AFC女子アジアカップ2010 中国 壮行試合第1戦
2010年5月8日 13:00キックオフ 長野/松本平広域公園総合球技場アルウィン
なでしこジャパン 4( 2-0,2-0 )0 メキシコ女子代表
晴れやかな天候となった8日、松本平広域総合球技場アルウィンでメキシコ女子代表を迎えて、なでしこジャパンのAFC女子アジアカップ 2010 中国 壮行試合が行われた。
立ち上がりから日本は優勢にゲームを運んでいく。開始早々に近賀ゆかりがシュートを放つと、日本の攻撃は一気に加速。3分には、澤穂希が近賀へパス、大野忍へつなぎ、中へ折り返したところを再び近賀が受けてそのままゴール。先制点が日本に入る。しかし、メキシコも反撃。12分、タニア・モラレスがDFの背後を突いてシュート。GK山郷のぞみがこぼすも、熊谷紗希がクリアし、ピンチを逃れる。日本はチームが招集されてわずか3日後の実戦ではあるが、得意のパスをつなぎながら攻撃を組み立てていく。そして24分、左サイドの鮫島彩からいいタイミングでボールを受け取った大野は落ち着いてGKの位置を確認。十分に狙える状況ではあったが、走り込んできた高瀬愛実にラストパス。これを高瀬が決めて2点目。その後も日本はメキシコゴールを攻め立てるがスコアは動かず2−0で前半を折り返した。
後半に入ると、佐々木則夫監督は思い切りのいい攻撃を見せていた近賀、鮫島の両サイドハーフをサイドバックへ下げ、代わりに南山千明、中野真奈美をサイドハーフへ送り出す。46分にはその南山が、その2分後には中野が積極的にゴールを狙うプレーを見せる。53分にはCKのチャンス。宇津木瑠美の放ったCKに合わせたのは澤。しかし、これは惜しくもゴールには至らなかった。56分、さらに佐々木監督が動く。豊田奈夕葉、安本紗和子を投入。AFC女子アジアカップを戦う戦力となり得るかを見極めようとする佐々木監督に対し、フレッシュな途中交代選手たちはその期待に応えようと懸命にボールを追いかける。完全にゲームを掌握していた日本ではあるが、引いて守るメキシコに対し、効果的な崩し方を見出せない。それでも66分、近賀の出したボールがDFの頭を越え、オフサイドなしでそのボールを受けた大野がGKの頭上を抜くゴールを決める。73分に、ディノラ・ガルサにシュートを許すも日本は何これをクリア。その3分後、今度は日本がダメ押しのゴールを奪う。南山からのパスがこれもDFの背後に抜け、大野がドリブルで持ち込みながら最後は右足で決めた。攻めあぐねる時間帯が多くあったが、終始メキシコに自由なスペースを与えず、4−0で日本が圧勝した。
続く第2戦は11日、東北電力ビッグスワンスタジアム(新潟)で行われる。
・佐々木則夫 なでしこジャパン監督
メキシコは先日のアメリカ戦ではもっとアグレッシブに、チャージも深い感じだったんですが、フレンドリーマッチということで少し手を抜いてくれたのでしょうか。なでしこはボールを動かしていく中で、相手のいいところが出る前に得点も取れて、イニシアティブは取れたかと思っています。点数とは関係なく、もっとボールを動かして1分でも無駄のないサッカーをしないといけない。ただ、どれくらいやれるのか、コンビネーションのテストにはなりました。まだ答えが出るまでには至っていませんが。次戦ではさらにメキシコらしいサッカーをやってくると思うのでしっかりと準備して、自分たちのサッカーに邁進したいと思います。
今日は前後半で、両サイドの近賀と鮫島をハーフとサイドバックで使って変化をつけたいと思っていました。この二人に関しては計算ができた。南山、菅澤、中野といった若い選手はまだなでしこのテンポにしっくりこない感じではありますが、トレーニングを積んで(レベルを)上げていくことになるでしょう。安本に関しては、出場前に「なでしこのピッチは初だな」と声をかけたんですが、それが仇になったのか、入ってすぐはバタバタしてましたね。私の責任かもしれません(笑)。今日ベンチに入っていない他の4名は次戦に向けてしっかり準備をしていくつもりです。
・大野忍選手
結果は出ましたが、内容は...不満というか、自分たちでも考え直さなきゃいけないと感じました。ハーフタイム時で、自分は得点していませんでしたが、チームとしては点も取れていましたし、問題はなかったです。もちろん、後半チャンスがあれば自分で決めるという気持ちはありましたが、点に絡めていたので...。まわりの人を使うというのは、リーグでも気をつけてやっていることですが、今日の1点目は、その前に高瀬が呼んでいたところを自分でシュートに持っていってしまっていたので、パスを選びました。ボールをもらって一発で前を向いたりというところは課題です。収穫としては、今日に関して言えば、まだチームが集まって期間が短い中ではよかったのではないでしょうか。次の試合ではもっと高めていけるところもあると思うし、 AFC女子アジアカップにつなげていきたいですね。
・岩清水 梓選手
相手のペースに合わせるのではなくて、自分たちのペースでやれないと。もっとボールの動かし方を考えたり、テンポよくまわせたらよかったんですけど。セカンドアクションに行かないとダメですよね。今日は守備をする回数が少なかったので、攻撃面で出た課題はビルドアップ。センターバックを組んでいた熊谷とは、ボールの落とし方、相手の間に立つとか。相手は3枚で追ってきたりしていましたから、その回避策とかは試合中にも話をしていました。次の試合では内容も伴った上で、いい形で終わりたいです。
・澤 穂希選手
正直、結果は勝ってよかったけど、内容は今までにないくらい悔いが残る試合でした。でも、大会に行く前に多くの修正点が出てよかった。とにかく、リズム・テンポが悪かった。2タッチ、3タッチでまわすのではなく、ただ出して終わりという感じで連動性はなかったですね。ビデオなどを見て、修正して直していきたいです。初めて会う選手もいますし、2日間ではどんな選手なのかもわからない。この何日間かで選手の特長を掴んで、連携を深めていかないといけないですね。こういったバラバラに集まってのチーム作りは初めてですが、手さぐり多い中でも、個々の能力を上げていかないと絶対にうまくいかない。自分も立場や状況を考えてやっていきたいと思います。
・レオナルド・クエジャール メキシコ女子代表監督
日本は非常によいコンディションでプレーしていました。我々も力を発揮したと判断しています。25時間の移動で時差に慣れず、睡眠にも問題を訴える選手もいました。こういうことを言ってはいけませんが、影響はあったと思います。前日の会見でも、日本のライバルとして試合をしたいと話ましたが、今日は日本チームに申し訳なかった。次までにもっとコンディションを整えていきたいと思います。
日本はボールに対してローテーションが早いとわかっていたので、選手には前線でボールを止めて日本の攻撃を止めようと話をしました。しかし、日本のリズムの方が勝っていた。点を取られる内に、焦りがあったのか、選手も動けなかったというのが現状です。我々はチームが若く、それぞれのラインで誰がどうリーダーシップを取るのかはっきりしていない。次回は早く囲むということをしながら、アグレッシブな運びに修正して戦いたいと思います。
以上
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