川崎Fの連覇で幕を閉じた今季の明治安田生命J1リーグ。2位の広島に勝点12差をつけるなど、王者の強さが際立つシーズンとなった。
得点数、失点数ともにリーグ最高の数値を残した川崎Fは、各種スタッツにおいても軒並み好数値を示している。
まず攻撃面に目を向けると、「得点数」のほか、「シュート数」「敵陣PA内プレー数」でトップに。また「ボール支配率」でも横浜FMに次いで2位となっている。持ち前の攻撃スタイルを展開し、相手を圧倒するサッカーで頂点に立っている。
「シュート数」では札幌が川崎Fに次いで2位に。3位にはJ2降格が決まった柏が入った。逆に得点数で4位の名古屋は、シュート数では17位に。得点王に輝いたジョーの決定力を生かし、効率よくゴールを奪ったことが窺える。
「ボール支配率」でトップに立ったのは、アンジェ ポステコグルー監督のもとで革新的なサッカーを展開した横浜FMだった。ハイプレス・ハイラインの攻撃スタイルを標ぼうし、シーズンを通して60%近いポゼッションを保った。3位には“バルサ化”を目指す神戸が入り、4位はミハイロ ペトロヴィッチ監督の下でポゼッションスタイルを求めた札幌となった。
札幌は「敵陣PA内プレー数」でも2位にランクイン。「ボール支配率」で17位だった広島がこれに続いている。パトリックの高さを生かし、シンプルに相手ゴールに迫る。とりわけ前半戦はそのスタイルがはまり、躍進の原動力となった。
「クロス数」でも横浜FMがトップに。「前方ロングパス数」はカウンター型の鳥栖が1位となっている。面白いのは川崎Fだ。「クロス数」は17位で、「前方ロングパス数」は18位に。ショートパスを軸に、サイドではなく中央から守備網をこじ開ける。そんな川崎Fの攻撃傾向は、データにもしっかりと表れていた。名古屋も同様のデータを示しているのは、川崎Fの前監督であり、現在は名古屋を指揮する風間 八宏監督の哲学の表れでもあるだろう。
一方で守備面でも川崎Fのデータが際立った。「失点数」をはじめ、「無失点試合数」「被シュート数」「敵陣でのボール奪取数」でトップに立った。高い位置でボールを奪い、シュート自体を打たせない守備力の高さは、攻撃力以上に今季の川崎Fのストロングポイントとなっていた。
鹿島も守備の項目では好データを記録した。川崎Fと並んで「無失点試合数」はトップ。「被シュート数」は川崎Fに次いで少なく、「タックル数」では1位となった。下位に沈んだ鳥栖も守備力はリーグ屈指。後半戦に限れば最も失点の数が少なく、この堅守こそが残留の最大の要因となった。
特徴的なのは横浜FMだ。「敵陣でのボール奪取数」は川崎Fに次いで2番目に多く、「オフサイド奪取数」も最も多かった。ハイプレスを仕掛け、高いラインを保つ。しかしリスクの大きなこのスタイルは、リーグワースト3位の失点数を招く結果に。ハイプレスを仕掛ける一方でオフサイドの数が少なかった川崎Fが最少失点を記録しているのと比較すると、やはりリスクと、リスクマネジメントのバランスの重要性が浮かび上がってくるだろう。
データ提供:データスタジアム