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一覧へ2008Jリーグ チェアマン総括(08.12.16)
◆リーグ戦、リーグカップ戦
J1リーグ戦では鹿島アントラーズが見事な連覇を成し遂げたが、今シーズンは優勝争いだけでなく、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2009の出場権争い、残留争いも含め、最終節まで予断を許さなかった。最終節を前にして、10クラブがこうした争いに絡み、非常に興味深い戦いが演じられた。かなり高いレベルで、実力がきっ抗していたと思う。Jリーグ・アカデミーの取り組みの成果もあり、総合的なレベルは上がってきた。今後はストライカーやドリブルが得意な選手など、強烈なインパクトを与える個性豊かな選手の登場にも期待したい。また、地域の皆さんがそれぞれのチームを真剣に応援し、支える姿も印象的だった。
15チームで行われたJ2リーグ戦は、サンフレッチェ広島が独走優勝したが、前節まで6位のサガン鳥栖にも最終節まで3位に入るチャンスがあり、水戸ホーリーホックやザスパ草津が健闘するなど、レベルが接近してきた。初のJ1昇格を果たしたモンテディオ山形を含め、こうしたチームの活躍によって地域も活性化しつつあり、入場者も増えた。J2のクラブから日本代表やU-23日本代表に選手が選ばれたことも、大きな励みとなる。
大分トリニータのJリーグヤマザキナビスコカップ優勝は、地域密着への努力が実った一つの例だろう。あらゆる交通手段を使って多くのファン・サポーターが駆けつけた。国立競技場を埋めた大分トリニータ、清水エスパルス双方のファン・サポーターが決勝を盛り上げてくれた。参加した全チームが全力を尽くし、大会を素晴らしいものにしてくれた。
◆イレブンミリオン
2010年までにJリーグの年間総入場者数を1,100万人にするという「イレブンミリオン」は2シーズン目。年間入場者数は、9,130,030人と過去最多を記録した。各クラブが目標達成に向けて、真剣に努力している姿勢に感謝したい。常々、言っているように、イレブンミリオンは単なる数値目標ではなく、クラブが地域と一体になって行う活動の総体的な成果によって実現するもの。ピッチ上の選手のフェアで熱い戦い、また社会貢献、スポーツ振興、ホームタウン活動など、あらゆる取り組みが結びつく。
クラブのスタッフや選手たちにも、多くの方々にスタジアムへ足を運んでいただきたいという意識が高まっている。選手たちは地域の学校や施設の訪問、清掃活動など、さまざまなシーンへ積極的に顔を出し、子供たちや高齢者にも喜ばれている。
各クラブは試合当日のスタジアムにおいて、さまざまなイベントやアトラクションを企画し、どうしたらファン・サポーターの皆さんに楽しんでもらえるかに心を砕いている。もちろん、選手たちには90分間、魅力あふれるプレーを見せてほしい。
◆Jリーグ・アカデミーの活動
最も重要な施策の一つである育成に関しては、2007年からスタートしたU-13のリーグ戦に続き、08年にはU-14のリーグ戦も始まった。U-13は出場チームの数も増え、軌道に乗りつつある。タウンクラブとの交流も密接なものとなり、地域の関係者からも積極的な取り組みの姿勢に好評価をいただいている。13歳、14歳の年代は、どうしても試合に出場する機会が少なかったが、選手たちは試合ができる喜びを爆発させ、素晴らしいプレーを見せてくれている。国際的な選手の育成はもちろん、人間としても成長できるような取り組みを行っていきたい。
また、夏休みにはU-16 Jリーグ選抜がアラブ首長国連邦、U-15 Jリーグ選抜がブラジル、U-14 Jリーグ選抜がオランダ/ドイツで海外キャンプを行った。普段とは異なる環境の下、レベルアップ、国際交流に大きな成果を挙げた。今後も計画的、継続的に実施したい。
◆国際化
国際化の重要性は、7月に発表したチェアマン指針でも述べた。トップチームでは、昨年の浦和レッズに続き、ガンバ大阪がACL2008に優勝を飾り、アジアの代表としてFIFAクラブワールドカップ ジャパン 2008への出場を果たした。ACLに出場したチームには、Jリーグ優勝を目指すだけでなく、アジアの覇権を握ろうという意欲に相当のものがあった。地域でもJリーグにおける活躍がアジア、そして世界へとつながることへの認識が浸透してきた。今後Jリーグを目指そうというクラブにとっても、大きな夢となり、目標となることだろう。これからもリーグとして、あるいはクラブ単位で、さらに国際交流を図っていきたい。
ピッチ外の国際交流では、JリーグやJクラブの関係者がアメリカでのプロスポーツビジネス視察、欧州のスタジアム視察などを行った。その成果を、イレブンミリオン、複合施設のスタジアムなどを見据え、今後のクラブ運営に生かしてほしい。
◆クラブ経営に資する人材の育成
08シーズンはJリーグGM(ゼネラルマネージャー)講座が、より実践的な講座としてリニューアルしたのも特筆される。スポーツビジネス、サッカービジネスは欧州を中心に多様化、複雑化しており、クラブ経営のあらゆる面に精通しているGMは、経営者の補佐役として絶対に必要な存在となっている。チームを統括するだけでなく、財務や事業、営業、広報など、トータルに把握できる人材を育成しておく必要がある。
もちろん、サッカーがうまくなるためには試合という実戦が必要なように、GMも座学だけではなく、現場での経験という実践が重要となる。スポーツをいい環境の下で楽しめるハードとソフトづくりにおいて、最も大事なのはGMが信頼され、信頼されるだけの実力を持つことである。今後、Jリーグを目指すクラブも全国に多く存在し、クラブのかじ取り役としてGMの役割はますます重要となる。
来シーズンは新たに栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山の3クラブがJリーグの仲間となり36クラブでのスタートとなる。さらに、全国では多くのクラブがJリーグを目指している。それらの将来の仲間たちにぜひとも入会したいと思っていただけるJリーグとなるべく、2009年も事務局、クラブが一体となって努力を積み上げていかなくてはならない。
(社)日本プロサッカーリーグ
チェアマン 鬼武 健二
以上
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