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新人選手がプロサッカー選手として生きる術を学ぶ3日間。2019Jリーグ新人研修レポート1日目

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2019年1月30日(水) 16:20

新人選手がプロサッカー選手として生きる術を学ぶ3日間。2019Jリーグ新人研修レポート1日目

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新人選手がプロサッカー選手として生きる術を学ぶ3日間。2019Jリーグ新人研修レポート1日目
プロの心得を学ぶ「Jリーグ新人研修」が、1月29日にスタート。今回参加したのは、昨年に参加できなかった2年目の選手も含めた179名

今シーズン、新たにJリーグの門を叩いた新人選手たちが一堂に会し、プロの心得を学ぶ「Jリーグ新人研修」が、1月29日にスタートした。

今回参加したのは、昨年に参加できなかった2年目の選手も含めた179名。スーツ姿の大学生、学ラン姿の初々しい高校生、それぞれが真剣なまなざしで、この研修会に臨んだ。

最初の講義は、Jリーグ村井満チェアマンによるもの。「サッカー選手は個人事業主であり、経営者である」と話す村井チェアマンは、自分で自分を経営し、自分という商品の価値をどのように高めていくのか。その重要性を説いていった。

サッカー選手には無限の可能性が開かれている一方で、不安定な職業でもある。村井チェアマンは過去のデータを紐解きながら、シビアなプロの現実を選手たちに伝えていく。

例えば2005年にプロ入りした120人が、10年間でどれだけの試合に出場したのか。0~50試合の選手は49人で、300試合以上出場した選手はわずかに1人。1試合もピッチに立てなかった選手は21人という結果だった。他の年もおおむね同じような割合であり、今回参加した新人選手たちにとっても、決して他人事ではないデータである。

「成功している選手は一握りですし、難しい世界だなと改めて感じました」
そう語るのは、流通経済大柏高から鹿島アントラーズに加入した関川 郁万。今年の全国高校選手権を沸かせた世代屈指のCBも、リアルな数字を目の当たりにし、危機感を募らせていた。

村井チェアマンは「不安定」から「無限の可能性」を取りに行くことこそが、「経営」であると訴える。そして、どんな経営をしている人がプロの世界で生き残っていったのか。そのポイントとして「傾聴力」と「主張力」のふたつのキーワードを挙げた。

「傾聴力」とは相手を受け入れることであり、「主張力」とは相手に自分の意見・強みを理解させること。意見を受け入れ、強みを理解させる。そのサイクルを生み出すことが重要であり、一流選手の多くが持っている共通項だという。

「特に傾聴力は大学の4年間で学べたことでもあったので、本当にその通りだなと思いました」と感想を語ったのは、早稲田大から名古屋グランパスに入った相馬 勇紀。同じく早稲田大から大分トリニータに加入した小島 亨介も、「自分で自分を経営するためには、自分のことを理解していないとできないと思う。まずは自分を知り、その先に相手や味方を知ることが重要になってくると思いました」と村井チェアマンの話を、しっかりと心に受け止めていた。

続いて原 博実Jリーグ副理事長から「Jリーグのフットボール重点施策」についての話があり、今年から変更される「外国籍選手枠の増加」や「ホームグロウン制度の導入」についてなどの説明があった。

その後に行われたグループワークでは、「Jクラブのビジネス」について学んでいった。クラブの収支について考え、クラブの収入を増やしていくためのアイデアを出し合っていく。「SNSでの情報拡散」や「ビラ配り」、あるいは「地域との触れ合い」などの意見が出され、ただサッカーをすればいいのではなく、ピッチ外でも様々な活動を行うことが、クラブの発展、ひいては自身の価値を高めることにつながっていくことを理解していった。

「自分のためというよりも、クラブのために行動することが重要だなと思いました。クラブのためにやることで自分に返ってくるという仕組みだったので、そういったことを理解できたことは良かったです」(小島)
プロサッカー選手になることは、社会人としてお金を稼ぐことでもある。学生時代とは目的が大きく異なるなか、ピッチ内だけでなく、ピッチ外の行動も重要であるという意識が植え付けられていった。

夕食を挟み、夜になっても研修は続く。この日、最後の講義は「OBからのメッセージ」。登壇したのは土屋 征夫選手。東京ヴェルディヴィッセル神戸ヴァンフォーレ甲府などでプレーした名CBで、現在は関東リーグの東京23フットボールクラブで現役を続けている。

高校卒業後にサッカー選手を目指してブラジルに渡った土屋さんが新人選手に強く訴えたのは「コミュニケーション力」だった。
「いろんな人とコミュニケーションを取ることで、他の人の考えが頭に入ってくる。ブラジルではポルトガル語を覚えて、積極的にコミュニケーションを取っていました」
コミュニケーションを取ることで、仲間や監督に認められ、チャンスをつかみ取っていく。ブラジルでのプレーが認められ、1997年にヴェルディ川崎(現東京Ⅴ)入りを実現した土屋さんは、その後、2017年までJリーグでプレー。42歳だった2017年にはルヴァンカップでの最年長ゴールも記録している。

移籍を数多く経験しながらそれぞれのクラブで主力として活躍できたことも、40歳を超えるまで長くトップレベルでプレーできたことも、土屋さんは「コミュニケーション力」があったからだと、振り返る。

「コミュニケーションが大事だと言っても、なかなか響かないと思うけど、人はひとりでは生きていけないし、サッカーはひとりのスポーツではない。今回のアジアカップの日本代表を見ていても思うけど、やっぱりコミュニケーションがないと、上手くはいかない。そこは絶対に大事だと思う」
土屋さんの成功体験を、新人選手たちはどのように聞いたのか。その受け止め方は人それぞれだろうが、貴重な講義となったことは間違いないだろう。

 

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