●安間貴義監督(富山):
「岡山のメンバーを見て、影山監督の積極的に戦おうという意志を感じた。最初の1点がどちらに入るかで3−0、4−0になる展開も覚悟しつつ、お互いが積極的に、攻撃的にでた試合だと思う。先制点を奪われた結果、このような展開になったが選手たちは失点を恐れずに最後まで前に出ていく姿勢をみせてくれた。次につなげてほしい。
最終戦に4800人もの方々が駆け付けてくれたことに感謝している。このような結果となったが、選手たちが厳しい時期が長かったにもかかわらず、日々やるべきことにしっかりと全力で取り組んだことは私から伝えておきたい。責任は私にある。降格が決まってなお応援していただいた。心の傷の痛みを胸に刻みたい。チームに残る選手にはJ2に昇格させて、この悔しさを晴らすチャンスがある。可能性を買われて移籍する選手には、そこで自己表現をして、富山での時間が重要なものであったと言えるならこの1年は無駄ではなくなる。澤入ゼネラルマネジャーが着任し、次への準備をしてもらっている。ファン、サポーター、スポンサーのみなさんに感謝しています。ありがとうございました」
Q:前半は前方への意識が感じられなかった。そうなった要因は。
「精神的な自立を課題のひとつにしてきた。感受性が強い選手が多く、最終戦であることも影響したかもしれない。そこを乗り越えて仕掛けることは必要だった。ハーフタイムにはわたしからも前方を選択するようにと伝えた。その一歩を踏み出していけるようになれば、チームとしても、個人としても伸びると思う」
Q:目指していたサッカーを逆に岡山にやられたのではないか。
動きながら仕掛けたり、長い距離を走ったりするところなんかはうちも目指しているところだが、うちも走ってはいる。それを戻るためではなく、前に行くために使えるようになればよい。今季は試合展開に左右されるところがあり、セットプレーから失点してバランスを崩してしまうことが続いた」
Q:試合後に選手たちに何を伝えたのか。
「彼らはどんな時も目を背けずに現状を見てトレーニングをしていた。試合でうまくいかない時にも歯を食いしばって、がむしゃらにでも前進しようとしていた。しかし、結果は受け止めなければいけない。残る選手は取り戻すチャンスがある。片道切符で期限付き移籍してきた選手が富山で伸びて移籍していくことも多い。富山での時間が重要であったことを示せるぐらいに頑張って、このチームのことを伝えてくれたらよい。与えられた場所でベストを尽くせ、という話はした」
Q:これで監督を退任されるが、就任期間を振り返って思うところはあるか。
Jリーグには100年構想がある。富山は創設から1年でJFLを通過して地域に根付くまでの時間が、地域リーグから順にやってきたクラブに比べて短いという事情があった。地域貢献活動を一つずつ積み重ねて、今では実施数はJリーグでトップクラスになった。さらに地域を巻き込んでいき、それを収益にもつなげていけたらよい。
富山出身の選手を育成することは意識していた。しかし、地元の高校生で良い素材を見つけたと思ったら大学ではサークルを選び競技から離れてしまった例があったように、高校でサッカーは終わりにしてしまう風潮はいなめなかった。そこで、まずプロに身近に触れてもらうことから始めた。県高校総体ベスト8のチーム全てと練習試合を組み、(プロ選手を目指すという選択肢を)視野に入れてもらうところから始めた。下部組織のほうも、ひとつのピラミッドとして、育成の選手をトップチームの練習や練習試合に参加させた。トップに昇格できそうな選手や大学の強豪に進む選手も育ってきている。少しずつよくなってきたかなとは思う。
なるべくシーソーゲームというか、後ろで守りを固めるよりもゴールを目指すサッカーをして、歓声と悲鳴があがるような、残念ながら悲鳴のほうが多かったのは事実だが、動きのあるサッカーをしようとした。就任当時は観客が1000人台の試合もあったが、今日もこれだけの来場があったと思えば(集客面で)良かったのかなと思う。
一番残したかった成績の方で、2年間はなんとか残留できたが最後に降格してしまいなによりも悔しい。強化部長のおかげで、頑張ればそれに応えて伸びる選手が多く来てくれた。しかし、伸びると選手は移籍するわけでクラブには逆に負担になったかもしれない。今季も22位から数人も他のクラブから引き抜かれるなんてことはまずないこと」
Q:理想を追い求めたが、結果を残す難しさを感じたのでは。
「サッカーの難しさは感じた。なんでこの試合内容で負けているのかというゲームが多かった。チャンスがないわけではなかったし、ゲームの流れとは関係のない(ミスからの)失点も多かった。後ろに引いた時期もある。それは出場できる選手の特徴を生かそうとしたから。選手が積極的にプレーして初めて勝つことができると考えており、その選手の良い所をだそうとした。対戦相手からも『プレー内容は悪くない』とよく言われた。勝てないことで、自分たちから深みにはまっていってしまったところはあったかもしれない」
以上
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