明治安田生命J1リーグは第29節まで消化し、残りは5試合となった(未消化分を残す札幌、C大阪、湘南、磐田は6試合。名古屋は7試合)。優勝、ACL出場、残留とそれぞれの争いは佳境を迎えており、決着の時は近づいている。
例年にも増して混戦の今季は、予測困難な状況となっているが、とりわけシーズン終盤はプレッシャーが圧しかかることで、本来の力を発揮できないチーム、あるいは持てる以上の力を示すチームがあったりと、勝敗が読めない試合が増えてくる。上位チームが下位チームに足をすくわれる試合も少なくないだろう。
そうしたシーズン終盤に力を発揮するチームはどこなのか。下の表はJ1における直近3シーズンの残り5試合の平均獲得勝点をまとめてランキング化したもの(過去にJ1に在籍経験がない長崎は参考値としてJ2のデータを記載)。1位は9.7ポイントを獲得した川崎Fとなった。残り5試合を4勝1分で駆け抜け、逆転優勝を成し遂げた昨季の結果が大きく反映された数値となったものの、川崎Fがシーズン終盤に最も結果を残せるチームであることが、データ上では読み取れる。その川崎Fをはじめ、2位の浦和、4位の広島、5位の鹿島と近年のJリーグで優勝、もしくは優勝争いに絡んだチームが上位に来ているのは、ある意味で当然の結果だろう。
J1 残り5試合での獲得勝点ランキング(J1での過去3シーズンの平均)
意外なのは3位の名古屋だ。名古屋は昨季をJ2で戦ったため、J1での直近3年にあたる2014年から2016年までを集計した数値となっている。その3年間で名古屋は年間10位(2014年)、9位(2015年)、16位(2016年)と優勝争いに絡んではいないものの、残り5試合で8.3ポイントと高数値をたたき出している。平均値5.7ポイントの29試合目までと比較すると、じつに146.5%増で、名古屋は終盤になると力を発揮する“土壇場力”を備えたチームであることが分かる。
29試合目までと、残り5試合の数値を比較し、増減率100%超を実現したのは、この名古屋をはじめ、鳥栖、札幌、湘南、神戸、C大阪、広島、清水の8チーム。比較的、直近3シーズンの順位で中位から下位に留まったチームが多く、それまでの躓きを、終盤になって巻き返すケースが多いと思われる。一方、ワーストは79.9%の鹿島で、獲得勝点では5位ながら、それまでの勢いを保てずに、終盤に失速する傾向が窺える。
シーズンによって監督、メンバーだけでなく、チームの置かれた状況も異なるため、この数値が今季にも当てはまるとは限らないが、例年数々のドラマが生み出されるシーズン終盤の戦いを見るうえで、このデータを参考程度に眺めていただければ幸いだ。
データ提供:データスタジアム