本日、カターレ富山の監督に就任する岸野靖之氏の記者会見が行われました。会見での出席者のコメントは以下の通りです。
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●酒井英治社長:
「カターレ富山の監督として松本山雅U-18の監督である岸野氏に就任していただく運びとなった。支えていただいているファンとサポーター、多くの県民が今か今かと待ち望んでいた新監督を紹介できることをうれしく思う。選手をしっかりと鍛え上げ、90分一丸となって全力で走り、そして攻守ともにアグレッシブに戦うという我々の目指すスタイルで、1年でJ2復帰に導いてほしい。来季は岸野監督のもと新しいチームと、フロントが一丸となって富山を元気にし、子供たちには夢を与えられるように全力で頑張っていく。これまで通りの温かい声援をお願いします」
●澤入重雄ゼネラルマネジャー:
「ゼネラルマネジャーに就任してからの約1カ月、2014年までのチーム編成を振り返り、ゲームの分析なども行った。2015年でJ2復帰を果たすために選手の評価とともに新監督について考えてきた。その結果、今季の74失点をなんとか減らさなければ勝てないと思い、守備を構築できる、選手に意識させ習慣づけられることを新監督の条件の1つ目にした。2つ目は、戦える、走れる選手づくりができること。3シーズン逆転勝ちがなく、最期まで諦めずに走り切る、苦しい時に戦える選手でなければいけないと思った。3つ目は若手を育成する力。富山はチームの軸となるセンターラインの選手が毎年変わっていると感じた。G大阪の遠藤、ドイツのノイアーのようにチャンピオンチームには誰もが思い浮かべる中心選手がいる。そういう選手を育てる必要がある。2014年在籍のメンバーには若くて良い素材が多くいる。彼らを将来の軸に育てていける指導者がよいと考えた。
この3つの条件で選考し、最終的に岸野さんを選んだ。J2に復帰できるかどうかは来年の11月におのずと結果は出るが、必ずやそこに近づけてくれるだろう。岸野さんは先輩ではあるが、ようやく戦う友ができてホッとしている。一緒に2015年を戦っていきたい。応援をよろしくお願いいたします」
●岸野靖之監督:
「カターレ富山はJ3に降格したが、早く戻るべき位置に戻り、さらに上に行けるように、一生懸命に努力して成し遂げたい。これからよろしくお願いします」
〜質疑応答〜
Q:どんなチームを目指すのか。
「来年度のメンバーについて分析はできていない。2014年の富山の試合はあまり見ていない。戦力分析ができておらず、どんなことができるのかはまだ分からない。自分のスタイルは戦う姿勢、勝利にこだわる姿勢にある。先ほど社長にも話したのだが、それを測る機械はない。だが、見ればそれは分かる。そういうところを大事にしながらやる。人がやることなのだから、気持ちが伝わるようなチームづくりをしたい」
Q:これまでのカターレ富山にはどんな印象を持っているか。
「カターレ富山のサッカーはどんなものかと問われた時に、みなさんはどう答えますか。まだ説明しづらいのではないか。日本にJリーグのチームは多くあるが明確なものがあるところはほとんどない。早くそういうもの、みんなが言えるようなサッカースタイルをつくれたらよい。対戦した印象とすれば、堅くきたり、頑張ってきたり、特別に強くはないが、簡単に勝てる相手でもないという感じ」
Q:監督就任を決めた理由は。
「この場に連れてきてくれた澤入GMに感謝している。彼から将来のカターレをこうしたいとか、現状分析なりを聞かせてもらい、それなら自分にできると思って受けた」
Q:来季戦うJ3についての印象は。
「長野などの数試合を見たが、J1・J2に比べて技術的には相当レベルは低い。しかし、プロとしては最後の舞台であり、みんなが生活をかけて必死に戦っている。J3なら簡単に勝てると思っていたら全く勝てないと思う。J3の中でも一番戦って、走り、出し切る、サッカーと勝負にこだわるといったところで上回らなければ勝てないだろう。特にJ2から降格したクラブは、鳥取、町田もそうだが簡単には上に行かせてもらえない。当然研究もされるし、『富山だけには絶対に負けるな』という気持ちで相手が向かってくるだろう。簡単ではない。その覚悟をみんなが持って、今までの常識が非常識になるぐらい一生懸命に練習していかなければならないと思う」
Q:鳥栖、横浜FCの監督をした後、松本U-18を指導した2年間で得たもの、富山のために生かせるものがあるなら教えてほしい。
「横浜FCを2年と数カ月指揮したが、自分にとって厳しい時期だった。自分本来の力を出し切れなかった。その後、松本の加藤GMから『育成部門からプロ選手を輩出したい。ベースの部分をつくってほしい』と声を掛けてもらった。彼は東京V時代の後輩であり、引き受けて2年やってきた。松本はなぜこれだけ多くのお客さんが来場し、結果を出せるのかを直に感じてきた。それは純粋な部分、人のためにとか、損得抜きの、このチームを大事にするとか、そういうものが非常に強い。反町監督の素晴らしい指導のもと一致団結して、勝ち取ってきたのを目の当たりにした。
2年指導した松本の子供たちは、人間ならこうならないといけないと思うほど、真面目で謙虚で、ひた向きで、純粋だった。これがあるうちは絶対に伸びる、ということも彼らから感じた。富山に行くことを伝えたら、今でも涙がでそうになるが、寮でコーチングスタッフらみんなとサプライズパーティーを開いてくれ、この2年間に僕がやったことを称えてくれた。僕にパワーと勇気を与えてくれた。彼らには『富山に行って自分がもう一度、これからもやり続けられるパワーをもらった』と伝えた。トップチームの監督から離れて約3年。選手の時から数えてもトップのところから離れたのはこの3年だけだが、自分にとってものすごく大きな3年になった。この富山で何ができるか。楽しいことばかりではないだろう。僕が考えるにサッカーはほとんどうまくいかないものだ。ほとんどがしんどいことの連続だと思う。それでも最後のところをみんなでつかみ取れるようにやっていきたい。それが富山でできると思うと、非常にわくわくしている。この3年は充電期間というか、再確認させられることの連続だった。横浜FC、松本での経験はありがたいものだった。
Q:これから心構え、戦術などを選手に伝えていくに当たり、どこか始めようと考えているか。
「自分が大事にする考えのひとつとして、言い訳しない、人のせいにしないというのがある。富山は今季5勝しかできず、いろんなことがあったと思う。そんな中でも、選手たちが(言い訳をせず)自分に返してきたのかどうかは重要なところ。プロなのだから生活をかけてやってきたと思うが、本当に、純粋にチームのためにやったのかは問いたい。僕は、人のせいにせず、仲間のため、チームのため、勝利のためにやっていくべきだと思う。そういう人間性のところがなければ始まらない。
バルセロナやバイエルンのように相手エリアでボールを動かして点を取るなんていうのは僕も大好きだが、そういうことができるのは世界でもまだ2つしかない。スタイルは追々やっていくとして、仲間のため、チームのため、勝利のために、人のせいにせず、言い訳せずにやっていこうと。J2からJ3に落ちたのは事実であり、早くもう一度戻るならば本気でやれ、ということは伝えたい」
Q:監督が思うサッカーの魅力は。
「11人と11人でいろんなものを出し合いながら、一番の楽しみ、面白いところはゴールを取ること。だが取られたら勝てない。点を取る、点を取らせないというところだと思う。ゴール前でいろんなアイデアを出しながら相手をやっつける。相手を苛々させて勝つ、相手の逆をとるとか、そういうところでしょうか」
Q:サポーターの期待も大きい。メッセージを。
「サポーターは仲間だと思っている。ただ、我々のところで自覚しなければならないのは、サポーターのように損得抜きに応援してくれる方がいないとプロは生活できないということ。彼らが喜べるようなところを数多く見せる義務がある。自分が監督になったらすべてを勝ち取れると勘違いしないでほしい。皆さんは今年1年で勝つことの難しさがよく分かっていると思う。ただ、勝たないよりも勝ったほうが良いのは間違いない。勝つように選手たちと一生懸命にトレーニングをするのでその姿をしっかり見てほしいし、どんな時にも支えてほしい。カターレ富山は今までもいろいろな方の努力があってここまできたのだと思う。カターレを大事にして、素晴らしいクラブだと言われるようにやっていくので協力してほしい。今まで以上にとは言わない、今までのように大事にしてもらえたらと思う」
Q:わくわくしていると話したが、どんなところを楽しみにしているのか。
「早くチームとして一致団結できるようにして、強いチームにしたい。これから出会う選手たちはどういう変化をするのだろうか。良い部分を見極めながら、早く勝ちたい。選手には家族があり、それぞれにサッカーの捉え方をもっていて、今まではそれで勝ち取ってきた。ある方向に向いてもらうにはいろんな努力が必要だと思う。僕を理解してもらい、勝利のために、純粋に『勝ててよかった』とみんなで言い合えるチームを早くつくりたい。時間はかかるものだと思うが、かかりますよと言っている場合でもないだろう。メディアの皆さんにはそういうところも見てもらいたい。調子に乗せるとどこまでも登ってしまうのも選手なので、事実をしっかり伝えて育ててもらえたらうれしい」
Q:富山には若手が多いが、彼らを戦力に育てるうえで何が大事だと考えているか。
「グラウンドに出れば年齢は関係ない。ただ、若いと伸びしろや可能性は大きいだろう。選手としての強み、ストロングポイントが何かを見極め、そこを尊重し、大事にしながらさらに伸びるようにしていくことだろう。ベテランもそうだと思う。ただし、人間がやることなのだから、心が必要。上手くなりたい、強くなりたい、賢くなりたいという自分の意志がいる。そこが強くあるかどうか。『頑張っている』と選手は言うだろうが、僕は日本一頑張る。同じ頑張りでも一番上の頑張りをもてるかどうかにかかってくる。何度も言うが大事なのは人間性。そこをちゃんと持っているかどうか、仲間のため、チームのため、勝利のためを思っているか。選手が自分の判断と責任でやっていかないと伸びないので、そこのトライは大事にしたい」
以上
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