今季の明治安田生命Ｊ１リーグも、ついに最終節を迎える。注目はなんといっても、鹿島と川崎Ｆの優勝争い。最終節までもつれ込んだ混戦のリーグを制するのは、果たしてどちらのチームか。
現在、勝点71で首位に立つ鹿島は、前節、優勝のかかった柏戦でスコアレスドローに終わり、連覇を決定づけられなかった。今節はアウェイで磐田と対戦。かつて黄金カードと称されたライバルとの一戦は、運命を決する大一番となった。前節は引き分けたとはいえ、守備の安定は保たれている。やや元気のない攻撃陣の奮起が優勝のカギを握るだろう。また大岩 剛監督とすれば、かつて所属した古巣との一戦に。しかも高校の同級生である名波 浩監督との直接対決となる。様々な因縁が備わった運命の一戦は、果たしていかなる決着を見るのか。
鹿島を2ポイント差で追う川崎Ｆは、逆転優勝のためには勝利が絶対条件。鹿島が磐田に敗れればもちろん、引き分けても得失点差で上回り、悲願の初優勝が決定する。20節以降負け知らずと快進撃を続ける川崎Ｆは、前節もアジア王者の浦和に1-0と競り勝った。力強い戦いを続けるなかで、懸念はコンディション面。浦和戦から中2日のスケジュールが、川崎Ｆのパフォーマンスにいかなる影響をもたらすのか。対戦相手の大宮はすでに降格が決定しているが、チームを率いるのが前鹿島の指揮官である石井 正忠監督なのは、運命のいたずらと言うほかない。古巣の優勝の援護射撃を実現できるか。指揮官の手腕に注目が集まる。
優勝争いとともに残留争いも最終節までもつれ込んだ。すでに新潟と大宮の降格が決定しており、残りのひと枠は16位の甲府と15位の清水の争いとなった。
甲府はホームに仙台を迎える。前節は大宮と引き分け、4試合ぶりに勝点を手にした。しかし、清水との勝点差は2で、残留のためには勝利が絶対条件となっている。得点力不足という課題を抱えるなか、ホームで勝利を掴み、吉報を待ちたい。
清水はアウェイで神戸と対戦。仮に甲府が勝利した場合、負ければもちろん、引き分けでも得失点差でかわされ、降格が決定する。自力で残留を決めるためにも、こちらも勝利が必要な状況だ。前節は2点のリードを守り切れずに、新潟に逆転負け。これで8試合勝利なしと苦しい状況に陥っている。もっとも前節は6試合ぶりに得点を記録。攻撃面に改善の兆しが見えたのは好材料で、そのポジティブな要素を最終節に持ち込みたいところだ。
最終節のもうひとつの見どころは、得点王争い。現在、22得点でトップに立つ杉本 健勇（Ｃ大阪）が逃げ切るのか。それとも20得点の興梠 慎三（浦和）と小林 悠（川崎Ｆ）が逆転するのか。日本人によるハイレベルな得点王レースの行方にも大いに注目したい。
優勝争いに絡む小林 悠に対し、Ｃ大阪は今季の3位が決定しており、プレッシャーのかからないなかでの戦いとなる。最終節はアウェイで新潟と対戦。すでに降格が決まった相手だが、ホームでの最終戦で勝利を収めようと、高いモチベーションを備えて臨むだろう。そんな相手に対し、ここ5試合で6得点とゴールを量産する杉本は、果たしていかなるパフォーマンを見せるのか。
浦和はホームで横浜FMと対戦する。ACLとの並行戦でハードスケジュールを強いられたなか、興梠は前節の川崎Ｆ戦でベンチ入りしたものの、ピッチには立たなかった。万全な状態で臨む最終節で、逆転での得点王奪取を狙う。
そのほか、札幌はホームで鳥栖と対戦。ここ5試合で7得点と驚異的なペースで得点を積み重ねるジェイのプレーが今節も見どころとなる。FC東京vsＧ大阪は、今季限りで引退する石川 直宏のＪ１ラストマッチに。今季は出場機会がないが、最終戦のピッチでその雄姿は見られるか。
柏vs広島は、躍進を遂げた前者と、苦しんだ後者の戦いに。もっとも、ともに攻撃力が特長のチームだけに、今季を締めくくるに相応しいアグレッシブな戦いが期待される。
■各試合の見どころをチェック
札幌vs鳥栖
浦和vs横浜FM
柏vs広島
FC東京vsＧ大阪
川崎Ｆvs大宮
甲府vs仙台
新潟vsＣ大阪
磐田vs鹿島
神戸vs清水
