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2013Jリーグ チェアマン総括(13.12.26)

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2013シーズンのJリーグは、リーグ戦開幕20周年という節目を迎えました。

2月23日に国立競技場で行われたFUJI XEROX SUPER CUP 2013におけるサンフレッチェ広島の優勝で始まり、リーグ戦はJ1が同じくサンフレッチェ広島、J2は昨年クラブ史上初のJ2降格となったガンバ大阪が優勝し、締めくくりました。

2013年のJリーグの総入場者数は9,165,092人となり、対前年比で約41万人の増となりました。年度ごとにクラブ数や試合数が異なりますので一概に同列の比較はできませんが、この数字は2009年の9,571,079人以来の歴代2位の数字です。特にJ1は、18クラブ中11クラブで1試合平均入場者数が昨年を上回りました。J2はガンバ大阪のアウェイ試合において10試合でチケットが完売、トータルではチケット完売試合は対前年比プラス9試合で、合計40試合となりました。各地で多くのお客さまにスタジアムまでお越しいただきましたが、地元クラブをはじめとする関係者の方々の日々の取り組みの積み上げが、この数字に表れていると思います。この場をお借りして、あらためて御礼申し上げます。誠に有難うございました。

今年のJリーグは、1993年の開幕以降、過去20年間に積み上げてきたものをあらためて検証しながら、将来の成長のための戦略的な議論を重ねた一年となりました。2015年以降の大会方式を変更するという改革案についての議論はメディアを通じて大きく報じられてきましたが、これはJリーグの価値をさらに高め、より多くの皆さまに関心をもっていただくためのチャレンジであります。

さらに新たな取り組みとして、1999年の1・2部制導入から16年目となる来シーズン、J3がスタートします。Jリーグが掲げる百年構想の具現化にまた大きな一歩を踏み出すこととなり、新たな仲間の誕生に、それぞれの地元を中心に熱い夢を語り合った一年でもありました。

【リーグ戦、リーグカップ戦】
J1リーグ戦は、サンフレッチェ広島が最終節で横浜F・マリノスを逆転し、劇的に2連覇を決める展開で幕を閉じました。今シーズンはディフェンディングチャンピオンとして追われる立場となり、昨シーズンの得点王である佐藤寿人選手も厳しくマークされました。そのような状況でも、チームを率いて2年目の森保一監督のもと、J1最少失点の堅守を基盤に粘り強く戦い、タイトルを守ったことは称賛に値します。森崎和幸、森崎浩司、高萩洋次郎といった選手に続いて、若い野津田岳人選手なども活躍し、アカデミー担当者の大きな自信にもなったことでしょう。反則ポイントも2年連続最少で昨年に続きフェアプレー賞 高円宮杯を受賞し、結果とフェアプレーの両立を実現した戦いぶりは理想的ともいえます。

横浜F・マリノスは最終節で優勝を逃したものの、今シーズンのMVPに輝いた中村俊輔選手が先頭に立って攻守に奮闘しました。Jリーグアウォーズの優秀選手賞32人のうち、実に10人が同クラブから選出されるなど、チーム一丸となって優勝を目指したプレーが多くの人たちの感動を呼びました。第33節のアルビレックス新潟戦でリーグ戦の最多記録を更新する62,632人の入場者を集めたことを含め、同クラブにおけるリーグ戦の平均入場者数で対前年比プラス4,550人を記録したことは、大都市をホームタウンとするクラブの潜在的な力を物語っています。

一方、若い選手の台頭でリーグ戦を盛り上げたのが、今シーズンは関西で唯一のJ1クラブだったセレッソ大阪です。柿谷曜一朗、山口螢ら、アカデミー出身選手の才能が開花し、技術力の高い攻撃的なサッカーというスタイルを確立しつつあります。

Jリーグで3度の優勝歴を誇るジュビロ磐田の苦戦を、誰が予想できたでしょうか。前シーズンのガンバ大阪に続き、高いレベルを維持することの難しさを示した半面、Jリーグが20年の間に成熟し、それぞれのチーム力がきっ抗している証左といえます。

J2リーグ戦ではガンバ大阪、ヴィッセル神戸が前評判通りの力を発揮し、1年でのJ1復帰を実現。J1昇格プレーオフを制した徳島ヴォルティスは、四国初のJ1クラブとなります。J2・JFL入れ替え戦に勝ったカマタマーレ讃岐の昇格もあり、四国サッカーのさらなる活性化を期待します。

11月2日の国立競技場に46,675人もの方々にお集まりいただいた2013Jリーグヤマザキナビスコカップでは、柏レイソルが14年ぶり2度目の優勝を飾りました。今年のヤマザキナビスコカップの予選リーグからの平均入場者数は9,394人で、対前年比プラス447人となりました。柏レイソルは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)でも日本勢として4年ぶりの準決勝進出を果たすなど、タフな日程の中で底力を発揮しました。

来シーズンは、ピッチ上のプレーのクオリティー改善に向けて、中2日の日程を可能な限り解消する方針を決定しました。さらに、開幕から20年がたち、Jリーグがプロとして根幹の精神としたJリーグ規約第42条のいわゆるベストメンバー規定も、各クラブの成熟とともに浸透したことを大前提に、改定することも決定しました。プレーのクオリティー向上、特にACL出場クラブのアジアタイトル獲得という目に見える成果につながるよう大いに期待しています。

【成長戦略】
20周年という節目を迎え、経済状況やサッカーマーケットのグローバル化といった環境の変化に対応すべく、将来のJリーグの成長戦略について、シーズン移行や大会方式の見直しを中心に議論を重ねました。
その結果、2015シーズンから、J1リーグ戦の大会方式を、2ステージ制リーグ戦および、スーパーステージとチャンピオンシップに変更することを決定しました。この大きな決断に関しては、クラブ関係者はもとより、選手会、ステークホルダー、有識者など多くの方々と意見を交わし、Jリーグの置かれた環境と将来像について、さまざまなご意見を頂戴しながらご理解を賜り、このタイミングでの改革が必要であるとの結論に達しました。Jリーグのメディア露出の機会を増大し、その価値を多くの方々に評価していただくために、引き続き対話と周知を重ねていきたいと考えています。

【J3クラブの誕生】
J3は、来シーズンから12チームでスタートします。11クラブが新たにJリーグに入会することになり、特別参加枠としてJFA/Jリーグ U−22 選抜チームも加わります。今シーズンJFLで戦ったカマタマーレ讃岐は、J2・JFL入れ替え戦に勝利し、JFLから一気にJ2への入会を果たしました。J3ライセンス取得を前提とする入会審査にあたっては、人事体制・組織運営基準、法務基準、財務基準といった経営体制の整備、またアカデミーやスタジアム整備などを含めた競技および施設基準を充足するための諸活動が必要となります。これに加え、地元行政等との関係づくりなど、入会への道のりは決して簡単なものではなかったはずです。しかし、全てのクラブが、「我がホームタウンにJクラブを」との熱い思いで努力を重ねていただき、さまざまな基準をクリアして入会を果たされました。スタートラインに立った各クラブには、ぜひこれから同じ仲間として、「Jリーグ百年構想」の実現、新たなスポーツ文化の醸成に力を尽くしていただき、Jリーグが社会になくてはならない存在であり続けるために共に努力していけるよう期待しています。

【強化・アカデミー】
7月に開催されたEAFF東アジアカップ2013 決勝大会では、Jクラブ所属選手だけで構成された日本代表チームが素晴らしいプレーで優勝しました。多くのJクラブ所属選手のクオリティーの高さが国際舞台であらためて証明された瞬間でした。本大会に出場した選手たちはその後、それぞれが国内でも活躍し、終盤のJリーグを盛り上げました。
10月に開催されたFIFA U-17ワールドカップUAE2013でも、Jクラブのアカデミーに所属するユース選手たちが多く活躍し、見事ベスト16まで進出しました。
Jユースカップでは、12月23日、ヴィッセル神戸U-18が1999年以来14年ぶり2度目の優勝を勝ち取りました。決勝がPK戦となったのは、2004年以来9年ぶりでしたが、サンフレッチェ広島F.Cユースと110分を互角に戦った末の、劇的なフィナーレでした。「ゴールに向かう気迫」、「最後まで諦めないという強い意志」を強く感じたと同時に、両チームのクオリティーの高さを証明する、決勝にふさわしい素晴らしい試合を見せてくれました。
来シーズンから始まるJ3への参加が決定したU−22選抜チームは、育成年代の強化を目的にしたものです。Jリーグは長年、若手選手の試合機会の創出が大きな課題となってきましたが、こういった取り組みを含めて、今後も日本サッカー協会と連携し、Jリーグにおける選手強化の役割を果たしていきたいと考えています。

【アジア戦略】
昨年2月のタイ・プレミアリーグとの提携を皮切りに、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポールのリーグとの提携が実現しました。今後もASEAN各国との関係強化を進めてまいります。今年は、ベトナムの英雄と呼ばれるレ コン ビン選手がコンサドーレ札幌に加入し、アジア進出を考える企業とともに、Jリーグの試合中継にベトナム語の看板が掲出されたり、ベトナムでJリーグに関する報道やリーグ戦の放送が多くなされるなど、大きな反響がありました。アジアサッカーの発展は、ひいてはJリーグの発展、そして日本サッカーが国際舞台で活躍する原動力になるものです。来シーズンからは、新たにJリーグの外国籍選手登録枠に提携国枠を設けることも決定しました。ASEAN各国との関係強化を推進し、各国に対しJリーグ20年のさまざまなノウハウを提供することでアジア全体のサッカーの強化・発展に貢献していけるようさらなる努力を続けていきます。

【復興支援】
2011年3月の東日本大震災から2年9カ月がたちました。私たちJリーグは、「決して忘れない」という強い決意のもと、Jリーグ、各Jクラブがそれぞれに復興支援活動を継続してきました。6月には、国立競技場で復興支援スペシャルマッチを開催し、収益や募金で、被災地沿岸部に簡易照明を寄贈するなどいたしました。
被災地の復興に向けて、特に子どもたちが元気に体を動かしスポーツを楽しめる環境を整えていけるよう、復興支援活動を継続してまいります。


来年2014年はFIFAワールドカップがブラジルで開催され、また2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催も決定いたしました。FIFAワールドカップでの日本代表の活躍を心から祈念いたします。2020年のオリンピック開催に向けては、世界中から日本に関心が高まります。日本のスポーツ文化、サッカー文化を支えるJリーグとして、現状にとどまることなくチャレンジを続け、Jリーグのさらなる価値向上にまい進してまいります。

公益社団法人日本プロサッカーリーグ 
チェアマン 大東 和美

以上
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