●大榎克己監督(清水):
「最後まで残留争いをしている厳しい中で、これだけ多くのサポーターに集まっていただいて、エスパルスを想う人がこれだけ多いのかと。それからOBのメンバーとかがいろいろ心配してくれて、僕にいろいろメールなり連絡をくれて、そういう想いで試合前からエスパルスに関わっている多くの人の気持ちを感じながら今日の試合に臨みました。
甲府も非常に調子がいいチームなので、そう簡単にはいかないゲームだろうということは思っていましたし、そういう中で勝点1を取ればいいわけですけど、勝点1を取る、守るという気持ちになると、相手が押し込んできて、自分たちは失点してしまうんではないかと感じていましたので、点を取りにいくということを選手には伝えました。
それから、選手がこのゲームで力を出さないわけはないということは感じていたので、どれだけ緊張をほぐしてやれるかなという思いで、いろいろミーティングや準備をしてきたつもりです。今までは、どうしても勝つぞとか強い気持ちを伝えてきたんですが、最終戦に限っては逆にリラックスして34分の1だよということを選手に伝えて、もう気にせずやれと。サッカーはミスがつきものだし、そうしたらみんなでカバーし合おうということで試合に臨みました。
立ち上がりからうちは積極的にいったんですが、やっぱり甲府の前への勢いに途中から押し込まれる中で、よく選手が最後まで耐えて頑張ってくれたと思います。みんな頑張ったんですが、特に櫛引は何試合かミスもあって、いろいろなところで叩かれたりもしました。でも、自分は彼と心中するよと最後まで使い続けて、その彼がこれだけ最後まで安定して自信を持ってやってくれた。1人の選手がああいうふうに成長する姿は本当にうれしく思いますし、今回こういう厳しい戦いをしたことが、選手1人1人の成長につながってくれたら、この残留争いをしたことが無駄にならなかったかなと感じています。
毎年こんなふうに最後まで下で争いたくないので、今回経験したこと、サポーター、会社、選手……そこの絆、一体感は今まで以上に増したと思います。ですから、クラブとしてどういう方向でチームを進めるかというのは、今後しっかり考えていかないと。現場だけでもフロントだけでもできないし、そこのところのみんながどういうサッカーを目指すとか、どういうチームにしていくのか、そういうところをしっかり明確にしていかなければいけないなというのを、この4カ月を通して感じました」
Q:最後に村田和哉選手ではなく三浦弦太選手を入れました。引き分けで良いというプランというのはいつ頃からあったのでしょうか?
「当然点を取りにいくという中でもリスクマネジメント、切り替えのところは選手にはしっかり伝えました。高さの面でノヴァ(ノヴァコヴィッチ)だけでなく(長沢)駿を入れて2枚にしたんですが、ノヴァがひとつ下がったことで、ちょっと中盤のセカンドボールとかプレスが効かなくなったかなというのは感じていました。ただ、あそこでノヴァを外して別の選手を入れるとなると、リスタートも含めて高さの部分でリスクがあったかなと。そこはちょっと踏ん張ろうと思って。それからあの時間帯で元紀とトシがいつも以上にサイドの守備で頑張ってくれていたので、そこのところでは今回は、和哉の攻撃というよりも守備への意識をみんなが持てるというか、そこで無理して攻撃というよりも安定を求めてしまったかなというところはあります」
Q:本当にホッとした顔をされていますが、終わった時の気持ちは?
「残り5分が長かったですねぇ……それからジュビロのこの前の参入戦(J1昇格プレーオフ)のことがすごく頭によぎって、同点でいっている時に最後の3分はそこもすごくよぎりましたね。ただ、選手が本当に集中してくれていて、ピンチもありましたけど、そういう部分でよく集中してくれていたし、櫛引があそこまで集中して、乗っているなという感じがしたので、あそこはちょっと櫛引お願いしますという神頼み的な部分も正直ありました」
Q:シーズン途中で監督に就任されて、ここまでを振り返って2014年は監督にとって一言でいうとどんなシーズンでしたか?
「一言?難しいなあ、いろいろありすぎて(笑)。まあ(監督に)なったばかりの頃はちょっと守りに入ったかなと。自分の色を出すというよりも、どっちかといったら今までやってきたことを継続して、遠慮しながら流れてしまったかなという感じです。今思えば、途中でもうちょっと自分の思いきりとか、自分が思うことをもっとやっても良かったかなという後悔はあります。ただ、最後に来たら、理想も何もなかったですね。とくに今日のゲームに関しては、美しいとか良いサッカーとかじゃなくて、泥臭くてもどんなことをしてもという形になってしまいました」
以上
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