12月10日(土) 2005 J1・J2入れ替え戦 第2戦
柏 2 - 6 甲府 (15:04/柏/12,013人)
得点者:'10 バレー(甲府)、'27 バレー(甲府)、'52 レイナウド(柏)、'53 バレー(甲府)、'68 バレー(甲府)、'69 バレー(甲府)、'86 宇野沢祐次(柏)、'87 バレー(甲府)
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一体誰がこんな結末を想像しただろう…。柏の自陣ゴールに甲府のエースストライカー・バレーのシュートが次々と突き刺さる。初戦黒星による1点の劣勢をはねのけるため、早野監督が採った策は全て不発。気合が空回りした結果、4点もの大差をつけられて90分が過ぎてしまう。黄色に染まったスタンドからの声援は終了のホイッスルが鳴るまで止むことはなかったが、彼らのJ1残留への願いは叶わなかった。95年にJリーグ(現J1)に昇格して11年。柏はJ2への陥落を余儀なくされた。が、クラブの歴史が終わったわけではない。「もう1回チームを立て直すしかない。絶対に1年でJ1に戻ってくるように切り替えていきたい」という土屋の言葉を信じるしかない…。
10日15時から日立柏サッカー場で行われた2005年J1・J2入替戦の第2戦。第1戦は後半ロスタイムに停電が起きるというアクシデントも災いし、柏は甲府に1−2の痛い敗戦を喫した。崖っぷちに立たされた彼らにとって、この一戦は絶対に負けられない。スタジアムには12,013人の観衆が集結。その多くが柏のJ1残留を信じるサポーターだ。
サポーターのためにも初戦のリベンジを果たさなければならない。が、選手たちの精神的ダメージは相当に大きかった。中2日でいかにチームの雰囲気を変えるのか。これは大きな命題だ。早野監督は2つの策を採った。1つはリスク承知で4−4−2へシステムを変えたこと。2つ目は先発メンバーの入れ替えだった。出場停止明けの平山を左サイドバックに、前回ベンチ外だったクレーベルを2列目に、そしてドクターストップを振り切った明神をボランチに据えたのだ。指揮官はリーグ戦終盤にも布陣変更などで何度かチームに変化をもたらそうと試みたが、裏目に出ることも多かった。それでも今回は自分の信じた策を強行した。
そんな柏とは対照的に、甲府の大木監督は戦い方を変えなかった。布陣はシーズン中と同じ4−4−2。前回出場停止だった杉山を右サイドバックに入れ、第1戦で右サイドを務めた山本を左に回した以外は、第1戦と同じ先発だ。
こうした両指揮官の『覚悟』が試合の明暗を分けたのかもしれない。出だしから攻撃的に行きたかった柏だが、甲府の鋭いプレスと素早いカウンターに手を焼く。明神が入ったとはいえ、この土壇場で4バックになった最終ラインは完璧には機能しない。甲府の右サイド・杉山の攻め上がりに平山が引っ張られ、永田との間にぽっかりとスペースが空いたり、バレーの速さに波戸が振り切られるなど、最初から不安がつきまとった。
そんな懸念材料が痛い失点につながってしまう。前半10分、柏のクリアボールをカットした杉山が前線へパス。このタイミングで守備陣の裏に抜けたバレーがフリーになり、そのままゴール。柏は与えてはいけない先制点を献上してしまった。これで甲府が多少引き気味になるかと思われたが、勢いはとどまるところを知らない。柏がボールポゼッションをしながら攻撃を組み立てようとしても、中盤での分厚い守りに阻まれる。迎えた27分、強引なドリブル突破を仕掛けた石原が倒されPKを得ると、これをバレーが決め、前半が終わらぬうちに2−0とリードを広げられた。
早野監督は悪い流れを変えるために、いち早く矢野とフランサを交代した。が、第29節・大宮戦でコンディション不良を露呈していた彼の投入にサポーターからはブーイングが起きた。第33節・東京V戦で勝利をもぎとった若手を登用してきた指揮官だったが、土壇場に追い込まれえて勝負を外国籍選手に託したのだ。しかし無情にもフランサは際立ったプレーを見せられない。そこで後半開始早々に大谷と宇野澤を交代。3トップにして勝負に出た。
ところが後半4分の永田の退場劇がこの流れに水を差す。「もっと状況を見てやればよかった」と本人も反省していたが、この段階で10人の劣勢を強いられたのは厳しかった。それでも3分後にレイナウドが1点を返し、柏は反撃ののろしを上げた。と思った矢先、バレーの猛烈なスピードで持ち込まれ3点目を奪われてしまう。「前半を終わった時点で3点目を取ったら勝ちだと思っていた」と話す大木監督は勝利を確信する。逆に柏はJ1残留への戦意を失いかけた。
「それでも応援してくれる人のために最後まで諦めずに戦いたかった」と大野は言う。柏の黄金時代を知る彼と明神は懸命に走って目の前の敵に挑もうとした。しかし運動量、積極性、守備力、得点ヘの鋭さ…の全てにおいて柏は甲府に負けていた。52分、53分とバレーに立て続けに2点を奪われる。柏は86分、宇野沢がもう1点を返すが、この日のバレーの決定力は凄まじく、87分にも6点目をゲット。最後の大一番で柏の守備は完全に崩壊してしまった。
終わってみれば6−2。シュート数も甲府の23本に対し柏は8本。「これだけ点差をつけられば言い訳できない」と南が言えば、「実力負けです。ゼロから出直すしかない」と大野も悔しさを押し殺した。キャプテン・明神は「応援してくれた方に申し訳ない」と繰り返すばかり。小野寺社長が最悪の結果をサポーターに謝罪するとひと際大きなブーイングが沸き起こった。
柏を愛する誰もがJ2降格を認めたくはないだろう。しかしこれが現実だ。この屈辱をしっかりと胸に刻みながら、今後のことを前向きに考えていくしかない。小野寺社長も「改革が必要だ」と認めるように、柏は根本的にチーム作りを見直す必要がある。それでも明るい材料はある。このチームには永田や矢野、小林祐、谷澤ら20代前半の有望な若手が数多くいるのだ。彼らが成長し1人1人が戦える選手になれば、必ずやチームは再建される。これだけ熱狂的なサポーターの支持があることを決して忘れてはならない。
以上
2005.12.10 Reported by 元川悦子
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