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一覧へ【第94回天皇杯 準決勝 G大阪 vs 清水】プレビュー:二兎を追う者同士がどんなメンバーで、どんな戦いを見せるのか。G大阪の底力と清水のチャレンジ精神に注目の大勝負(14.11.25)
11月26日(水)第94回天皇杯 準決勝 G大阪 vs 清水(19:00KICK OFF/味スタ)
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【第94回天皇杯全日本サッカー選手権大会】
■準決勝 11月26日(水)19:00
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「二兎を追う者は一兎をも得ず」とはよく言われるが、その言葉に反することをどちらが成しえるのか。そのためにどんな姿勢・布陣で臨むのか。この試合では、まずその部分が最大の注目点と言える。
とくにG大阪は、二兎ではなく「三兎」を追っている立場。すでに一兎(ヤマザキナビスコカップ優勝)を得ている中で、リーグ戦でも天皇杯でも優勝し、リーグ史上2度目の三冠を狙っている。リーグ戦で優勝するためには、残り2試合を絶対に連勝で終えなければならないので、戦力的な消耗はできるだけ抑えたいのが本音だろう。
一方、清水のほうは、リーグ戦でのJ1残留が最優先の目標だが、13年ぶりのタイトル獲得のビッグチャンスもみすみす逃したくはない。リーグ戦では、残り2試合で勝点4を取れば残留が確定できるが、それは決して簡単なことではない。したがって、こちらも次節の柏戦に良い状態で臨めるようにすることを考えなければならない。
とくに天皇杯では延長戦に入る可能性もあり、もしそうなれば中2日で行なわれるリーグ戦第33節に多大な影響が出てくることは必至。それを考えると、シーズン終盤で疲れがたまっている中、ベテラン選手に無理をさせたくないという思惑もあるはずだ。
G大阪の長谷川健太監督が、この試合のメンバーについて語ったのは、「自分たちはつねにベストメンバーで臨む」という言葉だけ。だが、それは現状を総合的に考えた中でもっとも力を出せるメンバーという意味であり、前節・浦和戦からある程度の入れ替えは十分にありうる。最近はベンチスタートの選手たちも非常に好調で、前節・浦和戦も、佐藤晃大と倉田秋という途中出場の2人がゴールを決めて、リーグ優勝に近づくゴールを決めている。ナビスコカップ決勝戦でも、途中出場の大森晃太郎が優勝への逆転ゴールを決めており、長谷川監督も「先発で出ていないベンチメンバーの事も信頼している」と語る。チャンスを得た選手たちのモチベーションが相当高いことを考えると、G大阪の戦力低下はほとんどなさそうだと考えられる。
そのうえで、「清水は4−3−3でアグレッシブなサッカーをしていて、勝たなければいけない状況でも同じ戦い方を続けて結果も出してきている。自信を持って戦っていると思う」と、長谷川監督も清水の今のサッカーを十分に警戒しており、いつも通り万全の準備を怠らないだろう。
一方、清水のほうは、大榎克己監督が若手の積極起用を示唆しており、G大阪よりもメンバーの入れ替わりは多いと予想される。ただ、それによって運動量やアグレッシブさが上がり、「サッカーが少し変わっておもしろい面も多い」と大榎監督も語る。もちろん「こういうチャンスは毎年巡ってくるわけではないので、ぜひものにしたい」という意識は強く、地上波での全国放送(生中継)があるということで、クラブとして恥ずかしいサッカーは見せられないという思いもある。
そんな中で、大榎監督がイメージしているのは、10月11日の天皇杯準決勝・名古屋戦のような戦いぶりだ。「運動量で勝って、局所でどれだけ数的優位を作っていけるか、その中で裏を狙えるか。G大阪は攻守にわたってスキがないので、どのぐらい思い切ってやれるかだと思います」(大榎監督)という面で、若い選手の爆発力が良い方向に表われてくれば、一発勝負において十分に勝機はあると考えている。
この大一番で出場する可能性が出てきた若手選手たちも、「もし出場できたら、かなり緊張はすると思いますが、良いモチベーションというか高ぶりがあるし、良いイメージが湧いてきています」(加賀美翔)と、やってやろうという気持ちが非常に強い。加賀美は交代で出てもプロ初出場だが、ゴールへの嗅覚が非常に高い選手で、こぼれ球から決めるゴールも多い。「石毛とかパスを出してくれる選手もいるし、そこからゴールを決めるのが自分の役割」と結果にこだわっている。小学校時代から加賀美と一緒にプレーしてきた清水ユースの同期・石毛秀樹も「この試合では自分がやらなきゃという責任感がすごく強いし、加賀美と一緒に出場するのもプロに入ってからの目標。もし一緒に出られたら加賀美の初ゴールは絶対に自分がアシストしたいです」と、20歳以下の中でもっとも出場が多いことへの自覚と意地をのぞかせる。
清水がノヴァコヴィッチを休ませたとすれば、高さの面で不利が出てくるのは否めないが、ヤコヴィッチが次節・柏戦で出場停止になるので、この試合ではフルに戦えるはずで、19歳のセンターバック・三浦弦太も大きく成長し、自信をつけてきた。セットプレーの守備という面でも彼にかかる期待は大きく、三浦自身も「やるしかない状況ですし、出場できたら自分としても大きなチャンス。思い切ってプレーしたいし、楽しみのほうが多いです」と語る。そんな2年目の同期3人組のプレーには要注目だ。
どちらのチームにとっても「総力戦」という言葉がピタリと当てはまる天皇杯準決勝。どんなメンバーが出たとしても、非常に見どころが多く、スリリングな戦いになることは間違いなさそうだ。
以上
2014.11.25 Reported by 前島芳雄
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