明治安田生命J1リーグは、第10節までを消化。序盤戦の戦いを終え、各チームの今季のスタイルが浮き彫りとなってきている。
下の表は、2018シーズンと2019シーズンの第10節終了時点での各チームのスタッツを比較したもの(※大分と松本の2018シーズンはJ2での数値)。「勝点」「ショートカウンター」「ロングカウンター」「ポゼッション」の4項目を図表化し、昨季との変化を可視化した。
横軸が2018年、縦軸が2019年の数値となっており、グラフの斜めの線から離れれば離れるほど、昨季との数値に大きな変化が生じていることになる(左上に行けば増加し、右下に行けば減少)。
まず「勝点」では名古屋と横浜FMが、昨季からの大幅アップを実現。昨季はともに残留争いに巻き込まれたが、今季はスタートダッシュに成功し、ここまで上位争いを演じている。一方で広島は8ポイントのマイナスに。開幕9戦負けなしと圧倒的な強さを示した昨季と比べれば見劣りするものの、それでも、ここまで7位とまずまずの結果を残しており、さほどネガティブな印象はないだろう。
「ショートカウンター」の項目で大きな変化を示したのも名古屋だった。昨季は114回だったのに対し、今季は187回と大幅に増えている。「ショートカウンター」を効果的に繰り出していることが、今季の好調の要因と言えるかもしれない。
一方でC大阪と鳥栖はその回数を大きく減らしている。ともにスペイン出身の新監督を招聘し、新たなスタイルを構築していることが窺える。もっとも鳥栖は10節終了後に監督を交代させており、今後はこの数値が再び変化することも考えられるだろう。
「ロングカウンター」のスタッツを見ると、FC東京、清水、鹿島などが微増となっている一方で、C大阪を筆頭に、横浜FM、札幌などその回数を減らしているチームのほうが目立つ。これは「ポゼッション」の項目と対比させて見ると面白い。
ポゼッションの回数が減っているのは、浦和、名古屋、仙台、FC東京、松本のわずか5チームで、残りの13チームはいずれもその回数を増やしている。なかでもC大阪と神戸は100回以上も増加させている。いずれもスペイン人監督が求めるスタイルを体現した結果と言えるが、リーグ全体としても今季はカウンター攻撃が減り、ポゼッションを強化する傾向が見て取れる。
データ提供:データスタジアム