでしょうか。収益のバランスですが、スポンサー、入場料、その他について、リーグとしては、どのくらいの割合が理想と考えているのでしょうか?

A:青影本部長
決算期に関しては、リーグから指定はしていません。一方で、極端な話ですが、6月決算、9月決算、10月決算となるとライセンスの判定運用上、難しくなるので、そういった希望が出た場合はご相談させていただいています。ですが、基本的にはクラブの経営しやすい形を尊重し、決算を決めていただいています。統一しているほうが同じタイミングで数字を比較できるため、見え方は良くなりますが、それよりも今は各クラブの考えを優先させていただいているのが現状です。
収益のバランスは非常に難しい質問だと思っています。ファン・サポーターを増やしたいので、それはすなわち今以上にチケット収入比率を増やしていきたいと考えていますが、スタジアムのキャパシティには限界があります。満員の試合以上となると客単価を伸ばしていくためには、どうしたらいいかということをさまざまなクラブが考えているところです。ある一定の比率まで来ると、それぞれのクラブで必要だと思いますが、その他収入が増えたり、物販、飲食など、成長ステージにおいて、この比率は変化していきます。一概にこの比率を目指した方が良いというのは言いにくいと考えています。クラブによっては実情が異なりますので。

A:木村専務理事
クラブによって違いがあると思いますが、5大リーグと比べて圧倒的に少ないのがその他収入のところです。日本の弱点として、日本の選手が海外に行く時にはほぼ0円で移籍をしていることが挙げられます。海外移籍先のクラブをAとして、次に移籍したクラブをBとした場合、AからBに移籍する時に多額の移籍金が発生します。もともと所属したJリーグのクラブには移籍金が入ってこない現状があって、海外のクラブは、小国であればあるほど移籍金収入が軸になってくる傾向が見て取れます。
その他収入の比率として、どのようなことができるのかはクラブと話していきたいですし、試合数は決まっていますので、入場料収入はどうしてもキャップがかかるものの、収容率が常に80%になる状態を目指していって、入場収入を増やすことによってスポンサー収入も増えていく循環を回していくのが理想だと考えています。

Q:スポンサー収入は、以前は広告料収入という名称でしたが、いつ頃に変更して、その理由を教えてください。

A:青影本部長
名称は今年から変わっています。以前のことに詳しくはありませんが、時代の変遷とともに広告宣伝だけの対価でスポンサードしていただくという形から少しずつ変化しています。英語でもスポンサーという形でこの費目は表現しておりますので、その記載に合わせています。
また、科目の取り扱い方、昨年までその他収入に入っていたものが移動しているなどはありません。中身は変わらないです。

Q:決算に関して、内部留保、溜まっていくお金の投資先などはここではまだ言及できないということでしょうか。
積極的に投資していくのか、人件費に充てているのか、もうかっている一方で積極的な経営体制にまで至っていないということでしょうか。

A:木村専務理事
鋭いご指摘で、クラブによっていろいろな考え方があると思います。クラブ経営が傾いてきたときのための安定資本、超大物選手獲得の場合は3年償却となりますので、仮に移籍金が30億円の場合は、会計上は1年目で10億円、2年目で10億円、3年目で10億円という思い切った投資をするために内部留保を積んでおく、自前でスタジアムを作るために積んでおくなど、色々な形があると思います。やはり地域の方々や色々なステークホルダーの方々と会話を進めながら各クラブでご判断されることだと思います。

 

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