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【J1:第33節 仙台 vs 徳島】レポート:それぞれの立場でJ1に名前を残す仙台と徳島。勝利した仙台はホーム最終戦勝利でJ1残留が決定。(14.11.30)

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仙台と徳島がJ1の舞台で対戦するのは2度目だが、古くはそれぞれの前身であるブランメル仙台、大塚FCヴォルティス徳島がJFLでプレーしていた頃から対戦していた。それぞれ現在のようなJクラブとなってからは、2005年に徳島にとってのJ2初舞台だった2005年のJ2開幕戦で初めて顔を合わせた。徳島が3-0で勝利した時の舞台が、ユアテックスタジアム仙台だった。時が経っても、カテゴリーが変わっても、フットボールは続いている。

そして2014年のJ1第33節では、またそれまでとは違ったものを背負って、両者は対戦した。
ホームの仙台はJ1残留をこの一戦にかけていた。前節・C大阪戦もそのチャンスだったが、C大阪の猛攻を受けて追いつかれ、得た勝点は1にとどまった。「あそこで勝ってこの試合を迎えたかった」という渡邉晋監督は、それまで選手に対しては使っていなかった“残留争い”という言葉を、この試合への準備を前に使った。
アウェイの徳島は「降格は決まったが、J1の18チームのひとつというチャンスがある。諦めなければ認められるゲームになる」と小林伸二監督に呼びかけられて敵地のピッチに立つ。前節・鳥栖戦で負けたものの、その試合で手ごたえを得た守備力をベースにして、あくまでも勝利を目指した。キックオフ前のコイントス後、多くの仙台サポーターが集まったユアテックスタジアム仙台のエンドを変えるという手も打った。

試合は開始5分で動いた。「チームとしても自分自身としても結果が出ず不甲斐ない。このホームで取りたかった」という強い意志とともに試合にのぞんだ太田吉彰が、武藤雄樹のクロスに合わせた。徳島が3-6-1を採用しているために仙台はサイドの裏のスペースを狙っており、太田は立ち上がりからそこへ走りこんでいた。5分に逆サイドから野沢拓也が上げたクロスはクリアされたが、これを拾った武藤は素早くクロスを送り直し、そこに太田が詰めていた。
仙台はこの一週間で、ボールを持ったときにおける「出し手の判断と受け手の準備」(渡邉監督)というパスワークの関係性を整理。リード後に落ち着かない試合をしてしまった前節の反省を生かし、徳島の堅固な守備ブロックをばらすランニングの意識を強く持ってこの試合に入り、そして実戦した。
そして先制点で勢いが加わったことにより、後半も仙台ペースが続く。58分には富田晋伍が縦パスを送ると、高い位置を取っていた野沢が踵でワンタッチパス。その先には、先程富田にパスを出していた菅井がいつの間にか走りこんでいた。菅井は長谷川徹もかわして、ゴールを決めた。
徳島もこのままでは終わらない。ハーフタイムに「焦れてはいけない、取り返すチャンスは絶対に来る」と呼びかけていたという斉藤大介は「後半にはボールを落とした後にも三人目の動きができていました。それを前半から出せていれば」と試合後に振り返った。途中から高崎寛之を投入して2トップにしていた徳島は、77分に那須川将大のFKに橋内優也が合わせて1点を返した。その後もパワープレーで仙台陣内に攻めこむが、「もう少し適確なボールがサイドから入れば」(小林監督)という反省などもあって、その後は仙台の守備によって跳ね返された。徳島の攻勢の中でどんどんボリュームを上げる仙台サポーターの後押しも、ホームチームにとっては大きかった。

こうして2-1で逃げ切った仙台は、他会場の結果によりJ1残留が決定。今季の仙台はスタートで躓き、監督交代も経験。渡邉監督指揮下でも何度となく苦難を経験したが、一試合を残してJ1残留を決めた。試合後のホーム最終戦セレモニーでは渡邉監督が「クラブ創立20周年という記念すべき年に不甲斐ない成績に終わってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです」とサポーターに謝る場面もあった。来季こそ、より高い舞台で戦うためには、次の最終節・広島戦もまた大事な試合となる。「来季のためにも、ここ数年に勝っていない最終節で勝って終わりたい」と梁勇基も前を向いた。
徳島は勝点を持ち帰ることはできなかったが、今季のJ1クラブとしての一戦が残っている。ホームでの勝利を目指すこの試合の相手は、首位のG大阪だ。優勝争いをするチームが相手ということで注目が集まる。「来季のJ2につなぐために、何としてもホームでの一勝をあげたい」。斉藤は言葉に力を込めた。

仙台と徳島との対戦の歴史は少し間が空くこととなったが、それぞれの歴史は続く。その歴史の次の一頁である今季最終節においても、両者の健闘に期待したい。

以上

2014.11.30 Reported by 板垣晴朗
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