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2012Jリーグ チェアマン総括(12.12.26)

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 2012シーズンのJリーグは、リーグ戦、Jリーグヤマザキナビスコカップとも20回目の開催を迎えるという節目の年となりました。そして、J1・J2のクラブ数が40に達し、「Jリーグクラブライセンス制度」、「J1昇格プレーオフ」や「J2・JFL間での入れ替え制度」など新しい取り組みの初年度となる、大きな変革の1年でもありました。「共生から競争」へ、われわれはJリーグ全体の価値向上と、ゲームのクオリティーアップを目指すことに全力を傾けてきました。
 組織的には、公益認定を受けたことにより、本年4月1日付けで、公益社団法人 日本プロサッカーリーグとして日本サッカーの進化・発展に向け、新たな一歩を踏み出しました。

【リーグ戦、リーグカップ戦】
 J1リーグ戦では、サンフレッチェ広島が悲願ともいえる初優勝を成し遂げ、Jリーグ20年の歴史に新たな1ページを加えました。今シーズンから指揮を執った森保 一監督、キャプテンの佐藤 寿人選手のもと、卓越した組織力は目を見張るものがありました。森崎 和幸・浩司選手、高萩 洋次郎選手など、数多くのアカデミー出身選手が活躍するなど、育成型クラブを進化・発展させ、ついに栄冠を勝ち取りました。合わせて、反則ポイントが最も少なく、フェアプレーを貫きながらの優勝も、非常に誇らしく、見事なものでした。
 広島と終盤まで激しく優勝を争った、ベガルタ仙台の戦いぶりも称賛に値しました。昨シーズンの4位から2位へ躍進し、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権も初めて手にしました。東日本大震災の被災地を勇気づける存在となりました。初めてJ1で戦ったサガン鳥栖も、最終節までACL出場権獲得に望みをつなぐなど、5位に入る健闘を見せました。
 広島、仙台、鳥栖などは、いずれもしっかりとしたプレースタイルを確立し、堅固な組織的守備の上に、日本人ストライカーが得点を量産して好成績を収めました。一方で、鹿島アントラーズ、ガンバ大阪といった実績のある強豪の苦戦も目立ちました。こうしたクラブによってこれまでになく伯仲した戦いが展開されたことは、Jリーグ20年の成熟度を示しているものであると考えています。
 J2リーグ戦では、ヴァンフォーレ甲府が最終節まで24試合連続無敗という、今後も破られそうにないと思える素晴らしい記録をつくり、優勝を飾りました。同じく昇格を果たした湘南ベルマーレ、大分トリニータとともに、来シーズンのJ1での活躍が期待されます。また、今シーズンから導入されたJ1昇格プレーオフ、J2・JFL間での入れ替え制度によって、最終節まで予断を許さぬ戦いが続き、リーグ戦が活性化しました。
 2012Jリーグヤマザキナビスコカップでは、鹿島が2連覇を果たしました。自らの持つ記録を更新し、大会史上最多となる5回目の優勝は、20回目の記念すべき大会にふさわしい歴史的偉業といえるでしょう。

【Jリーグアカデミーの成果】
 今夏に開催されたロンドンオリンピックにおいて、男子日本代表は44年ぶりにベスト4入りする快挙を成し遂げました。チームの全員がJクラブ所属またはJクラブ出身の選手であり、その多くがJクラブのアカデミー出身でした。オリンピックに出場するレベルから世界のトップクラスへ、20年にわたり、リーグとして選手の育成に力点を置き、指導者の養成ならびに育成メソッドの確立の結果がこの成績につながったものであると確信しています。今後もとどまることなく、世界のトッププレーヤーを育成するためのアカデミー施策を推し進めていきます。

【Jリーグクラブライセンス制度】
 2012シーズンの大きな変革の一つとして、「Jリーグクラブライセンス制度」のスタートが挙げられます。33クラブにJ1クラブライセンス、8クラブにJ2クラブライセンスが交付されました。ライセンス取得にあたっては、施設、財務などに乗り越えなければならないハードルがありますが、これは決してクラブをふるいにかける制度ではなく、ライセンスの審査項目には、クラブ運営のあるべき方向が示されています。審査基準で未充足の項目については、各クラブが前向きに取り組む姿勢を示しており、より良いクラブ運営に向けて努力を続けて欲しいと思います。それが世界に伍して戦うことを目指す日本サッカーの成熟、さらなる普及に向けて必要なシステムであると確信しています。

【+Qualityプロジェクト】
 ピッチ上におけるクオリティーを向上させることを主眼とした「+Qualityプロジェクト」を立ち上げました。ファンやサポーターの目線で、もっと質の高い試合、つまり「+Quality」を追求することで、試合の魅力アップにつなげたいという思いが込められています。「+Quality」の精神は、ファン・サポーターのためであり、Jリーグを支援いただく全ての方々の未来のためであり、世界と対等に戦うためには必須事項であると考えており、来シーズン以降もさらなる向上を促していきたいと思います。

【アジアに向けたネットワークの構築】
 2012年のJリーグは、アジアのサッカーにおける中心的存在となるべく、アジアの国々とのネットワーク強化にも取り組みました。タイ、ベトナム、ミャンマーのプロリーグとの提携をはじめ、提携国へのJクラブ派遣協力、アジアにおけるJ1リーグ戦のテレビ中継拡大、Jリーグアジアアンバサダーによる現地での活動など、アジアにおけるJリーグのブランドアップに一定の成果を挙げることができました。アジアのレベルを上げることが、日本サッカーの向上につながると信じ、Jリーグが20年間に培ったノウハウを惜しむことなく提供していきます。
 こうしたアジアにおける取り組みと関連して、ACLでのJクラブの活躍も重要となります。日本から出場する4クラブには、ぜひ07年の浦和レッズ、08年のG大阪に続くアジア制覇を実現してもらいたいと思います。

【東日本大震災から1年が経過して】
 東日本大震災から1年半余りが経過しましたが、被災地においては、まだまだ復興に向けてのハードルは高く、険しいものとなっています。Jリーグは「決して忘れない」という姿勢を堅持し、7月の「東日本大震災復興支援2012 Jリーグスペシャルマッチ」を軸として、チャリティーイベントの開催や募金を原資とした簡易照明の寄贈など継続的な支援活動を実施してきました。今後も、1日でも早い被災地の復興を願い、これまで以上に支援活動に力を入れていきます。

以上
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