今年でこの大会も3回目を迎えましたが、1回目より2回目、2回目よりも3回目と、大会のクオリティは着実に高まってきていると感じています。
昨年は海外勢の強さが際立ちましたが、今年は日本の4チームの健闘が光りました。いずれもチームとしてのまとまりがあり、海外チームとの対戦のなかで、日本らしさを生かしながら、それぞれのクラブの特徴を出していたと思います。
優勝したガンバ大阪ユースは、すでに何人かの選手がU-23チームでの出場経験を持っていました。そうした上のステージでの経験がこの大会でも生かされていたと思います。またG大阪だけでなく、すべてのチームにU-17ワールドカップに出場した選手がいました。そういった経験を持つ選手たちがいることで、チームの中にも自信があったと思いますし、海外チーム相手にも臆することなく立ち向かうことができたひとつの要因になったと思います。
G大阪に関して言えば、Jユースカップで京都U-18に負けていたこともモチベーションとなっていたはずです。同カードとなった決勝では強い気持ちを感じられましたし、一人ひとりに高いスキルも備わっており、その中で効率よく点を重ねていった。彼らの持ち味が存分に発揮された決勝だったのではないでしょうか。
今回の4チームに感じたのは、2年生が主体となる新チームであっても、アカデミーとしての積み上げが上手くいっているということ。新チームでもゼロからスタートするのではなく、これまでに積み上げてきたものが、しっかりと浸透されており、すでにチームとしての明確なスタイルが備わっていました。そうした継続性が今大会の成果につながったのだと思います。
一方、海外の4チームはいずれも実力はあったと思うんですが、残念ながら、大会直前、あるいは大会中の怪我で、ベストな状態で戦えなかったことが、結果を出せなかった原因のひとつになったのでしょう。
結果的に、上位と下位が、日本勢と海外勢に分かれてしまいましたが、そういう結果だけに目を向けるのではなく、スタイルの異なるチームと対戦するなかで、やれたこと、やれなかったこと、あるいは違いといったものを感じることができたと思います。勝ったチームも、負けてしまったチームも、それぞれがいろんな課題を持てた大会になったのではないでしょうか。
海外のチームで一番印象的だったのは、ヴォイヴォディナです。最も力があったと感じましたし、スタッフ陣と接する中で、育成に対する情熱も窺えました。このクラブは教育的な部分も含めて、地域で子どもたちを上につなげていくという育成システムを持っています。決して予算規模は大きくないクラブですが、現在、イタリアのラツィオでプレーするミリンコビッチ・サビッチといった選手を、コンスタントに輩出しています。そういった育成実績を持つクラブから、日本のクラブが学べることはたくさんあると思います。
そのクラブに、今回、JJP(JFA/Jリーグ協働育成プログラム)の事業で、日本の指導者を派遣し、1年間研修させていただきました。そういう経験を積めた指導者を一人でも多く増やしていくことが、日本サッカー界のこれからの財産になるのかなと思っています。
また今大会には、Kリーグのレフェリーにも参加していただきました。大会を通してストレスのないレフェリングでしたし、日本のレフェリーが学ぶこともあったと思います。選手、指導者だけでなく、審判についても交流を図ることで、レベルアップにつながります。逆にKリーグの主催する大会に日本のレフェリーを参加させるプランもすでに考えており、様々な分野で世界の国々との交流を盛んにできればと思っています。