すでに後半戦がスタートしている明治安田生命J2リーグだが、前回に引き続きデータを紐解きながら前半戦の戦いを振り返っていく。今回は個人データにスポットを当てた(データはすべて第21節終了時点のもの)。
まず攻撃のスタッツを見ていくと、『ゴール数ランキング』では山口のオナイウ 阿道が13ゴールを挙げてトップに立つ。今季加入した新たなエースが山口の躍進を導いている。12ゴールで2位につける大前 元紀はかつてドイツでもプレーした実力を遺憾なく発揮。岐阜の古橋 亨梧はプロ2年目にしてブレイクを果たし、一躍注目選手となっている。
『アシスト数ランキング』では、甲府の小塚 和季が10アシストでトップに立つ。新加入の司令塔が甲府の攻撃を牽引している。9アシストで2位の田中 達也(熊本)は右サイドを主戦とするサイドアタッカー。チームは下位に低迷するものの、高精度クロスで多くの得点機を生み出し、獅子奮迅の活躍を見せている。
『シュート数ランキング』でトップに立つのは横浜FCのイバ。枠内率も決して低くないものの得点の数は6に留まり、決定率は高くない。他チームのマークが厳しくなるなか、昨季の得点王は本領を発揮できていない。
『ドリブル数ランキング』と『クロス数ランキング』は山口の小野瀬 康介と、『アシスト数ランキング』でも2位だった熊本の田中が、1位と2位を分け合う結果となった。ともに鋭いドリブルと高精度クロスを備え、チームに推進力をもたらす両者のプレーは、後半戦も見逃せないポイントとなるだろう。
小野瀬は『スルーパス数ランキング』でも3位にランクイン。ドリブル、クロスだけでなく、敵陣を切り裂くスルーパスでもチャンスを創出できる。まさに万能型のアタッカーであることがデータからも読み取れる。1位は横浜FCのレアンドロ ドミンゲス。かつてJ1のMVPに輝いた実力に陰りは見えず、急所を突くパスセンスはいまだに健在だ。
『パス数ランキング』では岐阜勢がトップ3を独占。トップ10のうち5人が岐阜の選手で占められており、ポゼッションスタイルを標榜するこのチームの特徴がデータからもはっきりと浮かび上がっている。
『敵陣での空中戦数ランキング』では、強靭なフィジカルを備えた外国籍選手を抑えて、松本の高崎 寛之がトップに立った。空中戦の機会が多いのはチームのスタイルにも左右されるものだが、特筆すべきはその勝率。60%近い数値を叩き出しており、その高さは松本の大きな武器となっている。
『自陣での空中戦数ランキング』に目を向けると、山口の渡辺 広大が最多を記録するも、2位の栗山 直樹(山形)が勝率では圧倒的な数値を示している。70%に満たない選手が多いなか、78.8%とずば抜けた勝率を記録。身長180センチと決して大柄ではないものの、頼れるエアバトラーとして山形のゴール前に君臨している。
栗山は『シュートブロック数ランキング』でも2位を記録。その栗山を上回ったのは水戸の細川 淳矢だった。長く水戸の最終ラインを任されるベテランが、身体を張ったプレーでチームの守備を引き締めている。
『タックル数ランキング』では、1位の熊谷 アンドリュー(千葉)と、2位の三幸 秀稔(山口)が100回超えを記録。ともにセントラルMFを務めており、最終ラインの手前で相手の攻撃を食い止める役割を担っている。
『セーブ率ランキング』でトップに立ったのは、岡山の一森 純だ。76.9%の数値を示し、リーグ最少失点を記録する岡山の堅守を最後方から支えている。2位のビクトルはセーブの数では一森を大きく上回る。攻撃型のチームだけに攻められる機会も多い中、ゴールマウスに君臨するこのスペイン人GKの存在は今の岐阜にとって欠かせないものとなっている。
データ協力:データスタジアム