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アルゼンチンに勝利し、Bグループ首位で決勝トーナメントへ FIFA U-17ワールドカップメキシコ2011 第3戦(vsアルゼンチン)マッチレポート(11.06.25)

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1勝1分けの勝点4。引き分け以上で決勝トーナメント進出が確定するU-17日本代表に対し、アルゼンチンは1勝1敗の勝点3とあって、アルゼンチンにとってはこの試合を勝つことが2位以内に入るための絶対条件であった。
日本はGKに牲川歩見、CBに新井純平、3トップのセンターに南野拓実、左に高木大輔を今大会初スタメンで起用。メンバーを入れ替えても、質を落とすことなく戦えることは、これまでの2戦を見ても明らかだったが、この試合で日本はそれをさらに実証して見せた。

試合開始の30分前に突然強い雨が降りだした。
「日本はパスサッカーなので、少しスリッピーなくらいが優位になると思った。実際にうまく回すことが出来たので、日本にとってはいいコンディションだったと思います」と高木が語ったように、試合開始から日本の選手達は冷静だった。開始早々の4分、南野が前線で起点となり、右のMF野沢英之へ展開。野沢は回り込むようにタイミングよくオーバーラップをしてきたDF川口尚紀にパスを送ると、川口はファーストタッチで相手DFの前に抜け出し、ペナルティーエリアまで切れ込んでシュート。これはGKに阻まれるが、こぼれ球を高木が詰めて、日本が先制した。

これに対し、アルゼンチンは7番・OCAMPOS、18番・PUGH、9番・VERA PIRISを中心に日本のゴールに迫るが、「植田はヘディングを得意としているのは分かっているので、相手のゴールキックとか、そこはもう植田の得意なところを出してあげて、カバーリングやクリアはしっかりと自分がこなすイメージで対応した」と新井が語ったように、ベンチの岩波拓也に代わってキャプテンマークを巻いた新井と植田直通のCBコンビが、深井一希と抜群のコンビネーションを見せ、相手に自由を与えなかった。

攻めても、高木、秋野央樹が果敢に飛び出して、鋭いカウンターを繰り出した。20分には、カウンターから得た右CKから、秋野のキックを植田が高い打点のヘッドで合せて、貴重な追加点を奪った。
この得点でさらに優位に立つと、アルゼンチンの攻撃に対し、新井と植田を中心にした守備陣が集中力を切らすことなく応対した。中でもGK牲川は相手のミドルシュートやクロスに対して、安定したゴールキーピングを見せるなど、今大会初出場の3人が要所で存在を発揮。まさに全員が高いパフォーマンスを見せ、アルゼンチンを組織力で上回り続けると、74分にはカウンターから後半途中に投入されたFW鈴木武蔵が左サイドを突破し、中央の秋野へグラウンダーのセンタリング。秋野のシュートは一度はGKに阻まれるが、こぼれを再び秋野が蹴り込んで、試合を決定づける3点目を挙げた。

87分に10番・FERREIRAにハーフウェイライン付近からのロングシュートを決められたが、3-1でアルゼンチンを下し、同時刻にモンテレイで行われていたフランスVSジャマイカが1-1で終わったため、勝点7の首位で、グループBを突破し、実に18年ぶりの決勝トーナメント進出を決めた。

■監督・選手コメント

・吉武博文監督
日本にとって良い内容だったとは思えないが、アルゼンチンは絶対に勝たないといけないというプレッシャーとあせりがあって、我々にとってはラッキーな勝利だったと思います。これまで決勝ラウンドに出たことが一度しかない日本ですが、グループを1位で次のラウンドに進めることはすごく喜ばしいことで、選手には1試合でも多く試合をさせて、経験値を上げられたらと思います。今日の試合の成果と言えば、フィールド選手全員がこの3試合でピッチに立てたということです。選手ですから、試合に出ることによって出来たこと、出来なかったことを自分の中で経験値として蓄積し練習で修正するという意味では、すごく成果だったと思います。

―今日は日本のテクニックが素晴らしく出た試合に思えたが?
技術的にはアルゼンチンの方が倍以上だったと思っています。簡単なミスがたくさんあったので、そういう部分をもっともっと減らしていかないと、U19、U21、A代表に上がって行く中で戦っていけないなと感じています。ただ、全員でボールを動かしながら進めて行こうと言う気持ちは見られたと思います。

―震災の後ということでの影響は?
メキシコでも以前に大きな地震があって復興しています。そうしたアクシデントを力に変えて行くことは日本も得意な文化を持っているので、それはすごく影響していると思っています。日本でもっと復興しないといけない人たちに、力と勇気を与えられたらすごくいいということで、それを合言葉にピッチに立っていて、そういう意味では見えない部分で力をもらって、背中を押されたと思っています。選手だけでなく人々の力、そして今日はメキシコのサポーターも含めていい雰囲気で応援してくれたので、それが力になったと思います。

―グループを勝ちぬけた要因は?
選手のコンディションがすごく良くて、一週間前からトルーカに入って、高地順化ではなくトレーニングだったので、体調がすごくいい状態でした。アルゼンチンに関しては(火山噴火の影響で)初戦の前日にメキシコに入って来たということで、アンラッキーな部分があったかなと思います。

・新井純平選手
アルゼンチンは強いと聞いていたし、自分にとっては初めての試合で、前日からやり切る、今までやってきたことを出し切ると決めていたので、気持ちと、今から技術をどうというのは無理なので、そこは気持ちで、負けないと言う事は最初から言っていました。

―主将の岩波に代わっての出場だが、監督は今日のベストメンバーと言っていた。どういうところを評価されての起用だと思うか?
監督もキャプテンをやらせてくれて、チームをまとめるというか、声を出してみんなを引っ張って行く部分では自分的にも買われていると思うし、パスとかはけっこう苦手なんですけど、そういうところも補いつつ、前に出てインターセプトだったり、気持ちで打たせなかったり、そういった面の気持ちは負けていないと思います。それは監督も分かってくれて、出してくれたと思います。

・高木大輔選手
「やってやろう」というのは最初から決めていましたし、FWで出してもらったので、点を取って結果を出したいという思いは最初からありました。(コーチの菊原)志郎さんからも、「ゴール前のこぼれ球を狙っていけ」と言われて、ああいう形で詰めていた結果が、ああいうゴールに結びついたと思います。ただ、後半体力的にきつい場面もあって、守備とかサボってしまった部分もあって、(早川)史哉君に迷惑をかけてしまった。志郎さんにも「90分間持つようにやれ」と言われていて、自分の中で前半はセーブしていた部分もあったのですが、緊張感で体力を思った以上に消耗してしまって、後半に守備に行けなかったのは課題ですね。

―モチベーションの維持はどうしていましたか?
出ても出なくても声を出して、その声で自分自身もモチベーションを挙げられたらいいと思っていたし、今日点を取ったことで、これからもちょっとは出場するチャンスがあるかもという期待もあります。でも、たとえ出ても出なくても腐らずにやっていきたいです。

―サイドバックではなくFWでした。
サイドバックであっても、サイドトップであっても、自分のやることは前に行くことなので、FWという位置を任された以上、点は必要でした。それが取れてよかったです。

・深井一希選手
―ファイナリストという目標を吉武監督は掲げていますが、その目標達成は見えてきましたか?
正直、ここまで来るまでには、フランス、アルゼンチン、ジャマイカという『死のグループ』に入っていたので、「無理なのかな」と思っていましたが、自分たちがこれまでやってきたことは間違いないということが分かったので、ここまで来たらファイナリストを狙いたいです。

―CBとの連携で気を付けている点は?
攻撃では自分は絶対に浮くようになっているので、そこでボールを受けようとしたら、相手は絞ってくるので、そこで自分の前がフリーになることを意識しています。あと、守備では自分が前に行ければ、DFラインが押し上げられて、そこを狙えるのでそこを意識しました。

―岩波選手が結構高い位置まで追いかけたり、上がったりすることが多いですが、その時はどう対処していますか?
岩波は前に強いので、そこはCBが出たときは僕がCBに入ってカバーしています。カウンターの怖さもあるので、意識しながら迷っている部分もあります。アンカーのポジションは自分的にはやりやすいポジションですね。

以上
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