■Jリーグ10代選手の活躍に期待
10代選手の台頭が目覚ましい昨今のサッカー界。11日に行われたプレミアリーグ(イングランド)ではマンチェスター・ユナイテッド対サンダーランド戦で17歳のFWフェデリコ・マケダ選手が決勝ゴールを決め、チームの勝利に貢献しました。マケダ選手は16歳でセリエAのラツィオのユースからマンUに引き抜かれた新星で、15日付のスポーツ紙では、マケダ選手が18歳になるのを待ち、マンUが彼と5年契約を結ぶ可能性が高まったと報じています。どんなふうに成長していくのか、今後が気になりますね。マケダ選手同様、アーセナルで活躍するMFセクス・ファブレガス選手も16歳の時にFCバルセロナの育成組織から引き抜かれた選手です。欧州ではユースの育成・強化が進んでおり、このような若年での海外移籍や代表チームの低年齢化、ひいてはオリンピックのU-21化の議論にもつながっていると思います。
Jリーグでも今年は新人の台頭が目立っています。高校生でプロ契約した浦和レッズの原口元気をはじめ、鹿島アントラーズの大迫勇也、G大阪の宇佐美貴史といった10代の選手が続々と先発出場を果たすなど、話題豊富。チームを応援するサポーターにとっても若手の活躍は非常に楽しみなことですし、ベテランや昨年までのレギュラーの刺激にもなりますから、是非、新人が台風の目となってサッカー界を盛り上げてほしいですね。
こういった状況の中で僕が危惧しているのは、周囲・・・特にメディアが持ち上げるがあまり、勘違いしてしまい、将来を見失ってしまう選手が少なからずいるということ。欧州のように小さいうちからの人間教育が徹底されていれば問題ないのですが・・・。
その一方で、日本の教育は長所や個性を伸ばすやり方ではなく、弱点矯正が主流のため、指導者の手が入ると個性が消えてこじんまりした、特徴のないプレーヤーに育ってしまうケースも多い。日本人はほとんどがまじめでいい子ですから、周囲に合わせちゃうんですよね。育成って本当に難しいと思いますが、指導者やクラブの関係者にはしっかりした人間教育をお願いしたいですね。
確固とした育成システムが確立すれば、いずれは日本でも10代からヨーロッパのトップリーグに引き抜かれることも十分考えられます。言葉や習慣も違う海外ではただサッカーがうまいというだけでは相手にされません。言語はもちろん、コミュニケーション力やディベートの能力も必要になってきますから、プロとして飛躍させようとするには、そういった自分磨きをしっかりやるという意識を植え付けなければいけないと思います。
■U-12世代の選手育成
“全少”の名で親しまれている全日本少年サッカー大会。その都道府県大会が全国各地で開幕しました。今年33回目の開催となるこの大会は歴史と伝統のある大会で、小学生年代のサッカープレーヤーの活躍の場として、子ども達の健全な成長に寄与してきました。
8月に行われる決勝大会には都道府県大会を勝ち抜いた48チームが出場し、優勝を目指してしのぎを削ります。Jリーガーの中にもかつてこの大会で活躍した選手が多くいますから、少年プレーヤーにとっては目標となる大会なんですよね。
大会は4位までを表彰していますが、上位の表彰とは別に、フェアプレー賞、敢闘賞、努力賞、グッドマナー賞といった各賞を設けているんです。ともすると勝利至上主義に走りがちなのですが、こういった賞をもらうことが何より誇るべきことだということを指導者の皆さんも子どもたちもしっかり理解してほしいと思っています。
以前、アルゼンチンのユースチームを優勝に導いたコーチと話したとき、彼が、優勝したことよりもフェアプレー賞をもらったことの方が嬉しかったと誇らしげに話していたのを思い出します。育成の本質を言い当てた言葉で、非常に感銘を受けました。育成に関わる指導者は指導者であると同時に教育者でなければならないと僕は思っています。
今年1月にある中学校のフットサルチームを率いるコーチの先生が、相性の悪いチームとの対戦を避けるために、選手に故意に負けろと指示したという由々しき出来事がありました。教育者として、あるまじき行為を言わざるを得ませんね。
そもそも育成年代では「勝敗」は二の次ですよ。この年代は、結果ではなく過程が大事。人間は失敗や敗北を経験して成長するんですから・・・。もちろん、勝利を目指すことは向上心や意欲を持つことにつながりますから大事なことではあるんですよ。しかし、勝利至上主義に走ってはいけない。指導者は目先のことではなく、選手の成長をもっと長い目で見なくてはいけませんね。
■少年プレーヤーの活躍の場を広げる
話がフェアプレー精神の方に行ってしまいましたが、全日本少年大会と並んで少年プレーヤーの育成の場となる「ポカリスエットU-12サッカーリーグ」が、今月11日、栃木県の芳賀地区を皮切りにスタートしました。下旬には北海道の千歳、北空知地区でも予定されており、初年度の今年は20くらいの地域で実施されればと考えています。
サッカーをプレーしている以上、ゲームに出場するのは一番の楽しみ。全日本少年サッカー大会に加え、小学生年代の大会が増えるというのは非常に良いことだと思います。また、リーグ戦は真剣勝負の場を長期間にわたって経験できますし、失敗や課題を次に生かすチャンスが与えられますから、U-12年代のレベルアップにもつながるはずです。
U-12はサッカーに必要なあらゆるスキルを獲得するに適切な時期で、世界的にも非常に重要視されています。質の高い環境と指導者がいればこの年代はぐいぐい"個"を伸ばしていける。それが数年後に大きく開花することになりますからね。
浦和の原口選手の話に戻りますが、僕が浦和の社長時代、小学生プレーヤーだった彼に着目し、レッズのジュニアユースに迎え入れました。ボールを蹴らせる前に、まずは人間教育だと言ってコーチをつけ、一年余り、徹底的に教育したんです。彼の成長ぶりを見ていると、これは成功かなと思っています。
個性の強い子どもは得てして自分本位になりがちなんですが、能力を最大限に発揮し、大成させるには、ルールやマナーをしっかり叩き込んだ上で長所を伸ばす指導が不可欠です。多少の弱点は目をつぶり、選手が持っている武器を磨く――そういうやり方をしないと世界と戦える逸材は、いつまで経っても出てきません。
そういう意味では、U-12という年代は人間としての土台をつくる、非常に重要な時期でもあるんです。
ともあれ、U-12年代の活躍の場が増えることで大勢の選手が育ってくるのは明らかです。トーナメントはトーナメントの、リーグ戦はリーグ戦の良さがありますから、全日本少年大会とU-12サッカーリーグがそれぞれの役割を発揮しながら、子ども達の育成に寄与していくものと期待しています。
以上
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