「鳥栖の未来がかかった試合」。
この試合の勝敗のカギを握るFW池田圭がこの言葉でコメントを締めくくった。選手だけではない。クラブもスタッフも、そしてファンやサポーターの未来が確かにかかっている。その誰もが、“サガン鳥栖”として感じたことがない未来がそこにある。「何かしらのタイトルを取る」と宣言して始まった2014年シーズン。目標だった“何かしらのタイトル”が、すぐそこに手の届くところにある。他会場の結果次第ともなるが、自らその可能性を失う必要はない。鳥栖は、浦和に勝つことだけを求めて戦えばいい。
対する浦和も、誰が何と言おうと“優勝”に一番近いところにいる。浦和は、自らその栄冠をつかむことができる唯一の権利を持っている。鳥栖の悲願も、G大阪の2005年以来の優勝も、鹿島の劇的な逆転優勝も浦和にとっては何も関係ない。浦和だけが唯一、自力で優勝を決める可能性を持っているチームで、その可能性を放棄する必要はない。浦和も、鳥栖に勝つことだけを求めて戦えばいい。
そんな両者の対戦に、過去の戦績や今シーズンのここまでの記録を敢えてあげる必要はないだろう。どちらが先に相手より得点を多くとるのか、相手より少ない失点で抑えるのかだけがわかればいい。誰が取ろうが、誰が守ろうが、そこには鳥栖と浦和の選手しかいない。どちらかが勝って、どちらかが負ける結果を求めて戦うわけで、そこには勝者になるための意地と優勝を争っているプライドと勝利に対する執念の混ざり込んだプレーだけが求められている。それをどれだけピッチ上で出せるのか・・・。それをどれだけプレーとして体現できるのか・・・。そこには、特別なものではなく、ただ“自分たちらしく”戦えばいいのである。
FW豊田陽平は、“ハードワーク”をポイントに挙げた。
確かに、浦和にはテクニックを持った選手が多い。GK西川周作を含め、全員がゴールに向かうプレーを90分間見せ続ける。これに対抗するには、鳥栖らしくハードワークするしかない。簡単にいうと、“上手い相手にとって、ガンガン身体をぶつけられるほど嫌なものはない”からである。テクニックは、スペースと時間があれば出せるものなので、そこを出させないために鳥栖はハードワークで臨むしかないと豊田は見ているのだろう。球際でのあたり、相手選手への距離などで相手のスペースと時間を奪うのが鳥栖らしさ。試合開始から、前線の選手から浦和に対してハードワークを仕掛けてくるだろう。それを最後まで出し続けることができるように、サポーターは後押しを続けたい。
一方の浦和はどうすればいいのか。
鳥栖のハードワークをかわしさえすれば、あとは全員がゴールに向かって攻めることができる。プレーエリアとその時間を確保さえすれば、リーグ随一の猛攻を仕掛けることができる。浦和も、鳥栖のハードワークを上回るテクニックを出し切ればいいだけなのである。ハードワークとテクニックとタイプの違うチーム同士が優勝をかけての試合となる。ファンやサポーターならずとも、注目される一戦となっている。熱くならないはずがない。
夢を共有して、ともにそこに向かって進んでいく。一人では萎えるときでも、支えてくれる人がいれば進むことができる。迷った時もともに考え、誤った時も修正し合えば、夢に向かって進むことができるだろう。
サッカーはチームプレー。スタンドを含めてチームなのである。共に泣き、共に苦しみ、共に喜び合うことができるのもチームプレーだから。サッカーは、一人ではできないスポーツなのである。
以上
2014.11.28 Reported by サカクラゲン
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