明治安田生命J1リーグも残り9試合となり、優勝争いがいよいよ佳境を迎えている。第25節を終えて首位に立つのは勝点55を稼ぐ広島だ。その首位チームを、消化試合がひとつ少ない川崎Fが9ポイント差で追いかける構図で、その後を勝点42のFC東京、同41の札幌(消化試合数は24)、同39のC大阪が続く。
実質的に優勝争いは、上位2チームに絞られた感があるが、残り9試合で何が起きるか分からない。ここでは上位5チームを様々な切り口から分析し、優勝争いの行方を見ていく。
広島は多くの項目で高い数値をはじき出している。総得点は2位で、総失点は1位。無失点試合数も14を数える。特徴的なのは、敵陣での空中戦勝利数で、2位のC大阪を大きく引き離す圧倒的な数値を示している。これにはパトリックというハイタワーの存在が大きいだろう。またティーラシンも空中戦で強さを発揮する。そのティーラシンは途中出場選手の得点の数にも寄与しており、流れを変える存在として重要な役割を担っている。
広島が唯一、悪い数値を示したのが敵陣でのボール奪取数。ハイプレスを仕掛けて高い位置で奪うよりも、後方で凌ぐ状況となっている。もっとも、これはスタイルの違いであり、自陣でボールを奪うことができていれば、大きな問題とはならないだろう。
総じて弱点が見当たらない広島に対し、2位の川崎Fもデータは悪くない。特にシュート数、パス数、スルーパス数といった攻撃面のデータが際立っており、改めて攻撃型のチームであることを証明している。一方で被シュート数も1位と守備の項目でも高い数値を示しており、攻守のバランス感覚の良さも浮かび上がっている。
3位のFC東京はずば抜けて良い項目も、際立って悪い項目も存在しない。しいて言えば、先制した試合の勝利数と無失点試合の数が多く、先行逃げ切り型のパターンを確立していると言えるだろう。
札幌で特筆すべきは逆転勝利の多さだ。先制されても勝利に持ち込めるのは、終盤戦においてもストロングポイントとなるはずだ。面白いのはC大阪で、セットプレーからの得点がトップなのに対し、クロスからの得点はひとつもなく、逆説的なデータが示されている。
それぞれの特徴が打ち出されるなか、この5チームが今後も、リーグ戦を盛り上げる存在となることは間違いないだろう。
データ提供:データスタジアム