■AFC女子アジアカップ2010 中国 壮行試合第2戦
2010年5月11日 19:00キックオフ 新潟/東北電力ビッグスワンスタジアム
なでしこジャパン 3 ( 1-0,2-0 ) 0 メキシコ女子代表
5月8日の第1戦からスターティングメンバーが5名入れ替わり、さらなるバリエーションを生もうと臨んだなでしこジャパン。開始早々に須藤安紀子が遠目から最初のシュートを放つ。中2日で調子を上げてきたメキシコは12分、カウンターからつなげたエブリン・ロペスがシュートを放つもここはGK福元美穂がキャッチする。試合開始前から降りだした雨が徐々に強まり、ピッチは時間を追うごとに水を含んでいく。15分、上尾野辺めぐみから左サイドの中野真奈美へ絶妙なパスが通る。オフサイドとなってしまったが、惜しい場面だった。その直後にも大野忍が切り返してDFを振り切るとそのままシュート。これはGKに弾かれた。その後は膠着状態が続く中、29分に澤穂希がクリアボールを拾うとすぐさま前線へ展開。大野がDFの背後を取るがスリップしてしまう。その1分後には右サイドへ流れてきたボールに近賀ゆかりがつめるが、これもGKがブロック。しかし確実にゴールへ近付いていく日本。そしてついに32分、澤から大野へスルーパスが通り、大野がそのままゴール左へ突き刺しゴール。前半を1−0で折り返す。
後半からはトップに安本紗和子、右サイドに南山千明が入ってスタートする。54分、澤のシュートがこぼれたところを近賀がつめる。GKも交わすが、ラインを割ってしまった。続く56分にも今度は須藤安紀子からのパスを受けた菅澤優衣香が胸トラップから反転してのシュートを見せる。そして63分、PKによる追加点のチャンスが日本に巡ってきた。キッカーは南山。これをしっかりと決めて2点目。72分にはアメリカでのリーグを終えて試合前日に帰国したばかりの宮間が登場。その4分後、日本がダメ押しの3点目をマークする。宮間が右サイドへボールを流すと南山が豪快にゴール。終了間際にはCKを取られるなど、守備に入る時間もあったものの、3−0で日本が勝利し、2連勝で壮行試合を締めくくった。
◆佐々木則夫監督
前回の試合から4,5名を代えて、主軸になる選手とのコンビネーション、そして検証を含めて臨みました。その点では、やれる選手とまだ時間を要する課題が残った選手もいました。まだ、アジアカップ本大会に臨むまでにはなっていませんが、何とかアクションを起こして戦ったと思います。満足はしていないが、どの選手を出してもやりたいサッカーに近づいてきているとは感じています。残り3日、国内でのキャンプがあります。攻撃から守備、守備から攻撃への切り替えが甘い。この2試合ではその部分を突かれなかったから大事には至りませんでしたが、この部分は修正していかないといけないと思っています。また、これも問題にはなりませんでしたが、単純な横パスをインターセプトされるということはとても危険。この部分も修正していく必要があります。新潟でプレーしている菅澤(優衣香)、上尾野辺(めぐみ)に関しては、長野で使うよりも地元である新潟でプレーさせた方がいいと判断しました。菅澤はターゲットプレーとシュート力を期待しての先発。まだまだモタつくプレーもありますが、改善できるものだと思います。上尾野辺はトレーニングをやっている中でも、動きがキレていました。ボールのタイミングもよかった。ただ、試合では動きはいいが、パスの選択を優先にしてしまってシュートへの意識が足りなくなってしまっていました。しかし、2人とも及第点ではないでしょうか。アジアカップはメンタル面でも厳しい中で戦わなくてはいけません。ここでもう一度気持ちを引き締めて、いい準備をしたいと思います。
◆澤穂希選手
日本らしいリズムが作れなかった。大野の一発でリズムができた。試合前にアシストする約束をしていたので、できてよかったです。若い選手が入ってきて、まだ課題もあるけど、チームとして少しずつ形にはなってきてると思います。試合に出たら遠慮なく言ってほしい。国内にいる選手はベストコンディションで大会に臨みたいです。AFC女子アジアカップで優勝するメンバーは揃っていると思います。
◆南山千明選手
PKは苦手なんで、他の人に任せようと思っていたんですが、澤さんに「蹴りなよ」と言われて・・・。かなり緊張していて、どっちに蹴ろうか本当に直前まで決められなかったんで、とにかく思いっきり蹴ろうと思いました。2点目は自分は外側にいて、いつでもボールをもらう準備はできていました。あや(宮間)が動きを見ててくれて、目があったので、トラップだけ気をつけて、すぐにシュートを打とうと思いました。2得点は実感がわかないですね。他のプレーが何もできなかったので・・・。もっとチームに貢献できるようにアグレッシブにやれればよかったんですけど。残り3日の国内合宿では攻撃ではたくさんボールを受けてシュートを狙うこと、守備では頭を早く切り替えることを修正できるようにがんばりたいです。
◆熊谷紗希選手
基本的に、チリ遠征よりは東アジア選手権、東アジア選手権よりはこの壮行試合と一つずつ段階を踏んで出来る部分もあったと思います。収穫はコミュニケーションが取れるようになったこと。コーチングの声がさせるようになってきました。ただ、チームの目指す方向性に貢献するためにはトレーニングを重ねる必要はあります。メンタルのところで負けないようにすることが重要だと思うので、強い相手に失点をしたとしても、我慢して耐えることも大切。それはU-19の大会でも学んだことなので、しっかりと生かしていきたいです。
◆レオナルド・クエジャール メキシコ代表監督
改めて、壮行試合という舞台に招待をいただいたことに感謝しています。日本のチームが素晴らしい出来で、予選大会へ向けて準備が万端に整っている印象を受けました。また、2試合を戦う中で日々、日本のコンディションが上がっていることも実感しました。メキシコは1戦目に比べれば、多少は動きはよくなっていましたが、FWの中心選手3名が不在だったのが、得点につながらなかったと考えています。もちろん、日本の方も海外でプレーする選手がまだ合流していないということは知っていますが、その状況でも素晴らしいチームで、日本は世界においても上位に位置するチームであると認識しています。特に印象に残ったのは澤選手。彼女は経験豊富ですし、動き、そしてスペースの作り方、ボールさばき、司令塔の役割、すべてにおいて存在感がある。魅力を感じる選手です。日本とは過去にも戦ったことがありますが、その時に比べて個の技術やメカニックな動き、スペース作り、ボール回しなど非常によくなっている。今度のFIFA U-20女子ワールドカップでも日本と対戦しますが、メキシコはもっとレベルを上げていかないといけないと思いました。
以上
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