札幌vs広島のマッチレポート・動画(明治安田J1リーグ:2024年4月20日)
一覧へ明治安田J1リーグ 第9節 2024年4月20日(土)14:03KO 大和ハウス プレミストドーム
試合終了
11前半0
0後半1
4SH18
1CK8
10FK12
1
ともに称えるべき内容。だが、結果はドロー
開幕から8戦無敗で2位につける広島を、19位の札幌がホームで迎えた一戦。札幌は5連敗と不調だったが、ここに来て17日のJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦・沼津戦を含めて公式戦3戦無敗と復調してきており、興味深いカードとなっていた。
序盤はアウェイの広島が優勢だった印象だ。中盤で丁寧にパスをつないで相手陣に入り込み、札幌はボールを奪ってもアバウトに前方に蹴る場面が多いため、再度広島がつないで札幌陣内へと攻め入っていく。2分に加藤 陸次樹がオープニングシュートを放つと、直後にもカウンターから惜しい場面を作った。札幌は浅野 雄也の飛び出しを生かしながら右サイドを中心に仕掛けていくが、後方からの押し上げが足りず、攻撃に厚みをつけられない。フィジカルコンタクトの部分でも、広島の強度が上回っていたように見受けられた。
しかし、先制点を奪ったのはホームチーム。10分、カウンターから浅野が攻め込み、サポートに入ったスパチョークが相手に当たってコースが変わったパスを拾うと、右足を一閃。シュートが広島の選手に当たってゴールに吸い込まれ、札幌がスコアボードを動かした。
その後は、先制点を奪われたことで広島がより勢いを持ってゴールに迫る。相手の背後を一発で狙ったり、細かなパス交換などで札幌を押し込んでいく。広島が攻め、それを札幌がはね返すという攻防が続いていった。広島の決定的と思われる好機は幾度もあった中で、札幌のGK菅野 孝憲が何度も見せるビッグセーブにスタンドが大きく沸く。
後半に入っても同様の展開が続いていく。広島が攻め、札幌が大きくクリアするという流れ。札幌としてももちろん、マイボールをパスでつないでいくに越したことはないだろうが、広島の圧力もあって、なかなかそれができない。札幌はまずは守備を考える戦いに注力していた格好だ。
その中で50分に中野 就斗が混戦から左足で冷静にシュートを沈めて広島が同点とすると、アウェイチームはよりテンポを上げて攻め入り、追加点を目指していく。札幌は大きく蹴り返してはなんとか活路を見いだそうとするが、なかなかうまくいかない。ときおり、スパチョークのドリブルなどから攻める場面はあるが、“二の矢”、“三の矢”はあまり繰り出せず。広島ペースで試合は続く。
全体的には広島が決め手を欠いていたとも言えるが、他方で札幌がよく頑張って守っていたとも評せる。攻撃的なスタイルを目指す札幌に厚い攻めをさせなかった広島の地力は見事だったし、その相手に対して懸命に渡り合っていた札幌も称えるべきだろう。いずれにせよ、熱のある試合になっていた。
そして、最終盤に入って広島は攻め疲れが出てきたのか運動量が落ち、札幌が小林 祐希を中心に攻め込めるようになると、試合の行方は分からなくなる。宮澤 裕樹の攻め上がりも効果的だった。
しかし、ネットが揺れることはなく、1-1のままタイムアップ。激しい攻防となった一戦は、勝点1を分け合う結果に終わった。
[ 文:斉藤 宏則 ]